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近畿農政局

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甘くて美味しいミニトマト~先人たちが作ったブランドを未来に繋げていく~

印南町  為橋(ためはし)秀隆さん



  印南町で、ミニトマト「赤糖房(あかとんぼ)」を栽培している為橋秀隆さんにお話を伺いました。

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~農家になるきっかけ~

  以前は地元の農協に勤めていた為橋さん。ご両親がミニトマトを生産する農家であり、幼い頃から農作業を手伝うなど、農業に触れ親しみ、「いつかは農家になるのだろうな」と想い描いていました。
  為橋さんが40歳を過ぎた時、ご両親が高齢になったこともあり、「そろそろいい頃かな」と思い、長年勤めていた農協を退職して、幼い頃から想いのあった農家に転身。令和2年に両親が続けてきたミニトマト「赤糖房」の栽培を受け継ぎました。


~赤糖房とは~

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  赤糖房」は、キャロル7という品種で、印南町を中心とした地域で栽培される、高糖度ミニトマトのブランドです。
  特徴として厳しい検査基準を設け、それをクリアしたものだけが出荷され、糖度が8.5度以上と濃厚な甘みがありジューシーで、非常に果皮がやわらかく食味が良いミニトマトです。
  また、「房どり」といって複数の実を枝付きの状態で出荷するため、見た目が美しく高級感があることも特徴の一つで、出荷量も少なく希少性の高いミニトマトとなっています。

~赤糖房の歴史~

  「赤糖房」の栽培は今から35年くらい前の1990年頃から始まりました。
昔から印南町ではミニトマトの栽培が行われていましたが、農協と生産者有志数名が、「特色あるブランドを作ろう」と立ち上がり、試行錯誤を重ねた末、高糖度であり、房どりで販売できるミニトマトができました。
  「赤糖房」という名前は20年前の2005年にJAわかやま(旧JA紀州)によって商標登録され、現在に至るまで栽培されています。


~赤糖房の栽培~甘くて美味しいミニトマトを作るということ~

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(為橋さんのハウスにて)

  ミニトマトは、光が強すぎたり温度が高すぎたりすると、実や種を守るために皮が厚くなります。

  また、水を与えすぎると実が大きくなり、割れたり水っぽくなったりして味が落ちます。

  反対に、光や温度、水を極端に抑えると成長できずに枯れてしまいます。
  ミニトマトを極限まで甘くし、食感を向上させること、さらに房どりの状態で全ての実を完熟させることは容易ではなく、
一筋縄ではいきません。
  為橋さんは日夜、この課題に取り組んでいます。


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  幹は、成長と共に伸びていき、最大で15m程の長さになります。

  幹を太くすると実が美味しくならず、逆に細くすると実がつかなくなるため、一定の太さに保たなければなりません。

  そのため、光や温度、水の管理を徹底していく必要があります。





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  房の先端から元まで全ての実を完熟させ、かつ、見た目を美しくするには、余計な花や実を取り除くなど、房の調整は欠かせません。

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 「すべてを均一に栽培できればいいが、それができればこんなに苦労することはない。本当に難しい」。
  綺麗な赤糖房が思い通りにできたときは、本当に「やった」と思う、と為橋さんは笑顔で語ります。

  実が上手くならない場合は、品質保持のために幹を切ってしまうこともあるそうです。




~ブランドを未来に繋げていく~

  「赤糖房」の栽培を始めてから6年目になるとのことですが、先輩方からは「赤糖房づくりは、毎年が1年生の覚悟で挑め」と言われるそうです。その言葉どおり、毎年、栽培方法を見直し、より良い栽培方法を模索し続けています。さらに、温度センサーなどの機器も導入し、更なる品質の向上を目指して、常に努力を重ねているとのことです。


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  地元農協のミニトマト部会の会長も務める為橋さんは、「ブランドというものは守っていくものであると考えている。まだまだ課題はあるが、先人たちが築き上げたブランドを受け継ぎ、これからも美味しいミニトマトを消費者にとどけていきたい」と、「赤糖房」への想いを強く語ってくださいました。

  「赤糖房」は、甘くて美味しいミニトマトとして、消費者に大きな評価を受けています。
  今後も、和歌山県のブランド農産品として、益々の発展に期待が寄せられます。

(令和7年12月1日)

お問合せ先

近畿農政局和歌山県拠点

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