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近畿農政局

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地域に支えられ地域と共に発展を目指す


                                                         就農市町村   :京都府京丹後市久美浜町

      氏         名   :鶴 龍郎さん(33歳)
      出   身   地   :大阪府高槻市
      就農前の職業:フリーター経験のみ
      経 営 開 始   :平成30年
      営 農 類 型   :当初は果樹・野菜作、現在は育苗中心
      経 営 内 容   :ハウス49棟、露地4ha
      販 売 金 額   :1億2千万円
      労   働   力   :役員2名、正社員5名、常勤パート5名、
                                                                              外国人労働者(特定技能)4名



●就農した理由を教えてください
   東日本大震災の災害ボランティアの経験から、他の人に奉仕が出来ることにやりがいを感じました。それからフィリピンに赴き国際協力の仕事を視察し、現地の従事者に指導して頂くことで、自分自身に必要なものは経営スキルであると感じると共に、どこの国であっても必要である食と農業に関心を持つようになり、農業を始めました。
   当初は京丹後市丹後町に移住し露地野菜を中心に栽培していましたが、その後、京丹後市久美浜町に移転し、2021年に知人と2人で新たに法人(シーズファーム株式会社)を立ち上げました。

●育苗を選んだ理由を教えてください
   当初はサツマイモ等の青果物を生産販売していましたが、生産性や価格等、様々な面で安定感のない青果より、販売までが短期間で、農業でありながら工業的な生産で販売が可能なサツマイモ苗等の販売に切り替えました。苗の品種は、比較的ロス率も低く、砂丘地という土壌の特性を活かすことができるものを選択しました。

●就農相談や研修はどうされましたか
   京都府の農林水産業ジョブカフェで、農家で半年間の研修が受けられる制度(就農インターンシップ)を使い、京丹後市丹後町にある個人の農園で研修を受けました。
   2021年に法人を立ち上げて、サツマイモ苗を中心に生産販売を始めた際には、法人の代表を務める共同経営者が元々苗生産のノウハウを持ち合わせており、併せて、その後に岡山県の苗生産農家と知り合い、更に専門的な苗生産の知識を得るために現地へ出向いて勉強しました。

●京丹後市で就農した理由を教えてください
   出身は大阪ですが、農業を始めようとした時に「京ブランド」と観光農園に関心があり、最初は京都市周辺で農地を探し始めましたが、適当な農地が見つからず、徐々に候補地を求めて北上していくうちに、海が開けていて景観が良い京丹後市に行きつき、その土地に魅力を感じ、すぐに移住して農業を学ぶ決意をしました。

●農地の確保は問題なくできましたか
   研修先の師匠にお借りした京丹後市丹後町の圃場(露地20a)で農業を始め、当初は収入確保のためにアルバイトもしながら、京丹後市での関係者を増やしていきました。
   就農3年目にアルバイト先の果樹農家の方から国営農地が空いていて、併せて栽培や販売の補助をしていただけるという提案をもらい、現在の京丹後市久美浜町に拠点を移しました。
   その後、近隣で廃業された農家の作業場やハウスを含む農地(ハウス10棟、農地1ha)を新たに借りられる機会があり、規模の拡大に踏み切りました

●就農時に整備した施設、設備、機械について教えてください
   購入資金が無かったため、基本的にはほとんどの機械を知り合いの農家の方々にお借りし、就農当初に買ったものは5万円の軽トラックと草刈機、クワだけで、作業場も車庫などをお借りしていました。

●設備投資(施設、機械含む)の資金はどうやって確保しましたか
   丹後町から久美浜町に拠点を移した時期に日本政策金融公庫から調達し、設備やトラクターに投資しました。

●設備投資のほかに就農にあたっての支援事業は何か活用されましたか
   青年就農給付金を3年間活用させていただきました。

●労働力はどうやって確保しましたか
   法人を立ち上げた以降は、農家のアルバイト先で出会った友人やハローワークの求人で雇用したスタッフもいます。趣味のサーフィンをきっかけに知り合った人達も働いてくれました。
   また、人材派遣会社からの紹介で外国人(特定技能)も雇用しています。
   加えて、繁忙期には、多い時で約30人程度雇用していますが、地元の方が知り合いに声をかけて集めてくださっています。

●地域との関わりで意識していることは何かありますか
   特に移住者である新規就農者にとって、地域住民の方々とのお付き合いや日常のコミュニケーションを踏まえた連携は、事業を発展継続させていくには不可欠と思っているので、積極的に応対するようにしています。それは、農業従事者コミュニティは当然のことながら、観光業や製造業等を含む様々な事業者が集うコンソーシアム(丹後リビングラボ)等に参加し、他業種コミュニティとの関わりも積極的に増やすようにしています。

●販売先はどこですか
   主要作物であるサツマイモ苗のメインの販売先となっているホームセンターは、同業の種苗農家からバイヤーを紹介してもらったのがきっかけで販路を拡大していき、そのほか、京丹後市に出来たサツマイモの加工工場に出荷する生産部会の農家へも農協を通じて苗を販売しています。

●今後の目標
   さらに、たくさんの生産者の方々と協力し事業拡大に取り組んでいきたいと思っています。
   また、生産規模の拡大をする中で課題解決となったヒントが、新たな事業の発展に活きてくると感じているので、苗の生産販売に留まらずチャレンジしていきたいと思っています。
   例えば、温度調節機能等があるサツマイモの貯蔵庫の特性を活用すれば、小型の鶏舎としての利用が可能であると考えて、貯蔵庫の空いた時期を有効活用した養鶏に取り組むことを始めました。
   鶏肉は、食肉加工を外部に委託し、地域の旅館の地元食材として利用してもらえるよう販売していますが、最終的には食肉加工や販売、飲食店の経営まで一元管理し、直接お客様の笑顔が見られる商売もしたいと思っています。

●新規就農を目指す方へのメッセージ
   移住して縁もゆかりも無い土地で新規就農する場合、まず地元の農業従事者とのコミュニティに関わりを作りながら就農することが大切だと思います。なぜなら、新規就農においてはインターネット上にあるような情報ではなく、地域に密着した情報が非常に貴重で、地元の農業従事者から情報をいただける関係性を作っていくことが重要ですので。
   また、一人で新規就農にチャレンジしようという方は、一人で営農することに固執することなく、協働や協力関係を築き、チームで取り組むようにしていくことをお勧めしたいです。
   最後に新規就農を目指しているなら是非一度お気軽にご連絡ください。サーフィンをしたり海を見たり畑仕事をしながら就農に向けて一緒に考えさせて欲しいと思います。
                                 (連絡先:鶴龍郎 電話番号080-2505-9258)
                  

お問合せ先

経営・事業支援部経営支援課

代表:075-451-9161(内線2793)
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