豊かな緑をつなぐ農の営み~マンゴーなどの栽培~
古座川町 おそごえ農園 上平 典生さん
古座川町でトロピカルフルーツを栽培している上平典生さんにお話を伺いました。
〇就農のきっかけ
上平さんは、みどり豊かな古座川町にある実家の農地を荒廃させたくないとの思いで、大阪から和歌山への転勤を機に、40年ほど前から古座川町においてマンゴーを研究された方が、立派に生育できたとの話を聞き、和歌山県果樹試験場の普及員からマンゴーの栽培を習い、定年退職後、和歌山県農林大学校で1年間栽培等の技術を学び本格的に農業を始めました。
〇栽培で工夫していること
就農後、2011年の台風による紀伊半島豪雨災害でハウスが倒壊したことを教訓に、自らユンボで田を1.5mほど掘り下げることにより風の影響を緩和するよう、「半地下ハウス」を考案しました。
現在は、ハウス4棟(3棟:マンゴー、1棟:ジャボチカバ)を設置し、すべてのハウスを「3層構造(※)」にし、庫内温度を保つようにしています。当地域は山間部であるため、冬の気温はハウス外でマイナス4~5度となりますが、ハウスを3層構造にすることによってハウス内では4~5度と加温機がなくても果実栽培ができる環境となっています。また、昨今の地球温暖化により夏場の熱波対策が課題でしたが、谷川の水を利用したミストシャワーを設置したことによりハウス内温度が10度近く下がり、適温で栽培ができています。
※単にビニールを3重にするのではなく、ハウスの中にハウスがある構造。
〇農園名の由来
農園名の「おそごえ」は、幼少の頃、大変お世話になった近隣農家の方の苗字であり、夫妻に子供がいなかったので、何らかの形で残したいとの思いから付けています。
〇マンゴー栽培について
【マンゴーの花】
【マンゴーの果実】
【贈答用マンゴー】
果実が大きくなると重みで枝が垂れ下がってくるため、ネットに入れ「玉吊り栽培」を行っています。
樹上完熟したマンゴー(※)は6月下旬から8月上旬に収獲します。
収穫した濃厚な甘みのあるマンゴーは、串本町にあるケーキ屋や東京銀座の資生堂パーラーでの販売のほかインターネットでも販売しています。
※大マンゴー(300~400g)、中マンゴー(200~300g)、マンゴー(200g以下)
〇ジャボチカバ栽培について
【ジャボチカバの花】
【ジャボチカバの果実】
※ジャボチカバ:ブラジル原産のフトモモ科の常緑高木で大葉系、中葉系、小葉系の品種がある。成木には約20年かかるが、耐暑性、耐寒性が高く比較的育てやすい。枝や幹に直接花が咲き実がなり、糖度が16~20度で甘みと香りに富む。
【ジャボチカバジャム】
【串本町にあるケーキ屋のジャボチカバタルト】
〇今後の目標
上平さんは、「紀南地方をトロピカルフルーツの産地に!との夢を抱いているが、農業の担い手がいない。現在の農業規模、営農技術、販売形態(販路)でも十分生活が成り立つ。今後、営農意欲の高い若手農業者や定年退職され、第二の人生を農業でと考えられている方などに半地下ハウスによる技術を継承し、また、みどり豊かなこの土地を守ってもらいたい」と語ってくださいました。
≪おそごえ農園:和歌山県東牟婁郡古座川町三尾川1380≫
Mail uehira@ceres.ocn.ne.jp
おそごえ農園HP https://sumie-blog.com/(外部リンク)
(取材日:令和7年7月22日)
お問合せ先
近畿農政局和歌山県拠点
ダイヤルイン:073-436-3831