“人“が動く”地域”が変わる課題を価値に変える総合ソリューション~株式会社 日向屋の獣害対策から担い手育成まで~
和歌山県田辺市 株式会社日向屋 代表取締役 岡本和宜さん
【日向屋の想い】
田辺市上芳養日向地区の若手農家数名が、2016年に害獣捕獲チーム「チームひなた」を結成し、2018年には幅広く事業展開するため、株式会社日向屋(以下「日向屋」という。)を立ち上げました。
日向屋では、梅やみかんの製造・加工・販売をはじめ、獣害や耕作放棄地と担い手不足など、地域の課題解決に取り組むという強い想いで事業を展開しています。

株式会社日向屋代表取締役岡本和宜さん
【みかんと梅干し 心を込めた味への想い】
農家3代目の代表の岡本和宜さんは自身が保有している農地に加え、耕作放棄地を活用し、梅とみかん(バレンシアオレンジや中晩柑等)を栽培しており、梅干しや梅シロップ、みかんジャム、みかんジュースなど地域の恵みを活かした商品を製造・販売しています。
お歳暮などの時期は梅干し製造が繁忙期となりますが、自然と人の愛情が育てたやさしい味わいを全国へ届けるため、スタッフ一同心を込めて全力で取り組んでいます。

丹精込めて育てたみかん

絶賛塩漬け中。#梅干し
【農家と共に挑む 獣害対策&ジビエ活用への想い】
日向屋では、2018年に誘致したジビエ処理施設「ひなたの杜」と連携しながら、シカやイノシシといった農作物を荒らす害獣への対策に取り組んでいます。
しかし、捕獲後の処理には知識が必要なことと、たくさんの資格が必要とされます。
そこで、ひなたの杜が、獣害に悩む地域農家に、罠の使い方をレクチャーします。野生動物が罠にかかると農家から連絡を受け、スタッフが迅速に現場へ駆けつけ、ジビエとして活用できるか、その場で判断します。
多い時で、1日5~7頭も対応する時があるそうです。

ひなたの杜(ジビエ加工処理施設)
日向屋のメンバーもほとんどが狩猟免許を持っており、自らも害獣を捕獲し、ひなたの杜に処理を依頼しているとのことです。
このような、地域に密着した獣害対策を行うことで、地元農家は作業に伴う身体的な負担や捕獲後の対応による身体心理的な負担が大きく軽減されているとのことです。

わかやまジビエ処理施設衛星管理認証
【人材育成×地域再生未来をつなぐ農業への思い】
岡本さんは「日向屋で働きたい」という熱い気持ちを何よりも大切にし、農業を学びたいという思いに、年齢や経験は問わないそうです。
日向屋では、研修から独立までを見据えた長期的な人材育成を行い、農機具や設備、軽トラックの貸与などハード面でも手厚く支援しているとのことです。
さらに地域課題である耕作放棄地を研修の場として活用しながら再生を進め、研修生の独立後も地元農家と連携したサポートをしています。

研修生たちと農業についてディスカッション
(写真は日向屋さんより提供)
「岡本さんのところで研修した子であれば大丈夫だ」と地域から信頼される人材育成を目指しており、大阪など都市部から数名が移住し、研修生がそのまま独立したり、その後も日向屋の一員となることで、地域農業の活性化と関係人口の増加を目指しています。
岡本さんは「担い手不足や耕作放棄地といったといった一次産業の課題に向き合いながら、地域に根ざした農業の未来を地元の皆さんと一緒に築いていきたい」と話してくださいました。

自然とともに研修中(写真は日向屋さんより提供)
(取材日:令和7年11月27日)
お問合せ先
近畿農政局和歌山県拠点
ダイヤルイン:073-436-3831




