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近畿農政局

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週末農業からはじめて認定新規就農者へ

   
      就農市町村   :大阪府八尾市
      氏         名   :渡邊博文さん(31歳)
      出   身   地   :愛知県岡崎市
      就農前の職業:民間企業(広告代理店の営業)
      経 営 開 始   :令和5年1月
      営 農 類 型   :露地野菜作
      経 営 内 容   :2ha(さつまいも)、10a(オクラ等)
      労   働   力   :ボランティアに作業を手伝ってもらっています。
                          (繁忙期には1日平均5名ほど)
                           収穫や袋詰め等の一部作業を就労継続支援B型事業所に委託しています。



●就農した理由を教えてください
   数年前にアニメの「銀の匙」を視聴して以来、農業に興味を持つようになりました。前職の転勤に伴い平成31年に大阪府で暮らし始めたことを機に、週末農業を始めたいと考えました。
   趣味として農業を始めるため、SNSで「大阪」「農業」のキーワードを検索し、ヒットした農家約15軒に「農業がしたい」という内容のメッセージを送信しました。八尾市の専業農家からの返信を受けて、令和2年3月より農作業の手伝いしながら、さらに約4aの農地を借り受け、週末農業を開始しました。
   農業に取り組むうちに、都市農業が抱える「都市に住む子ども達は農業体験をする機会が減ってきている」「都市に住む大人たちも食や農に触れる環境が無くなってきている」「栽培活動が行われない耕作放棄地が急加速で増えている」という3つの課題を解決したいと考え、脱サラし新規就農しました。

●作目(さつまいも)を選んだ理由を教えてください
   週末農業だけでは、育てた野菜の収穫から出荷までの作業をすべて行うのは時間が足りなかったことから、その問題を解決できる観光農園を始めました。来園される地域住民と関わるうちに、上述の「都市に住む子ども達は農業体験をする機会が減ってきている」ということに気づき、新規就農後も観光農園を継続したいと考えました。
   週末農業で様々な野菜の栽培方法を学ぶ中で、さつまいもは初心者でも育てやすく、観光農園としても成り立つ点に魅力を感じ、選択しました。

●就農相談はどこにしましたか
   前述の八尾市の専業農家に相談し、新規就農する際の農地確保に協力してもらいました。

●研修はどこで受けましたか
   約3年間、毎週末、八尾市の専業農家のもとで土づくり等の基礎から農業を学びました。
   農業大学校や研修農場等で研修を受けたわけではありませんが、週末農業での栽培記録をとる等して、その実績が認められて認定新規就農者に認定されました。
   また、週末農業をしていたとき、仲間作りのため農業に関わる方が知識を共有できる集まりであるfunfarmというSNSのコミュニティを作って活動していた時期があり、そこで知り合った鹿児島県のさつまいもの生産者が、就農後もボランティアでメンターとして支援してくれています。普段はSNSでやりとりをしており、さつまいもの写真を送って病気に罹ってないか確認してもらったり、営農についての質問をしたりしています。また、年に数回大阪に来てくれたり、こちらから鹿児島を訪問したりしています。

●八尾市で就農した理由を教えてください
   八尾市で週末農業をしていた縁もあり、同市内で農地を探し新規就農しました。

●農地の確保は問題なくできましたか
   新規就農する際の農地確保は簡単ではありませんでしたが、八尾市では、耕作放棄地の解消を図るために、JAが公的機関と連携して農地のマッチングを行っていたことから、前述の八尾市の専業農家の紹介もあって農地を借りることができました。
   その後は営農に取り組む姿が地元農家に認められ、JAを通して農地の借り受けを打診されるようになり、耕作放棄地を含めた農地を可能な限り借り受けて、少しずつ規模拡大しています。

●就農時に整備した施設、設備、機械について教えてください
   ツル切機と洗浄機は経営発展支援事業を使って購入しました。
   トラクターは借り受けている農地の所有者から譲り受けました。
   リーファーコンテナ2台や新しいトラクターの購入、その他運転資金には青年等就農資金を充てました。

●設備投資(施設、機械含む)の資金はどうやって確保しましたか
   新規就農するにあたり、補助金や融資制度についてネットで調べたり、新規就農する際にお世話になった前述の八尾市の専業農家や、JA、八尾市に相談しました。
 【国の新規就農者育成総合対策の活用】
       経営開始資金
       経営発展支援事業
 【日本政策金融公庫】
       青年等就農資金約3,000万円
 【JA大阪中河内】
       JA新規就農応援資金

●労働力はどうやって確保しましたか
   従業員等の雇用はしていませんが、さつまいもとは別の農地で育てているオクラ等の収穫や袋詰め等の作業を就労継続支援B型事業所に委託しています。
   委託した経緯は、野菜の袋詰め業務を行う就労継続支援B型事業所から営業の電話があり、業務委託が始まりました。作業が丁寧で速いことや、障がい者の社会参画へ貢献できることに魅力を感じ、農福連携に取り組んでいます。

●地域との関わりで意識していることは何かありますか
    週末農業をしていた時期に、借り受けていた約4aの農地で開催したとうもろこしの収穫体験の反響が良かったことから、新規就農後もさつまいもの収穫祭を開催しています。都市住民が農業を身近に感じ興味を持つきっかけになりやすく、需要もあるため、今後も継続して開催したいと考えています。
   また、新規就農と同時に4Hクラブに加入しました。農業者同士の横のつながりが持てるため、加入してよかったと思っています。


●販売先はどこですか
   自ら地元のスーパーや百貨店に電話営業を行い、販路を確保しました。多くの電話をかけましたが、前職が営業職であったためそれほど苦にはなりませんでした。
   八尾市内でさつまいもを生産し、安定供給できる農家が少ない一方で、地産地消を重視するスーパーや百貨店が多く小売りへの需要はあります。

●今後の目標
   耕作放棄地を可能な限り借り受けて、さつまいもの作付けを中心に経営規模の拡大を計画しています。そして、来年法人化する予定なので一層の経営の発展を図っていきたいです。
   また、農業の関係人口増加に貢献することを目指して、半農半Xなどの農業と関わる方に、さつまいもの苗等を提供し、生産したさつまいもを全量買い取ることで、安心して農業に携われる仕組みづくりを確立させることが目標です。
   さらに、農福連携についても取り組んでいきたいと考えています。現在、オクラの収穫や袋詰め等の作業を、東大阪市にある就労継続支援B型事業所に委託しています。冬はたまねぎの収穫・袋詰め等の作業委託を予定しており、1年を通して作業を委託できるような仕組みづくりの構築に取り組んでいます。

●新規就農を目指す方へのメッセージ
   農業は青年層の担い手が少なく高齢化していることが社会問題となっていますが、逆に言うと若くてやる気のある人材が求められている産業です。
   週末農業を始めて以来ずっと、農業ほど豊かで楽しいものはないと感じています。少しでも農業に興味がある方はまず体験農園に、そして自分で野菜を作ってみたい方は家庭菜園や半農半Xに挑戦してみてはいかがでしょうか。

お問合せ先

経営・事業支援部経営支援課

代表:075-451-9161(内線2793)
ダイヤルイン:075-414-9055