このページの本文へ移動

近畿農政局

メニュー

農地の集積・集約、ほ場整備による大区画化

 揖保郡太子町岩見構地区にある農事組合法人岩見の里営農組合が取り組まれている農地の集積・集約、ほ場整備による大区画化などの経緯を、組合の代表理事にお話を伺いましたので紹介します。

揖保郡太子町岩見構下地区

 太子町岩見構地区は、太子町西部に位置し、南西を流れる揖保川の沖積作用によって平野が形成された良質な土地を有し、農耕の発展と共に栄えてきた地域です。


農事組合法人の概要

 平成27年4月に農事組合法人 岩見の里営農組合を設立(揖保郡太子町岩見)
 ・代表理事(組合長)1名
 ・代表理事(副組合長)1名
 ・理事8名
 ・監事2名
 ・組合員56名

主な品目
 ・水稲(キヌヒカリ、きぬむすめ、ヒノヒカリ、はりまもち)
 ・小麦(シロガネコムギ)
 ・園芸作物(丹波の黒豆(枝豆)、じゃがいも、キャベツ、ブロッコリー里芋、さつまいも など)

イベント
 ・じゃがいも収穫祭
 ・枝豆収穫祭
 ・さつまいも収穫祭



農事組合法人 岩見の里営農組合 代表理事

農地の集積・集約、ほ場整備による大区画化への道

ほ場整備事業のきっかけ

年月 取り組み内容

昭和58年10月


 任意団体「岩見構下農用地改善組合」設立。
 当時のリーダーが今後の農政を鑑み、このままでは放棄田が増え地域農業が衰退することを懸念し設立。
 集団転作制度の下、共同で小麦の栽培を開始。


平成18年 9月


 「岩見構下生産組合」に名称変更。
 5年以内に農業生産法人への移行を条件に「特定農業団体」の認定を受け、新たに「岩見構下生産組合」として再スタート。


平成26年 5月


 組合員に対するアンケート調査実施
 当初は組合が管理する約20haの農地のうち、約15haで水稲を作付していたが、平成24年度には6haと約40%までに減少したことで、将来の水田維持に危機を感じた組合は、今後の方策を決める為、組合員に対してアンケート調査を実施。
 その結果、(1)後継者不足(高齢化)による労働力の低下、(2)農機具の過大投資などの問題点、(3)農作業の受託希望者が8割に達していることが判明。
 課題を解決する為の討議を重ねた結果、「ほ場整備を実施し農地を集約して、機械化によって省力化を図ることが最適である。」との結論に達する。



合意形成までの過程

年月 取り組み内容

平成26年 9月


 総会で法人化、農地中間管理機構の活用、ほ場整備事業を承認
 行政機関(町・県)から「平成26年度から農地中間管理機構(兵庫みどり公社)が発足している。それを活用してほ場整備事業にまで発展させるのが良いのではないか。」との助言を受け、(1)生産組合の法人化、(2)農地中間管理機構の活用、(3)ほ場整備事業を3点セットとして組合員に提案し、総会で承認を得る。
 承認を得る前段階では反対する組合員もいたが、理事4名で説明に回った。
 説得には個人の利益にこだわる組合員もいたので、「農地を大区画化することにより作業の効率化になる」、「今後、農地を保全するためには地域が1つにならなくてはいけない」など粘り強く話をすることで納得してもらった。


平成27年 3月


 人・農地プランの作成。


平成27年 4月


 「農事組合法人 岩見の里営農組合」設立。


平成27年11月


 「兵庫みどり公社」から農地の受け手として13.4haを借受ける。


平成27年12月


 調査設計・地元調査・計画策定・他事業との調整。


平成28年10月


 新規事業評価完了。


平成29年 9月


 「岩見の里土地改良区」設立。


平成29年10月


 ほ場整備事業計画確定、事業実施。


平成30年 9月


 地権者に換地計画原案説明。


平成30年11月


 第一工区ほ場整備工着手。



ほ場整備事業概要

 ほ場整備面積
  ・26.8ha(岩見構地区以外の吉福、福地地区を含む参加農家91戸)
  ・ほ場1枚の平均面積約1ha
  ・事業期間:平成29年度~令和3年度
                   平成29年度(実施設計)
                   平成30年度~令和2年度(区画整理工)
                   平成30年度~令和3年度(換地)


ほ場整備全体計画平面図

第一工区計画平面図


水田農業を次世代に引き継ぐために

農作業の省力化・効率化

 これまでは、一筆当たり農地面積が約10aと小さく不整形であったが、大区画化により大型農機具「GPS搭載の直線キープ機能付き田植機」が利用でき、労働時間の短縮化が図られた。
 さらに、令和元年には「乗用管理機(スプレーナビ(高速連動散布装置コントローラ付))」の購入を予定しており、これにより除草剤などの散布の効率化が図れると考えている。

ほ場整備が完了した第一工区

令和元年度 ほ場整備中の第二工区

 近畿農政局兵庫県拠点は、令和元年6月12日(水曜日)に完成した第一工区(4.6ha)で、GPS搭載の直線キープ機能付き田植機を使った田植えを見学しました。
 田植えのスピードもさることながら、施肥と除草剤散布が同時に行われることにより、農作業の効率化・省力化が図られていました。
 代表理事も、「この田植機を使うことにより、田植えと同時に施肥と除草剤散布が行えるので、作業効率が格段に向上する。」と話されていた。

GPS搭載の直線キープ機能付き田植機

 ほ場整備された農地のあぜの傾斜が高く、草刈りに大変な労力が掛かると考えており、神戸の事業者が開発した「雑草の種子の飛来を防ぐシート」の導入を考えている。


労力のかかるあぜ


導入を考えている防草シート

令和元年6月下旬に施工された防草シート

 ほ場整備に伴い水路をコンクリート施工し、給水作業が容易な取付式分水栓(手動)を導入。
 今までの小さな区画の水管理(ほ場の見回り)には相当な時間が掛かっていたが、区画が大きくなり、省力化が図られ、水路掃除も容易に行うことができる。

管理の省力化が可能な水路

 区画が小さく点在していたため収穫時の作業効率が悪かったが、ほ場に沿って4m農道を整備したことにより、収穫作業など効率化を図ることができる。

 

整備された4m農道



高付加価値農産物の生産などについて

 (1)ほ場整備が完了した暁には、機械化できる園芸作物があれば栽培に取り組むことも考えている。今のところは自分の目の届く範囲の農地(40a)での野菜栽培で十分である。

 (2)農産物の6次産業化については考えていない。そもそも放棄田が増えてはならないとの思いから組織を立ち上げているので、農地保全以外のことをして収益を上げなくても良いと考えている。経営拡大はせず、身の丈のあった、集落にあった取組を今後も実践していきたい。



後継者について

 (1)後継者は心配していない。この地域は交通の便が良く阪神間、姫路市など地元産業への就業に恵まれており、就職のために家を出るということが少ない。
 平日は会社員などで働き、土日などに農作業を手伝うということが出来る。
 この中には経営に詳しい者、機械に詳しい者などがおり、適材適所で役割を担ってもらい、徐々に組合役員、代表理事(組合長)を担ってもらえれば良いと考えている。
 また、退職後には組合の仕事を手伝って欲しいとの話をしておけば、退職後の協力を得ることができる。組合を定年退職後の第二の職場としてもらいたい。組織体制をしっかりし、地域内で世代交代すれば、外部から人材を呼ばなくても大丈夫だと考えている。

 (2)農作業は、大型機械(クーラー、オーディオ付き)を導入することにより快適となり、若い人が農作業に取り組みやすくなった。

お問合せ先

近畿農政局兵庫県拠点

代表:078-331-9941
ダイヤルイン:078-331-5924
FAX番号:078-331-5177