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近畿農政局

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自家栽培したぶどうで県産100%のワインを~ワイン職人の夢と挑戦~

海南市  紀之國わいん工房  南口  義彦さん

  南口義彦さんは海南市他でぶどうを栽培しながら、ワインの製造にも取り組んでいます。

  南口さんは、大阪にてワイン造りの修行を十数年間行い、その頃から「自身のワイナリーでワインを作りたい」との夢がありました。その後、和歌山のワイナリーの醸造責任者として勤めていましたが、67歳のときに決意を固め、和歌山のワイナリーを辞め、夢の実現に向けて69歳で独立されました。

  2023年の就農当初は、自己所有のぶどう畑や醸造所もなく、まさに一からの挑戦でした。ぶどう畑は、ある農家の方からの依頼で耕作放棄されたみかん畑の草刈りを行ったことがきっかけで園地を譲ってもらえることになり、荒れた園地を数年かけて整備されました。だんだんと綺麗なぶどう畑となっていくにつれ、地域の方々から「きれいなぶどう畑になったね」と応援していただくことも増え、感動で涙が出たと南口さんは語ります。
(写真は南口さん提供)

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~ぶどうの栽培~

  取得した30aの園地において、ぶどう200本の植栽から始まりました。面積を毎年少しずつ増やしていき、現在は700本のぶどうを栽培しています。
  黒ぶどうと白ぶどうの割合は6:4。
  本場ヨーロッパの味に近づけるため、カベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネをはじめとした7種類のぶどうを栽培し、和歌山の気候・風土に合うものを探しているとのことです。

250828_2.jpg (写真は南口さん提供)

  今年のぶどうは、アナグマとアライグマの被害を受け、収穫量は予定より減少しましたが、地元の猟友会等とも協力して、今後に向けてより効果的な対策を施していきたいとおっしゃっていました。

~栽培のこだわり~

  ぶどうの樹は、厳しい環境のなかで育てると強い樹に育ち、凝縮した味の実になりますが、厳しすぎると樹の力が弱くなってしまうため、常にぶどうの樹の状態を把握することが重要となります。良い果実に育てるためには、ぶどうの実に日光をよく当てる必要があります。
  農薬についても、一般的なぶどう園地では多い時で週10回ほど農薬を散布されるとのことですが、南口さんの園地では年3~4回程度に抑え、抑制できない害虫を手作業で取り除いており、また、化学肥料等も与えない草生栽培(※)でぶどうを育てています。


250828_7.png(写真は南口さん提供)

  樹の根を整えたり、葉をとったり、余計な芽をとったり、カメムシがいれば潰さないように捕獲したりと、毎日毎日が手間のかかる細かい作業の連続です。
  「美味しいものを造り、また口に入るものなので、責任を持ってお客さんに提供するには手間、暇を惜しまない。」
  これが私のこだわりであると、南口さんは語ります。

※一般的に、果樹園において、地表面が植生で覆われるように下草を管理しながら作物を栽培すること。
  なお、南口さんは、除草剤を使用せずに、自然に植生した植物を刈って肥料とする、循環型の草生栽培を行っています。

~自家栽培したぶどうで県産100%のワインを造る~

  ぶどう栽培と醸造所を設立するために、認定農業者になるとともに、酒類製造免許を取得した南口さん。

  現在は国内他地域のぶどうを使用してワインを製造していますが、「県産100%かつ自社畑100%のワインを造るのが夢」。

  御年70歳とは思えない情熱で、ぶどうの生産とワインの製造にかける夢を語ってくださいました。

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今後、和歌山県産ぶどう100%を使ったワインの製造に、期待が寄せられます。    

《紀乃國(きのくに)わいん工房》

 和歌山県海南市下津町引尾631-1
 Tel 090-8823-4024
 https://kinokuniwine.com/top
(取材日:令和7年8月28日)

お問合せ先

073-436-3831

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