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近畿農政局

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農業の自由さに楽しさとやりがいを感じて

      就農市町村   :兵庫県姫路市
      氏         名   :片岡佑介さん(39歳)
      出   身   地   :兵庫県西脇市
      就農前の職業:食品会社
      経 営 開 始   :2018年
      営 農 類 型   :施設野菜、果樹、水田
      経 営 内 容   :メロン25a、ぶどう15a、水稲50a、
                           野菜(リーフレタス)10a
      労   働   力   :2名(本人、妻)



●就農した理由を教えてください
  大学の農学部生の頃から全国各地で農業アルバイトを行っていて、楽しそうな農家を見ながらいつかは農業をしたいと思っていました。卒業後は食品企業に就職し農業部門で働いていましたが、その会社が農業部門を廃止した際に、今が就農の転機ではないかと考え退職。周囲からは否定的な意見もありましたが、農業は生きていく上で根幹となる食を担う大切な産業で、人生を懸けるに値するやりがいある仕事との確信があって、就農を決意しました。

●メロンやぶどうを選んだ理由を教えてください
  会社の農業部門が千葉にあり、取引先の農家で出会ったメロンの美味しさに衝撃を受けたことがきっかけです。農業をするなら、消費者の反応を実感できる直売の形態が可能な品目の方が、やりがいが感じられると思っていたので、メロンは理想的でした。単価がある程度高い作物なら自己の労働力だけでも収益が確保できると判断し、味や品質の差別化に幅があり挑戦できる楽しみもあるメロンで就農することに決め、同じ条件で、メロンと出荷時期の重ならない品目をもう一つ生産しようと思い、ぶどうを試みることにしました。
       

●就農相談はどこにしましたか
  退職後は千葉県で栽培技術を学びながら、就農は出身地である兵庫県にしたいと考え始めていたので、自身や妻の出身地付近のほか、直売で経営するためになるべく人口や観光客の多い地域の市役所を5か所程を訪ねました。また、就農支援をしていた兵庫みどり公社(現ひょうご農林機構)や農業改良普及センター等にも相談に行きました。

●研修はどこで受けましたか
  千葉県で退職し、そのまま千葉県内の産地でメロン栽培の研修を2年間受けました。その間にメロンの収穫時期と重複しない露地ぶどう農家へも視察研修に出向き、ぶどうの栽培技術も学ぶことができました。
米は姫路市で就農後に地区内の米農家の方に勧められ、教わりながら無農薬、無化学肥料での生産をしています。

●姫路市で就農した理由を教えてください
  気候が温暖で生産がしやすいような農地と、移住のための借家を同時に探していたところ、兵庫みどり公社の担当者を通じて農地と倉庫付きの家をセットで借りられる話があり、姫路市に決めました。

●農地の確保は問題なくできましたか
  今の就農地は、家に付属した農地のほか、その後に同地区で他にも耕作放棄地があることの紹介も受け、併せて姫路市で約1haを借りて就農を開始することができました。姫路市に決まる前には、他市での就農が決まりかけた矢先に貸主さんの急なご都合でキャンセルとなったこともあります。研修期間を延長して就農地を探し直すことになりましたが、結果的に栽培技術を磨く時間が増え、良い就農地にも巡り合うことができました。

●就農時に整備した施設、設備、機械について教えてください
  トラクター等、多くは新たに購入しましたが、一部は研修先のメロン農家から中古品を譲っていただいたほか、稲作用機械や直売用スペースなどは地域の方が無償で貸してくださっていて、多くの方に助けていただいています。
  就農直後は初期投資を減らすため、メロンは露地のトンネル栽培で始めましたが、兵庫県内ではメロンのトンネル栽培をしている人がほとんどなく、資材の選定が正しいか試行錯誤しながら行っていました。その後、徐々にハウスに切り替え、現在はハウス5棟で栽培しています。メロン栽培開始と同時にぶどうも苗を定植し、棚仕立てにして雨除けをつけるなど果樹の成長に併せて園地を整備しながら栽培を始めました。メロンのハウス資材やぶどう棚の雨除け資材は、種苗会社さんからの紹介で隣接する市の離農者から譲り受けたものもあり、経費削減のため自身で組み立てて設営しました。
                 

●設備投資や就農にあたって、支援事業は何か活用されましたか
  就農前は千葉県で農業次世代投資事業の準備型を、就農後は兵庫県で同事業の経営開始型を活用しました。
  就農後は、当時、姫路市が新規就農者に機械購入に使える補助金として支援していた姫路市新規就農支援事業補助金を活用し、栽培用の管理機、耕運機、草刈機、動力噴霧器、エンジンポンプ、マルチ張り機、ブドウ棚、予冷庫を整備しました。

●労働力はどうやって確保しましたか
  家族経営で、おおまかには自身がフルーツを、妻が米を主担当としていますが、共同で行っています。果樹の栽培は技術が必要で短期雇用は難しく、当面は家族でできる面積での営農を継続する予定です。

●地域との関わり
  就農した地区には知り合いはなく不安な面もありましたが、住んでみないと地元の信頼も得られないだろうと考え、思い切って移住し就農を始めました。
  結果的に、メロンの直売や農作業をするうちに地域の方にも顔や名前を覚えてもらえて、少しずつ信用を得ることができ温かく受け入れていただいています。特に、地域で顔が利く地主さんや農家さんが面倒を見て下さったことで、とても助けられたと思います。
  地域との触れ合いも大切にしながら楽しみたいと考えていて、2023年には姫路市の農業振興センターと共同で、地域の消費者、メロンの家庭菜園希望者等に対し、メロン栽培講習会&オープンファームを実施しました。これからも地域で農業を身近に感じてもらえるようなイベントができたらと思っています。


●販売先はどこですか
  出荷の初年度は地元スーパーへ販売依頼をしたり、姫路市からの紹介を受けて、市内産青果物を求めていた卸売市場へも出荷していましたが、2年目以降はチラシ配布や直売での試食等の取組により、リピーターや口コミで直売の売上が徐々に増え、就農6年目の現在では理想とする直売が主になっています。
  直売は規格や出荷数、価格も自由に設定が可能で、何より鮮度が抜群の状態で販売できます。直売所はバイパスの出口付近で交通量も多く立ち寄りがしやすいこと、また、メロン園地のすぐ横の立地なので購入時に見学に寄って下さる方もいて、堆肥や緑肥の活用による減農薬栽培や、糖度を見極めた適期収穫の様子を見ていただいたり、完熟で一番美味しい状態を味わっていただいた感想が聞けることも嬉しく思っています。
  最近では、ジェラートやパン、ケーキの原材料としてフルーツを使用したいという申し出もいただいて、洋菓子店等にも出荷しています。

●今後の目標
  消費者の方とふれあえる観光農園に興味があり、フルーツの生産品目を増やしたいと考え、試行栽培中です。また、将来的には自身の加工施設を整備し、フルーツを原料とした加工品製造などの6次化にも挑戦できたらと考えています。

●新規就農を目指す方へのメッセージ
  農業は自然の中で頭も体も使って自由に経営できるのでとてもやりがいがあります。一緒に農業を楽しみましょう!
         

お問合せ先

経営・事業支援部経営支援課

代表:075ー451ー9161(内線2793)
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