「農業はやり方次第で儲かる!!」と就農を決意

就農市町村 :奈良県天理市
氏 名 :山本敏貴さん(35歳)
出 身 地 :奈良県五條市
就農前の職業:民間企業
経 営 開 始 :令和4年7月
営 農 類 型 :施設野菜
経 営 内 容 :イチゴ(本圃18a)
労 働 力 :10人(うちパート9人)
●就農した理由を教えてください
親が柿の専業農家であり農業は身近ではあったが、実家が農家ゆえに農業は大変なイメージがあった。就農意思はなく大学(経営学部)卒業後に民間企業(金融機関)に就職し8年間勤め、毎日夜の11時頃まで仕事をする生活が続いており、家族との時間を大切にしたいとの思いから退社を決意した。
退社後、一時的に家業の柿を手伝っていたところ、栽培や販売方法に拘ることで、「農業はやり方次第で儲かる!!」と実感したことから、就農(施設イチゴ栽培)を決意した。
●イチゴを選んだ理由を教えてください
実家が栽培していた柿の購入層は高齢者が中心であり、子供から高齢者まで幅広く好まれる作物を栽培したいと考え、将来的にも需要が見込まれ加工品にも適しているイチゴを選択した。
また、就農に向けて施設設備等の初期投資は、最長5年で回収する試算値から農業だけで生計が成り立つ就農計画を立案していた。
●就農相談はどこにしましたか
奈良県担い手・農地マネジメント課を訪れ、イチゴで就農したいと相談したところ、新規参入者支援研修の情報提供を受け、申し込んだ。
●研修はどこで受けましたか
県担い手・農地マネジメント課が実施している農業新規参入者支援研修を受講した。
研修期間:令和3年4月~令和3年7月(NAFIC(アグリマネジメント学科)で栽培、土壌、経営等の基礎研修3か月後、県のマッチングにより県内イチゴ農家で実践研修1年間)
●天理市で就農した理由を教えてください
出身である五條市よりも、天理市の方が道路網も整っており直売所が近くにあることや、遮蔽物が少なく平均気温も僅かに高く気候条件がよく動力光熱費が抑えられると分析した。特に、天理市に限って探していたわけではないが、県職員担当者から、天理市にある条件の良い農地を紹介してもらえたことから決断した。
なお、家族のことを第一に考え、交通機関や商業施設等が多いなど住環境の良い橿原市へ研修期間中に転居し、その後、農地が天理市に決まったがアクセスが良いので、農地まで通っている。
●農地の確保は問題なくできましたか
実践研修中に、県職員担当者から就農希望地域の中で条件に合う農地を紹介してもらったことから、問題なく農地を確保できた。
●設備投資の資金はどうやって確保しましたか
青年等就農資金を利用し、3,150万円の融資を受けた。
・パイプハウス3棟・育苗ハウス2棟・暖房機、液肥混入機、光合成促進機、換気装置
●初期投資にあたって留意したこと
生産性向上と作業省力化を最優先としたため、高設栽培ベッド、加温機、養液潅水装置、換気装置などを導入。投資額は大きくなるが施設、機器のスペックについては妥協しなかった。(オランダ(環境制御、作業効率化)の施設園芸を目指している。)
ハウス建設においては技術が必要な箇所は建設業者に委託したが、それ以外は研修で学んだ技術を活かし、自力で設置したことで初期のコストを抑えた。
【国の新規就農者育成総合対策の活用】
【国の新規就農者育成総合対策の活用】
・就農準備資金:175万円(令和3年4月~令和4年6月)
・経営開始資金:450万円(見込み)(令和4年12月~令和7年11月)
・経営発展支援事業:国費250万円、県補助125万円(令和4年度)
●労働力はどうやって確保しましたか
ハローワーク等で一般産業並みの時給を設定することで効率よく優秀な人材を確保した。
収穫に係る作業疲労軽減(腰を曲げずに収穫)を考えた収穫位置の高さをアピールすることで同業者との差別化を図った。
●地域との関わり
研修先農家からの紹介で、JA出荷部会のイチゴ部会に所属。
県担当者からの紹介で、天理市4Hクラブに加入。
●販売先はどこですか
JA、直売所出荷です。売り方を工夫(直売所の選択、価格設定)しながら売上高を上げている。
●今後の目標
令和6年6月に自己資金にて本圃ハウス(8a)と育苗ハウス(3a)を増設。令和7年にスーパーL資金を活用し、本圃ハウス(16a)と育苗ハウス(7a)の施設増設を計画している。5年後までに本圃ハウス面積82aを目標としている。
令和6年に法人化し、人材を通年雇用できる環境を整え経営の安定化を図り、また、環境モニタリングに基づく制御等を行うこと等により、単収・品質の向上を図ることで農業収入1億円を目指す。
●新規就農を目指す方へのメッセージ
決して楽な仕事ではないが、やり方次第で可能性が広がる世界なので、既存の概念にとらわれず頑張ってほしい。
お問合せ先
経営・事業支援部経営支援課
代表:075-451-9161(内線2793)
ダイヤルイン:075-414-9055