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近畿農政局

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「自ら生産・販売することで人や地域との関わりを感じたい」と就農を決意

      就農市町村   :滋賀県大津市
      氏         名   :小野寺 真樹さん(40歳)
      出   身   地   :群馬県
      就農前の職業:大学職員(事務職)
      経 営 開 始   :令和2年3月
      経 営 内 容   :いちご11a
      労   働   力   :7人(うちパート6人)


●就農した理由を教えてください
   京都の大学を卒業後、12年間母校で大学職員(事務職)として勤務(滋賀県の自宅から通勤)していましたが、「自分の手で何かを作り、自分の手で販売して、世の中と繋がりを持ちたい。」という思いが芽生え、帰省先でブルーベリー園を訪れた際に、農業でなら実現できるのではないかと考えたのが就農のきっかけです。

●いちごを選んだ理由を教えてください
   最初は、自宅のある滋賀県でブルーベリーを栽培したいと考え、(公財)滋賀県農林漁業担い手育成基金に相談し、農家への個別訪問、就農希望者対象のイベントへの参加など、就農に向けた情報収集を行いました。しかし、果樹は品質の良し悪しが農地条件に左右され、成木になるまでの未収益期間も長く、さらに面積当たりの単価が低い等のリスクがあることから、養液栽培の技術を習得すればある程度安定した生産が見込め、面積当たりの単価も高いいちごやトマトでの就農を県の普及指導員等から勧められました。
   栽培方法により生産者のこだわりが反映でき、味にも自分の色が出せるため、いちごで営農することを決めました。

●就農相談はどこにしましたか
  (公財)滋賀県農林漁業担い手育成基金に相談しました。そこで、農業研修を受ける新規就農者に対する支援について情報提供を受けました。

●研修はどこで受けましたか
   大学職員を退職する前に1か月間の有給休暇を取得し、大津市でいちごとトマトを栽培している篤農家の元で研修を受けました。台風によりハウスが倒壊し、一からハウスを建てるところでしたので、ハウスづくりについても基礎から学べました。(研修期間:平成31年3月(約1か月))
   その後、滋賀県立農業大学校に入学し、養液栽培の技術等を習得しました。(研修期間:平成31年4月~令和2年3月)

●大津市で就農した理由を教えてください
   大津市内の自宅近くで農地を探していたところ、農地中間管理機構を通じたマッチングにより、直前まで営農されていた11aの農地が貸し出されたためです。

●農地の確保は問題なくできましたか
   タイミングがよかったこともあり、農大での研修期間中に農地中間管理機構を通じて都市近郊でまとまった農地を借りることができました。

●設備投資(施設、機械含む)の資金はどうやって確保しましたか
   ・大学職員勤務の退職金や貯金
   ・農林水産省の補助金:農業次世代人材投資資金(準備型、経営開始型)、経営継続補助金
   ・大津市の補助金:施設野菜振興事業(40万円)
   ・青年等就農資金(880万円)
   これらを活用し、農業用ハウス、高設ベンチ等の整備を行いました。

●初期投資にあたって留意したこと
   就農前に大津市の篤農家の元で研修を受け、そこから多くの先輩農家と知り合いになりました。これらの方々に声を掛けて不要になったパイプ部材を安く提供いただき、高設ベンチの支柱として活用、ハウス内の配管・配線作業を自力施行することにより、初期投資を抑えました。
   一方で、配管・配線に必要な資材については妥協しませんでした。

【国の新規就農者育成総合対策の活用】
   ・農業次世代人材投資資金(準備型)      :137万5千円         (平成31年4月~令和2年3月)
   ・農業次世代人材投資資金(経営開始型):750万円(見込み)(令和 2年3月~令和7年3月)

●労働力はどうやって確保しましたか
   収穫時期に近隣住民を6人(男性1人、女性5人)雇用し、2人~3人でシフトを組み午前8時から午前10時までいちごのパック詰め作業を行ってもらっています。
   なお、臨時雇用の男性は、近くのハウス2棟でいちごの栽培を始めた知人で、配達など協働できるところは一緒に行っています。

●地域との関わりで意識していることは何かありますか
   大津地域青年農業者クラブ「季楽里」に加入し、マルシェへの出店や農業体験等の活動を通じて、地域の若手農業者との連携を図っています。
   農地の周辺はほとんどが水稲農家であり、いちごの栽培を行う上では関わりがないですが、販売先の確保に困っていた時に知り合いにいちごの宣伝をしてもらえて助かりました。

●販売先はどこですか
   知り合いのツテや口コミが徐々に広がって販路を拡げてきた結果、現在は自営直売所で50%を販売し、残りの50%をJA等の直売所、市場、ホテル、洋菓子店に販売しています。

●今後の目標
   労力的に規模拡大は考えていませんが、栽培技術をさらに磨き、品質向上と増収を図った上で、販路を拡大していきたいです。
   また、みおしずくは栽培しやすく増やしていきたいが、色や形など改良したいところもあるため、将来的にはいちごの育種にも挑戦してみたいと考えています。

●新規就農を目指す方へのメッセージ
   特に1年目の収穫時期(12月から5月中旬)には、早朝からいちごの摘み取りを開始し、夜に家に帰るまで座る時間すらなく、体力的にも精神的にも大変でした。
   就農1年目は農業大学校での実習中には発生しなかった病害虫が蔓延し、2年目には温度管理に失敗するなど大幅な減収となり、栽培の難しさを痛感しましたが、3年目からは順調に栽培できるようになり、今となっては新規就農して良かったと思っています。
   毎年気温や天候等の気象条件が違い、それに伴い苗の生育や果実の肥大、病害虫の発生状況等も異なるため、様々な工夫を行っています。これらの取組を厭わず試行錯誤を楽しめる人にとって、農業は向いているのではないでしょうか。

お問合せ先

経営・事業支援部経営支援課

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