暮らしと農がつながる場所-Kusatiオーガニックファームの取組-
今回は、橋本市で農業をはじめとする幅広い取組を行っている「Kusati(クサティ)オーガニックファーム」の篠﨑陽子さんにお話を伺いました。
篠﨑さんとヤギの「クーちゃん」。畑の雑草を食べてくれる大切な家族。
○Kusatiオーガニックファームの概要
山の上に拓かれた小さな集落へ移住して11年目。自家採取した種をつないで、小麦・大豆・野菜・ハーブ・フルーツなど100種類以上の作物を、自然農(※)で栽培しています。
日々の暮らしと農業が地続きとなった生き方の中で、季節の恵みを織り交ぜて自家製酵母のパンを焼いたり、カフェを開いたり、加工品の販売も行っています。
農業のかたわら、地域の人がつながり「種」を未来へつないでいくコミュニティづくり、子どもと大人が一緒に自然の豊かさに触れる市民活動、地域の学校給食への関わりなど、幅広い取り組みをしています。
また、「わかやましごと・くらし体験」によるお試し移住も受け入れており、農業を土台にして自然とともに生きる暮らしの魅力を広めています。
※自然農とは、農家の川口由一氏が提唱した概念で「耕さず、草や虫を敵とせず、農薬、肥料を用いない」農法のこと。
○地域での特徴的な取組
現在の活動のうち、「たねつちごはんワッカの森」と、「たねの交換会」について特に詳しくお話を伺いました。
<食育体験「たねつちごはんワッカの森」>
月2回開催しており、子どもから大人まで誰でも参加できます。畑で種をまき、育った作物が食卓にのぼるまでのひとつながりを自然の中で体験できます。ヨモギ餅づくり、草木染め、醤油・味噌づくりや、たくあん漬けなど、昔ながらの製法を楽しみ、味わうことができます。冬は焚火で焼いた焼き芋が子どもたちに大人気だとか。
畑に立つ子どもたちは率先して素足になって種をまいてくれます。そうして芽を出す野菜はよく育つそうです。毎回、笑顔があふれて、大人もほっとくつろげる時間が流れています。
これまでの参加者からは「貴重な経験ができて嬉しい」「子どもたちが自分で収穫した大根で漬けたたくあんを美味しそうに食べている姿を見て、とても幸せな気持ちになりました」との感想が篠﨑さんに寄せられています。
醤油の仕込みの様子(左上)と絞られた醤油(右下)
(写真は篠﨑さんより提供)
参加者みなさんで集まって昼食を食べています
(写真は篠﨑さんより提供)
<大切な種を未来につなぐ「たねの交換会」>
春と秋の年2回開催しています。自家採種した在来種の種を持ち寄って交換する地域のコミュニティとして2010年に始まり16年目になります。
何年も自家採種して自然農で育てた種は、購入した種と比べて肥料が無くてもよく育ち、虫がつきにくいのを見て、種の生命力が大切だと感じ、種に興味を持つようになったそうです。
「種には命の始まりから生き抜いてきた膨大な情報が宿っていて、風土に適応していく力が備わっています。地域の風土に根ざした大切な種を、地域の人とつなぎ未来へと手渡したい」と語ってくださいました。
自家採種した種の数々
菊菜の種
○オーガニック給食
オーガニック給食で子どもたちの健やかな心身を育んでほしいとの思いから、農薬を使わずに地元で栽培された野菜等を、こども園や小中学校の給食に届ける生産者団体「紀州っ子ら食べてよ会」を立ち上げられました。
自身の畑で採れた三浦大根を使った切干大根や、橋本市内の農家が農薬や肥料を使わずに育てた大豆で仕込んだ味噌、四季折々の野菜を提供しています。

紀州っ子ら食べてよ会のみなさん
(写真は篠﨑さんより提供)
幅広い取り組みをしている篠﨑さんですが、「人と人、人と自然をつなぎ、子どもたちの代にも豊かな自然をつないでいきたい」と語ってくださいました。
○農家としての一面
無農薬の野菜の美味しさに出会い、自然農を学び、和歌山に移住してから耕作放棄された棚田を再生するなどして、4反(約4,000平方メートル)の畑を整備し、100種類以上の作物を育てています。
肥料や堆肥を使わずに作物を育てているため、土や種の生命力が最大限発揮できるような工夫をしています。
野菜の生命力を発揮させ、個性を伸ばすために、どの程度手を加えるかの塩梅が難しくも面白く、子育てにつながるものがあると感じているそうです。
和歌山発祥のおませ小麦も栽培しています
○今後の展望
子どもの成長に合わせて暮らしや仕事の形が変化していく中で、「たねつちごはんワッカの森」を、種まきから収穫した野菜を食べることまでのつながりを実感できる地域交流の場として育てていきたいとのことです。
「ワッカの森という名前のように、みんなが手をとりワッカになって育みたい。これからは『広げる』ではなく、『深める』形で活動していきたい」とお話しいただき、引き続き地域に根差した取組が期待されます。
篠﨑さんと自宅兼工房
KusatiオーガニックファームHP:https://Kusati.jimdofree.com/(外部リンク)
Instagram:https://www.instagram.com/Kusati.organicfarm/(外部リンク)
わかやマガジン4月号にも掲載しています:わかやマガジン4月号(PDFが開きます)
(取材日:令和8年3月17日)
お問合せ先
近畿農政局和歌山県拠点
ダイヤルイン:073-436-3831




