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近畿農政局

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ビール原料残渣から家畜の飼料へ

滋賀県多賀町|キリンビール株式会社滋賀工場

キリンビール株式会社滋賀工場(以下「滋賀工場」という。)を訪問し、ビール仕込粕(モルトフィード)を原料とする発酵飼料の製造・販売について、醸造エネルギー担当者にお話を伺い、意見交換を行いました。 滋賀工場は、1974年に操業開始。仕込粕設備も当初より設置されており、構内パートナー会社と共に運営されています。


意見交換の様子


 
左から 黒杭 工場長、伊藤 醸造エネルギー担当部長、古橋 醸造エネルギー担当


飼料製造について
企業として廃棄物の排出削減と環境負荷低減を第一に考え、合わせて産業廃棄物にかかるコストを少しでも軽減できることを目的としている。飼料としての製造技術も確立されており、需要も一定数あることから、設備投資したとのこと。



仕込粕ホッパー(外観)


仕込粕 昇降機

製造工程からの副産物
 仕込工程で麦汁を濾過した後に、ビール仕込粕(モルトフィード)が残渣として発生します。仕込粕を脱水・発酵処理して混合ビール粕(モルトレージ)が出来上がります。


仕込粕充填機

モルトレージ

脱水処理の後に、変質防止のため乳酸菌発酵を促進させることを目的に糖蜜を添加して、混合機にかけたものを金属検知を行った上でトランスバック(600Kg)に詰め、「混合ビール粕」として出荷されます。

社内品質規定により製品の水分は65%以下としており、出荷後の品質劣化が少なくなる。

脱水処理のみ行ったものは、「脱水ビール粕」としてバラ出荷されます。

発酵中


 
            出荷待ち保存品

 

トランスバック出荷が大半を占めており、主な販売先は、北海道から九州まで全国の酪農家でパートナー会社を通じて出荷されています。

出荷待ち
滋賀工場は、トランスバックを一定期間(1~2か月)待機できる場所があり、出荷時期を比較的柔軟に調整できる環境が整えられており、繁忙期でも飼料の生産に支障をきたすことはないとのこと。
  



今後に向けての課題
基本的に副次的な生産であるため、飼料の取扱量を増やすことは考えておらず、出荷先も調整可能な複数の小口契約を中心に取引している。
現在は最盛期(5~6月)に比べれば余裕がある状態で、時期によって業務量にはバラつきがある。
設備の老朽化(脱水機の更新時期)、ビール商品の多様化から、一部に脱水性の良くない仕込粕があり、脱水せず生仕込粕(モルトフィード)で出荷できる設備が望まれる。
税制改正によるビール比率の上昇により仕込粕は増加する方向である。一方酪農家は減少傾向となっており、そのアンバランスをどの様に調整していくかが課題となっている。






お問合せ先

滋賀県拠点 地方参事官室
TEL:077-522-4261