このページの本文へ移動

近畿農政局

メニュー

就農準備と人とのつながりを大切に

      就農市町村   :兵庫県赤穂市
      氏         名   :小川敬生(31歳)
      出   身   地   :兵庫県神戸市
      就農前の職業:肥料メーカー
      経 営 開 始   :令和2年2月(赤穂市)
      営 農 類 型   :果樹
      経 営 内 容   :もも70a、ぶどう30a、みかん1ha
      労   働   力   :2人



●就農した理由を教えてください
  幼少期から自然や農業と触れ合う機会が多かったことから中学生の時に将来農業をしたいと思い、農業高校、農業大学校に進学しました。そこで、非農家出身者が農業を行うことの難しさや農業の現実を知り新卒での就農は一度断念しました。しかし、肥料メーカーに入社し、日本全国の生産現場に赴き、顧客の篤農家に提案、営業を行う中、各産地に応じた農業経営等を知ることができ、農業という産業への理解が深まり、知識が付いたことで、自信を持って農業をしたいと思えるようになりました。そこで、農業大学校時代に就農の夢を語り合っていた同級生を誘い、就農前に就農5カ年計画を作成し、地元兵庫県での就農を決めました。

●果樹を選んだ理由を教えてください
  木になる果物が好きで、農業高校時代から果樹の勉強をしていたことや前職で果樹の研究に携わっていた経験もあったことから、嗜好品として親しまれ、味や品質の差別化によりブランド化ができる果樹を選択しました。栽培品目には自身が好きなもも、兵庫県で多く栽培されているぶどう、赤穂市がみかんの産地であったため、みかんを選びました。

●就農相談はどこにしましたか
  果樹での栽培を考えていたこと、前職で西日本各地の産地を訪問し、産地の歴史を知り、技術を継承するような気持ちを持って就農することも重要であると感じていたことから、果樹の主な産地があるような、兵庫県下の市役所をいくつか回り、就農相談しました。

●研修はどこで受けましたか
  農業高校、農業大学校、前職での経験から、農業の知識や技術は既にあったため、研修機関で研修は受けませんでした。みかん栽培については、就農後、地域のみかん農家に収穫等の仕事を斡旋いただき、栽培方法を学んでいたところ、後継者を探されていた、赤穂地域でのみかん栽培技術の第一人者である篤農家の方から、継承を前提に園地の管理と栽培指導を2年ほど受け、園地を継承後の現在もアドバイスをもらっています。

●赤穂市で就農した理由を教えてください
  市の担当者の方や地域の方が親身になって、農地の斡旋や収穫アルバイトなどを紹介してくださったことで「ここで農業をしたい」との思いが募り、赤穂市での就農を決意しました。特に地元の自治会長さんから自分たちの就農計画を地域の人に発表する機会を設けていただき、地域に馴染みやすいよう配慮してもらえたことはありがたく、人との繋がりが就農を軌道に乗せてくれたきっかけになったと思っています。

●農地の確保は問題なくできましたか
  ももとぶどうについては、就農計画を地域の方々に発表した翌週から、自治会長さんが農地を集めていただき、1haの農地を確保いただきました。また、みかんについては、地域の篤農家の方がご高齢になったことを理由に継承者を探されていて、樹園地をそのまま継承することができました。

●就農時に整備した施設、設備、機械について教えてください
  ももとぶどうの樹園地は当初、一部が雑木林でしたが、約1年半かけて近隣の農家の方から小型ショベルカーを借りて同級生と2人で開墾することから開始しました。本来の品種の味を消費者に味わってほしいという思いから、完熟出荷に適した品種を選定して、若木を新しく植え付けました。また、品質を高めるために虫害防除ネットやぶどうの雨除けのほか、降雨の影響を受けにくい根域制限栽培を実現するため、ポット形式で灌漑設備も導入するなど、栽培方法にもこだわりました。前職等の経験から施設整備の知識はある程度あったため、それらは全て自分たちで資材を購入して整備しました。

●設備投資や就農にあたって、支援事業は何か活用されましたか
  青年等就農資金、新規就農者育成総合対策のうち経営開始資金、草刈機の導入に高収益作物次期作支援交付金を活用しました。また、施設整備の資材費を補助する県の支援事業を活用しました。

●労働力はどうやって確保しましたか
  農業大学校の同級生と2人体制で営業・技術担当、圃場管理・整備担当に分けて、就農時から共同経営を行っています。経営面積を拡大し、売上高が増えるまでは当面2人での営農を継続する予定です。

●地域との関わり
  日頃から地域の方々の話を聞くことを大切にしています。地域の歴史を学ぶことで、その地域に適した作物や気候の特徴等を知ることができ、自然を相手にする農業に重要なことを知るきっかけにもなり、お互いに理解し合えて地域に馴染み易くなるのではないかと考えています。
  また、「赤穂農業後継者の会」という地域の生産者団体に所属し、定期的に地域PR活動や地域の農業後継者育成等についての意見交換等を行っています。

●販売先はどこですか
  大部分をJAの直売所に出荷しており、地場産品を大事にしているスーパーでも取り扱っていただいています。

●今後の目標
  法人化を検討しており、技術の向上や樹園地が成園となるに伴い、収量が増えてきた際は、飲食店等への出荷も行っていきたいです。地域の方々が買い物のついでに買いたくなるような身近なフルーツを目指して生産を行い、地域に根差した農業を行っていきたいです。

●新規就農を目指す方へのメッセージ
  農業は「準備」と「人のつながり」が大切だと思います。地域の方とコミュケーションを取ることで地域に入りやすくなるほか、その地域の気候風土や産地の歴史を知ることができ、営農計画も立てやすくなります。地域のことを知り、就農前に将来を見据えた収益、販売形態、想定されるリスク等の具体的なプランを立てるなど準備をしっかり行って就農することで、農業を続けていくことができるのだと思います。農業を楽しみましょう。

お問合せ先

経営・事業支援部経営支援課

代表:075-451-9161(内線2793)
ダイヤルイン:075-414-9055