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近畿農政局

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自然のままに、農業を楽しむ

      就農市町村   :兵庫県朝来市→兵庫県神河町
      氏         名   :野村俊介さん(46歳)
      出   身   地   :兵庫県神戸市
      就農前の職業:民間企業
      経 営 開 始   :2015年(朝来市)→2018年(神河町)
      営 農 類 型   :茶
      経 営 内 容   :茶園7haでの生産、製茶工場での製茶、Web販売、屋外茶カフェ等
      労   働   力   :常時雇用4名、臨時雇用2~3名



●就農した理由を教えてください
  サラリーマン時代に仕事に迷いが生じていた時、朝来市で自然栽培に取り組んでいる高校の同級生に再会し、時勢や外的環境に左右されない無農薬・無肥料の農業やその生き方に衝撃を受け興味を持ちました。友人をはじめとする新規就農者の体験談から、就農10年後の黒字化を想定し、それまでは農業収入に頼らず副業による生活を覚悟して会社を退職。同級生が営農している朝来市に移住し、自身が好む香味野菜である胡麻と生姜を生産品目に決め、無農薬・無肥料栽培を始めました。

●現在経営されている茶を生産品目としている理由を教えてください
  朝来市での営農開始後、2016年に友人と偶然、神河町の茶園を訪れたことがきっかけです。見渡す限りの広大な景観に圧倒されたのですが、前年に生産組合が解散して後継者が見つかっていないと聞き、率直に、このまま廃園になるのは惜しいと感じました。自身の関心がある無農薬・無肥料栽培もここで実現できそうだということもあって、茶園との出会いに運命的なものを感じ、朝来市での営農から転換して神河町に移住し茶園を継承することを決意しました。

●就農相談はどこにしましたか
  朝来市で営農をしていた高校の同級生に相談をし、市役所なども訪問して親方農家さんを紹介いただき、無農薬栽培を学びました。神河町では、地元の金融機関や大学、元生産組合員等からなる、茶園の継承者を探す事業組合に相談をしました。

●研修はどこで受けましたか
  神河町の茶園継承時は、茶園の継承者を探す事業組合に自らも加わることで、元生産組合の組合員から2年間、茶の栽培管理の技術指導を受けることができました。
  新規就農時に知り合った朝来市の茶園の方にも栽培や製茶方法等の茶園経営を相談しており、その紹介で兵庫県茶品評会や県の就農支援センター主催の講演会などにも参加して、経営の参考にしています。

神河町で就農した理由を教えてください
  神河町を訪問したのは友人の提案で偶然でしたが、高齢化による生産組合の解散に伴い、ちょうど後継者を探されていたタイミングであったことや、製茶工場付で多額の初期投資が不要であったことで、スムーズに入ることができました。製茶工場のおかげで、現在は生産から販売まで一貫プロデュースが可能で、経営を軌道に乗せることができています。
       

●農地の確保は問題なくできましたか
  神河町では、後継者を探す事業組合に後継者候補として自らが加入することで、継承準備とともに適切な栽培管理を条件に、茶園の地域から7haのまとまった園地を賃借することができました。

●就農時に整備した施設、設備、機械について教えてください
  茶園では事業継承であったため、施設や設備はそのまま引き継いで使用することができました。製茶工場は、茶園継承時は所有者であった農協が運営管理していましたが、継承2年後からは適切な管理を条件に無償で借用することができ、自ら運営管理しています。

●設備投資や就農にあたって、支援事業は何か活用されましたか
  朝来市での就農当初は、朝来市の新規就農向けの研修支援制度を活用しました。
  神河町にきてからは、製茶機等の整備に中小企業庁のものづくり補助金を活用しました。

●労働力はどうやって確保しましたか
  SNSや神河町、姫路市等で参加しているマルシェを通じて、作業を手伝ってくれる人が自然と増え、現在は通年雇用で4人(うち一人は製茶師)、繁忙期には追加で2~3人を臨時雇用しています。

●地域との関わり
  「仙霊茶」ブランド は300年の歴史があるため、商標は独占せず町で取得してもらいました。町内には個人の茶園もありますが製茶場はここにしかないので、町内や隣町の他茶園の製茶も請け負っています。
  茶園の継承者として地域に温かく受け入れていただき、地域の菓子店で原材料として使ってもらったり、数年前からは、地元の小学校や自治体のイベントで子供向けに茶摘みや製茶体験も提供し、交流しています。
       

●販売先はどこですか
  8割がWEB販売で、菓子店やカフェなどの業務用が多く、神戸や東京のホテル内レストラン向けにも販売しています。SNSがきっかけであったり、知人からの紹介など、先方からのアクセスで取引が始まる場合が多く、1つ1つの出会いから繋がり、広がっていると感じています。前職の営業経験も活かし、自然体で楽しみながら取り組んでいます。

●今後の目標
  無農薬、無肥料栽培を実施し、肥料を使って味をのせるのではなく、変化のある味を生かしたブランド展開を目指しています。一番茶として収穫され高値がつく新茶だけでなく、二番茶に付加価値をつけ、ほうじ茶やフレーバーティとして通年で展開することで売り上げを確保するほか、今後は台湾向けをはじめとした輸出も検討しています。また、「茶園オーナー制度」を取り入れ、全国の会員に対し定期的な商品郵送やイベント招待をしていて、今後は海外の会員も増やしたいと考えています。
  茶園の絶景を生かし、屋外で仙霊茶を楽しんでもらう茶カフェを実施していますが、将来的にはトレーラーホテルを利用した農泊などの構想もあります。
  また、省エネルギー生産にも関心があり、茶刈機の軽量化やソーラー発電を取り入れたバイオマス型の製茶場の整備などにも取り組めたらと考えています。
               

●新規就農を目指す方へのメッセージ
  最初のうちは困難なことも多くありますが、何事も、時間と成果は比例せず、指数関数的に増加するものであり、立ち上がりまでの期間を耐える姿勢が必要であると、自身の経験からも実感しています。
  自分たちは、お茶の味を「作る」のではなく、自然のままに「引き出す」、という独自のスタイルで、肩の力を抜いて楽しんでいます。どのような結果になっても自分でしたことは経験になるので、楽しむ気持ちでチャレンジをしてほしいと思います。

お問合せ先

経営・事業支援部経営支援課

代表:075-451-9161(内線2793)
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