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近畿農政局

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「ぶどう山椒の魅力を伝え、地域の活性化につなげたい。」

和歌山県有田郡有田川町  株式会社かんじゃ山椒園  永岡  冬樹さん

  有田川町で「ぶどう山椒」の栽培から加工・販売まで一貫して事業をおこなっている「株式会社かんじゃ山椒園」(以下「かんじゃ山椒園」という。)の代表  永岡  冬樹さんにお話を伺いました。

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(写真はかんじゃ山椒園永岡さん提供)

〇ぶどう山椒栽培を始めたきっかけ
  永岡さんの故郷でもある有田川町(旧清水町)は、かつて、ぶどう山椒の生産が盛んな地域でした。しかし、高齢化が 進むとともに、生産過剰で価格が暴落し、台風の被害等もあって、生産意欲も減退し、徐々に山村が疲弊し、ぶどう山椒 の生産も減少していきました。
  そこで、永岡さんは「これでは、ダメだ」と思い、もう一度地域を活性化するため、魅力的な品目として「ぶどう山椒」に 着目し、2006年にかんじゃ山椒園を立ち上げました。

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〇ぶどう山椒とは
  ぶどう山椒は、大粒の実がぶどうの房のように成る山椒です。実以外にも、4月~5月に咲く雄花は食用として利用されます。
  辛みがあり、さわやかな柑橘系の香りがします。


〇ぶどう山椒の収穫
  収穫期は5月下旬~6月上旬と7月~8月の2回。5月下旬~6月上旬のぶどう山椒は実が柔らかくて生で食べられるため主に佃煮等料理に、7月~8月は種が黒くなり果皮が固くなってくるので、乾燥させて粉末の香辛料や漢方薬等の原材料として使われます。ぶどう山椒は日陰を好むため山の奥深い場所での栽培が適しています。

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一房ごとに丁寧に収穫します。(撮影日:令和7年6月30日)


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特に、実が柔らかい時期は傷がつかないように細心の注意をはらいます。
細かい作業なので時間と労力がかかります。

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収穫したぶどう山椒。


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葉や傷ついた実などを取り除きます。


〇ぶどう山椒の商品

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(写真はかんじゃ山椒園永岡さん提供)

  収穫後は、自社で加工し、スパイスや調味料等多様な商品に生まれ変わります。
  「山椒本来の香りを楽しんでもらいたい」と話す永岡さんのおすすめは、「ぶどう山椒の粉末を直接、焼き鳥やラーメンなどの食材にふりかけて食べる」ことだそうです。

〇ぶどう山椒をいろいろな人に知ってもらいたい
  ぶどう山椒の魅力を広めるために、最初に考えたことは「食べ方の提案」でした。当時は山椒の食べ方は限られており、一般の方は「うなぎにかける香辛料」くらい程度にしか認識されていませんでした。
  そこで、かんじゃ山椒園にカフェを開き、山椒を使った料理を提供し、実際に食べてもらうこととしました。この取組がメディアの目にとまり、TVで放映されるなどして、徐々に反響が得られることになり、いろいろな方々に知られることになりました。

〇ぶどう山椒の魅力を広めるための新しい取組

250929_9.JPG(写真はかんじゃ山椒園永岡さん提供)

  ぶどう山椒の辛みや香りは、欧米のスパイス文化と相性が良いと感じた永岡さんは、2016年に、ベルギーで開かれたイベントに参加し、ぶどう山椒の魅力を伝えたところ、世界の一流シェフやパティシエに高い評価を受けました。その後、フランス、スペイン等欧米を中心に取引が始まり、現在も好評で取引は徐々に増えています。

〇自然とともに生きる社会を目指して

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  永岡さんは、ぶどう山椒を原材料として販売するのではなく、加工を加えることにより、より手軽に利用しやすいスパイスに変化させ、ぶどう山椒の付加価値を高めようとしています。また、加工することで地域の雇用を生み出しています。
  さらに、地域再生の一環として、若手の育成や移住者の受け入れにも力をいれています。若い人達がこの地で暮らすことによって、豊かな自然が受け継がれていく。自然と人間の調和がとれた山村社会を目指し、これからも努力していくと力強く語って下さいました。

≪かんじゃ山椒園≫
和歌山県有田郡有田川町宮川129
TEL:0737-25-1315
かんじゃ山椒園HP:https://sansyou-en.com/(外部リンク)

カフェは現在休止しています。
(取材日:令和7年9月29日)

お問合せ先

近畿農政局和歌山県拠点

ダイヤルイン:073-436-3831