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近畿農政局

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いちごで紡ぐ様々な人との縁づくり


      就農市町村   :奈良県生駒市

      氏         名   :いちごの縁F(エッフェ)藤原大輔さん(45歳)
      出   身   地   :奈良県生駒市
      就農前の職業:民間企業
      経 営 開 始   :平成30年4月
      営 農 類 型   :施設野菜
      経 営 内 容   :いちご(26a)、さつまいも、
                           じゃがいも、たまねぎ、
                           トウモロコシ等(20a)計46a
      売   上   高   :1,000万円超(令和5年度)
      労   働   力   :3人(家族2人、パート1人)



●就農した理由を教えてください
  生駒市内のブロードバンド通信サービス会社に勤務していましたが、父親の定年後の姿を見て、自分の将来に重ね合わせた時、このまま働き続けることへの迷いと未来への葛藤が生じました。
  食べるものを作ることで地元の人や消費者とのつながりなど人付き合いを楽しむことができ、定年に関係なく働き続けることができる農業に魅力を感じ、非農家出身ですが、農業への転職を決意しました。

●イチゴを選んだ理由を教えてください
  「奈良県立なら食と農の魅力創造国際大学校」(以下「NAFIC」という。)」で農業の基礎や経営を学ぶ過程において、経営計画を立てやすく、計画通りの収益が確保できる品目として施設栽培のいちごを選択しました。
  奈良県が育成したいちごの品種「古都華」は、強い甘味と酸味のバランスが良く、見た目の艶が最高にきれいなところに魅了されました。また、いちごを好む人は多く、いちごを栽培することでたくさんの人との縁が生まれるのではないかと感じました。

●就農相談はどこにしましたか
  農家への転職を決めましたが、どうしたら農家になれるのかわからなかったため、生駒市農林課に相談し、奈良県北部農業振興事務所に設けられた新規就農等の相談に一元的に対応している「農業担い手ワンストップ窓口」に相談してみることを勧められました。当窓口で相談したところ、農業経験が全く無いことから、まずは農業の知識と実践力を身に着けた方が良いと言われ、運よく新設されたNAFICの1期生として入学することができました。

●研修はどこで受けましたか
  NAFIC在学中の2年目に、週2日、奈良市内のいちご農家の下で実習を受けました。
  また、NAFICからの紹介で、栃木県で開催されたいちご栽培に関する研修を受講した際、そこで知り合った農業者とその後定期的に連絡を取り合い情報交換を行っています。いちごが紡いだ縁を大切にしていこうと思い、屋号を「いちごの縁F(エッフェ)」に決めました。

●生駒市で就農した理由を教えてください
  地元での人の繋がりを大切にしたいという思いから、生駒市で挑戦することを常々考えていました。また、自宅から農地までの距離が近く、消費地である大阪へのアクセスがよいことも理由です。

●農地の確保は問題なくできましたか
  NAFIC在学中に生駒市農林課に農地を借りることができないか相談し、生駒市内にあること、1筆あたりの面積が10a以上あること、施設栽培ができること、道路に面していること、その他電気が引けることを要望としていました。1筆あたり10a以上の面積を確保することはできませんでしたが、それ以外の要件を満たす農地6aを借りてハウス4棟を整備し、いちご栽培を始めることにしました。その後、生駒市内の別の農地を計20a確保し、新たにハウス8棟を整備するとともに、その他に20aの農地も借りて野菜作りを行っています。
     

●就農時に整備した施設、設備、機械について教えてください
  パイプハウス4棟(6a)、暖房機、液肥混入機、二酸化炭素用の光合成促進機、循環扇等

●設備投資の資金はどうやって確保しましたか
  農林水産省の農業次世代人材投資事業のうち経営開始型、奈良県のなら農業参入コスト等低減リース事業並びに生駒市の青年新規就農補助金を活用しました。
    【国の新規就農者育成総合対策の活用】
        ・農業次世代人材投資事業(経営開始型):750万円(1年間150万円を5年間)
    【奈良県の補助金の活用】
        ・なら農業参入コスト等低減リース事業:300万円
    【生駒市の補助金の活用】
        ・青年新規就農補助金:50万円
                        
●初期投資にあたって留意したこと
  NAFICにおける研修期間中の生活費や就農に向けた準備資金として、農林水産省の農業次世代人材投資事業のうち準備型を活用しました。また、就農時の施設整備については、すべて新品で整備しました。最初に機械化する費用を惜しまないことが大事だと思います。初期投資を惜しんで後から設備を増設しようとすると、予定外の労力がかかり計画どおりに作業が進まなくなります。また、増設の際に融資を受けることができない恐れもあります。
    【国の新規就農者育成総合対策の活用】
        ・農業次世代人材投資事業(準備型):287.5万円(1カ月12.5万円を23か月間)

●労働力はどうやって確保しましたか
  就農当初の労働力は、本人、母のほか新規就農を目指す者を社員として受け入れ3人でスタートしました。社員とは、生駒市が開催したライフスタイルの選択肢を増やすきっかけになるセミナー「スタイリング・ウィーク」に私が講師として参加した際に知り合いました。昨年末をもって社員が独立就農したため、今年度は新たに近隣との繋がりの中でパートを採用する予定です。

●地域との関わり
  ほ場のある小明地区、高山地区では地域計画策定の中で中心経営体に位置付けられており、計画策定の座談会等に参加しているため、離農者等から農地の活用をお願いされることがありますが、現状では草刈り作業などの労力に余裕がないため、農地を増やすことができません。
  また、生駒市農業振興協議会ハウス部会に所属しており、生駒市が主催する買物難民対策事業の一環で、自家生産野菜を市内の一部の自治会に月1回のペースで移動販売を行っています。

●販売先はどこですか
  販路については、顔が見える、また、人との関わり合いの中での販売を目指しているので、農園内での直売が約7割を占めています。残りは、生駒市に隣接する大阪府四条畷市の量販店、生駒市のふるさと納税返礼品等。また、NAFIC在学中に知り合った人脈から東京都内のレストランにも販売しています。さらにNAFIC在学中の後輩(2期生)が奈良市内で焼肉店を経営しており、そこでいちごジェラートを提供することになり、その原料としても販売しています。
  生駒市が開催している生駒市内の生産者と飲食店をつなぐ取組「いこまレストラン」をきっかけに、新しい販売先が見つかることもあります。

●今後の目標
  農業者の高齢化や後継者不足により、耕作放棄地が増えてきています。これらの放棄地を自分たちの手で農地に戻していきたいと考えています。
  また、いちごは5月のゴールデンウィークを過ぎると売れ行きが極端に低下するため、価格が低下した時の影響回避に向け、たまねぎ、さつまいも、じゃがいも等野菜の栽培面積を増やしていき、収入が安定してきたら、いちごの栽培面積を50a程度まで拡大したいと考えています。
  いずれは、法人化も目指し、今年から始めたいちごの収穫体験のほか、野菜の収穫体験農場等も開設してみたいと考えています。

●新規就農を目指す方へのメッセージ
  まずは、就農しようとする地域の土地に早く馴染むことです。そして、本業が忙しくても地域の集まりには極力参加することにより地元の者との人間関係を円滑にすることが最も大事だと思います。
  就農当初はなかなか、販路等の確保が大変と思いますが、一生懸命やればなんとかなります。農業はこれからますます魅力が出てくる産業です。夢をもって飛び込めばその先に未来があると思います。
                 

お問合せ先

経営・事業支援部経営支援課

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