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近畿農政局

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「楽しいと思う仕事」それが農業

      就農市町村   :和歌山県那智勝浦町
      氏         名   :安田  裕志さん(44歳)
      出   身   地   :大阪府堺市
      就農前の職業:民間会社(建築関係)
      経 営 開 始   :平成23年9月
      営 農 類 型   :露地野菜(しょうが栽培)
      経 営 内 容   :しょうがを中心に、おくら、ナス、菜花(秋冬作)等の栽培
      販 売 金 額   :600万円
      労   働   力   :本人及び5年前から農福連携による社会福祉法人へ農作業を依頼
                                                     (年間延べ日数・人数:約10日・約140人)

●就農した理由を教えてください
   幼少期に祖父の家で農作業の手伝いをしたことが楽しい思い出となり、楽しい仕事がしたいとの思いで会社を辞めて、農業をするために高知県の農業法人に就職しました。

●作目(しょうが)を選んだ理由を教えてください
   高知県の農業法人で働きながらしょうが・露地野菜等の作物の栽培技術や農業経営を学んだ経験を活かせることから、栽培経験のあるしょうがを中心に露地野菜を栽培することにしました。
   しょうがは連作を嫌うため、3年のローテーションで作付けしています。現在、しょうがの栽培面積は約10aで、収穫量は約4トンです。今後は20aに作付けを拡大して10トンの収穫量を目指しています。栽培方法は、有機質肥料で土づくりをし農薬を使用せず栽培しており、現在1,500円/1kgで販売しています。また、ビニールハウス(6m×25m)を自設してしょうが栽培を行っており、現在、2棟目を設営中です。

●就農相談はどこにしましたか
   会社を辞めてすぐにハローワークに出向いて大阪府内で就農できる場所を探しましたが、大阪府内では農業での就職先の求人はなく、また、地元の堺市に就農相談した際に、都市近郊では農地を借りて就農するのは難しいと言われたことから、大阪府以外に目を向け、高知県の農業法人が従業員を募集していたのを見つけて就職しました。その農業法人は、有機栽培でしょうがを生産している有限会社で、最初に3週間の農業研修を受け、研修終了後、正社員に採用されたことから、そこで約2年間働きました。働くうちに、自立して農業をやりたいという想いが強くなり、また、他の農業経営も経験したいとの思いから、高知県の農業法人を退職して、有機農業を実践して循環型の農法に取り組む大阪府の農業法人に転職、住み込みで8か月間働きました。その農業法人で働いている時に受講したグリーンツーリズムのガイド資格研修の講師に自立して農業をやりたい想いを伝えたところ、和歌山県那智勝浦町を紹介され、町役場に相談しました。

●研修はどこで受けましたか
   高知県や大阪府の農業法人で働きながらしょうが・露地野菜等の作物の有機栽培の農業技術や農業経営を学びました。

●那智勝浦町で就農した理由を教えてください
   那智勝浦町色川地区では地区全体で農薬を使用しないで農作物を栽培しているとの説明があり、当初から有機農業を目指して就農したいと考えていたことから、移住することを決めました。加えて、移住推進を行っている色川地域振興推進委員会(以下「推進委員会」という。)から、住居、農地の斡旋・紹介など、親切な対応をしてもらい、サポート体制がしっかりしていたことで、新規就農することができました。
   就農後、現地で結婚し、現在は、集落内に家を借り家庭を持って暮らしています。

●農地の確保は問題なくできましたか
   農地の貸借は、推進委員会から斡旋をしてもらえました。
   約5aで経営を始めましたが、現在は新たに棚田の休耕田を借り受けるなど約60aに規模拡大しています。農地は小規模なほ場が多く、25筆を管理しています。
   最近では、まじめに農業に取り組む姿勢が認められ、近隣農家から農地を借りてほしいと声を掛けられるようになりました。

●就農時に整備した施設、設備、機械について教えてください
   就農時は、農機具を所有していなかったため、地区の農家から中古の草刈り機を譲り受けたり、トラクター等の農機具を借りてしょうが栽培を始めました。

●設備投資(施設、機械含む)の資金はどうやって確保しましたか
  それまでに働いて貯めた自己資金を取り崩して費用に充て、単身で移住したため生活費を切り詰めることで生活を続けることができました。また、県振興局を通じて青年等就農資金(100万円)の融資を受けることができ、営農資金(農業資材・農機具等の購入費用)に充てました。
 
●設備投資のほかに就農にあたっての支援事業は何か活用されましたか
   推進委員会から補助金(国、府県、市町村等)に関する情報を教えてもらい、青年就農給付金事業(経営開始型)を平成24年11月から4年間(給付額600万円)受領しました。また、農の雇用事業を活用して平成29年6月~平成30年10月の間、従業員を1人雇用しました。

●労働力はどうやって確保しましたか
   労働力は、従業員を1人雇用していた時期もありますが、基本的に私一人で行ってきました。その後面積が拡大してきたことから、令和元年に一般社団法人から隣町の社会福祉法人を紹介してもらい、それをきっかけに農福連携で年間延べ約140人に従事してもらっています。

●地域との関わりで意識していることは何かありますか
   近隣農家から地域の担い手として期待される存在になり、この地区の農地を維持して集落の活性化や環境保全に貢献したいと考えています。
   現在、農福連携に取り組んでおり、社会福祉法人のほ場で種しょうがを栽培し、収穫した種しょうがを買い取るとともに、社会福祉法人の施設利用者に、農薬を使用しないしょうがの栽培技術のアドバイスを行うほか、しょうがの栽培ほ場での敷き藁作業や収穫作業等の農作業に従事してもらっています。加工品では、社会福祉法人へしょうがパウダーの製造作業を委託して連携を強化し、製造に係る作業負担を軽減することで経営の効率化に取り組んでいます。
   また、地元の和歌山県内の事業者と商品販売についての情報交換を定期的に行い、互いに協力し販売先を新規開拓する等、販売促進に取り組んでいます。

●販売先はどこですか
   しょうがの販売先は、青果販売では個人(インターネット)、ホテル、飲食店、地元直売所等、50以上の販売先と取引しており、大阪や東京で開催される商談会等に出展して新たな販路開拓を行っています。
   農業収入を増やすため、しょうがの青果販売以外にしょうがパウダーに加工した商品も販売しています。通常、しょうがは保存庫で約1年程度保存できますが、パウダーに加工することで長期保存が可能で廃棄せずに利用できます。また、パウダーに加工することで、よりしょうがの香りが立ち、お菓子やパンの原料として使っている飲食店等からも好評を得ています。

●今後の目標
   令和6年3月に有機JAS認証を取得し、今後は、有機栽培の作付面積を拡大するとともに、高付加価値を付けて販売したいと考えています。また、有機加工食品も有機JAS認証を取得し、有機しょうがを原料としたしょうがパウダー等の加工品を販売していきたいと考えています。

●新規就農を目指す方へのメッセージ
   農業は、大変、儲からない、ダサい、みたいなネガティブなイメージを持たれる事がありますが、本当は毎日の生活に厚みの出るとても素敵な仕事です。気温が暖かくなった事に喜んだり、雨が降る事に感謝したり、風が吹く事に敏感になり台風の発生には心から心配したりします。
   どれも日常のあたり前の事ですが、当たり前の事を身近に感じられることが農業の素敵な所です。また、栽培している作物の成長は本当に嬉しく子育ての気持ちにも似ています。
   農業は先人の方々が繋いできた高度な技術の詰まった素敵な職業です。私もこれからも楽しみながら続けて行きます。新規就農を目指す方もチャレンジして楽しんで下さい。

お問合せ先

経営・事業支援部経営支援課

代表:075-451-9161(内線2793)
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