「花は観光、根は生薬に」シャクヤク栽培で地域農業を活性化 ~奈良県下市町栃原地区~
奈良県の下市町栃原(とちはら)は、柿の栽培が盛んな地域ですが、高齢化が進み重労働である柿の栽培が困難となり、高齢者も続けられる農業として、「柿の葉すし」用の柿葉に着目し、その生産拠点として農事組合法人 旭ヶ丘農業生産販売協同組合を設立して柿葉の生産販売に取り組んでいます。
平成25年からは二つ目の戦略品目として、同組合と株式会社大紀(農園部)が薬用作物の栽培を始めました。薬用作物のシャクヤクは、根を薬の原料にするために花を摘み取る必要がありますが、その花の美しさを観光資源として活かしたいという思いから、毎年開花シーズンには「シャクヤクガーデン」として、ほ場を一般に開放しています。
同組合の清水益成組合長は、「高齢者がシャクヤク栽培に関わることで少しでも長く農業を続けられるように、また、若い農業者が地域の担い手として活躍できる取組にしていきたい」と抱負を語られました。
(取材・撮影:令和5年5月)

【シャクヤクガーデン】
1.5ヘクタールのほ場に、約4万本のシャクヤクが植えられています
期間中は、約4000人がシャクヤクガーデンを訪れます
(画像提供:旭ヶ丘農業生産販売協同組合)

色とりどりのシャクヤクが訪れた人々を楽しませてくれます

【薬用作物の栽培】
霜害等で柿栽培に適していないほ場で薬用作物を栽培しています

堀 光博副組合長は、「薬用作物は、害虫の駆除や除草作業が大変で、取組を始めて10年目となり、やっと軌道に乗ってきたところ」と栽培の難しさを語られました

【木質チップで作業の省力化】
ほ場には木質チップが敷き詰められています
夏場の乾燥時期の保水効果や、薬用作物栽培で手間のかかる雑草対策にもなるそうです
また、機械化を見据えて畝幅を広げるなどの工夫をしています

適度に水分を含んだ木質チップ

【楽しく農業を続けるために】
「高齢者が楽しく農業を続けられるようにと、柿葉の生産販売、薬用作物の栽培に取り組んでいる。
農業はやりがいをもって楽しく取り組むことが大切であり、高齢者だけでなく、若い担い手も地域で支えていきたい」と語る清水益成組合長(写真手前)
(写真奥は、堀 光博副組合長)
【お問い合わせ先】
シャクヤクガーデン
開園時期:5月上旬から中旬頃まで
入園料が必要です。(花を持ち帰ることができます。)
【お問合せ先】
「シャクヤクガーデン」((株)大紀 農園部)
電 話:0747-53-0015
お問合せ先
奈良県拠点
電話:0742-32-1870