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近畿農政局

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里山の恵みを活かしたハーブ栽培と地域づくりの取組み

滋賀県多賀町|株式会社おおたき里づくり研究所 代表取締役 岩下 晃士さん

鈴鹿山系の豊かな里山と清流に囲まれた多賀町大滝地域は、美しい自然環境に恵まれる一方で、人口減少や高齢化、遊休農地の増加といった中山間地域特有の課題を抱えています。
2022年に多賀町地域おこし協力隊として活動を始め、ハーブ類の生産・活用を軸とした地域活性化に取り組んできたのが、株式会社おおたき里づくり研究所代表取締役の岩下 晃士(いわした こうじ)さん。
熊本県出身の岩下さんは、地元住民との交流やNPO法人おおたき里づくりネットワークでの活動を通じて、大滝地域の自然や人々の温かさに魅了され、地域おこし協力隊退任後も「地域の資源を活かした持続可能なまちづくり」に挑戦することを決意しました。


株式会社おおたき里づくり研究所
代表取締役 岩下 晃士さん


ハーブ等を原料としたクラフトリキュール

ハーブ類栽培導入のきっかけ

地域活動を進める中で岩下さんが目にしたのが、増加する遊休農地でした。
「なにか地域の新たな産業につながる作物はないか」と模索する中で出会ったのが、ハーブ類の栽培です。
ハーブ類は獣害を受けにくく、中山間地域でも栽培しやすいことに加え、高付加価値化に適した作物です。遊休農地の再生と地域産業の創出を両立できる可能性を感じ、その導入に取り組み始めました。


豊かな自然環境を生かした遊休農地でのハーブ類栽培



ローゼル
(写真提供:株式会社おおたき里づくり研究所)

遊休農地でのハーブ類の栽培

現在は、ローゼルやニガヨモギをはじめとして、農薬を使用しないなど栽培方法にこだわりながら、住民の皆さんと協力して畑づくりを進め、里山の景観維持や農地再生に貢献しています。
岩下さんは「何を育てるかだけでなく、誰と育てるかも大切」と話しており、農業を通じた人と人とのつながりづくりを重視しているとのことです。

栽培したハーブ類等を活かした商品開発

岩下さんは、自ら栽培したハーブ類や規格外農産物などを活用した商品開発にも取り組んでいます。里山に眠る地域資源に新たな価値を見いだし、その魅力や背景にあるストーリーを発信することで、商品の付加価値向上を図っています。その代表的な商品が、ハーブ類などを使用したクラフトリキュール「SATONOWA® 里和浸酒(さとのわしんしゅ)」です。


大阪インターナショナル・ギフトショー
新製品コンテストグランプリ受賞



2026年モンドセレクション金賞受賞のハーブリキュール
「SATONAWA®No.3クロモジ&赤シソ」
(写真提供:株式会社おおたき里づくり研究所)

クラフトリキュール「SATONOWA® 里和浸酒」の展開

第1弾の「ビーツビター」は、多賀町産ビーツをはじめ、自家栽培のローゼルやスパイス類を使用。
第2弾の「ビーツマイルド」は、多賀町産ゆずを加えたもので、大阪インターナショナル・ギフト・ショー新製品コンテストにおいてグランプリを受賞しました。
第3弾の「SATONOWA® No.3 クロモジ&赤シソ」は、多賀町産クロモジと県内産赤シソを使用し、2026年モンドセレクション スピリッツ&リキュール部門において金賞を受賞しました。
今後は、海外市場への展開も視野に入れ、輸出を通じた評価の獲得と国内での認知度向上を目指しています。

廃業した酒蔵の再生と地域の拠点づくり

岩下さんがクラフトリキュールに取り組むきっかけとなったのは、廃業した酒蔵との出会いでした。酒蔵の利活用について関係者と検討を重ねる中で、多様な農産物の魅力を生かした酒づくりという発想に至りました。
現在、その酒蔵は改修工事が進められており、2026年12月頃のリニューアルオープンを目指しています。将来的には製造拠点としてだけでなく、地域住民の交流を育む場としての役割も期待されています。


廃業した酒蔵を改修し2026年12月頃にオープン予定


地域の方々とのハーブ植え付け作業
(写真提供:株式会社おおたき里づくり研究所)

苦労したこと・やりがい

地域に移住して新たな事業に挑戦する中で、農地の確保や栽培技術の習得・向上、商品開発、販路開拓など多くの課題に直面してきました。
特に、遊休農地を再生した新しい農業モデルづくりは試行錯誤の連続だったといいます。
一方で、これまでの取組によって地元住民や関係団体の協力の輪が広がり、また自ら育てたハーブ類が商品となって消費者に届くことや、町外から大滝地域を訪れる人が増えていることに大きなやりがいを感じています。

将来展望

岩下さんは生産規模のさらなる拡大などを通じて、酒類製造体制の強化を目指しています。
また、ハーブ類を活用した農業振興、未利用資源の活用、地域ブランド商品の開発、雇用創出や移住促進を一体的に進めることで、持続可能な地域経済の構築を目指しています。
将来的には、大滝地域を「近江のクラフトリキュールとハーブ栽培の拠点」として、農業・加工・観光・交流が相互に結び付く地域づくりを実現したいと考えています。
岩下さんが進めるこれらの取組には、今後さらなる発展が期待されます。


クラフトリキュールの魅力を紹介する販売イベント
(写真提供:NPO法人おおたき里づくりネットワーク)

◎株式会社おおたき里づくり研究所 HP(外部サイトへリンク)https://www.satozukuri.jp//

お問合せ先

滋賀県拠点 地方参事官室
TEL:077-522-4261