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東北農政局

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東北の大豆優良事例((農)ビーンズ本楯(山形県酒田市))

令和4年12月14日

農事組合法人ビーンズ本楯(第50回全国豆類経営改善共励会 全国農業協同組合中央会会長賞)にお話を伺いました。

ビーンズ本楯_集合写真
農事組合法人ビーンズ本楯の皆さん

(農)ビーンズ本楯のプロフィール

農事組合法人ビーンズ本楯は、山形県酒田市にある土地利用型農業法人で、第50回(令和3年度)全国豆類経営改善共励会「大豆集団の部」において「全国農業協同組合中央会会長賞」を受賞。水稲57ha、大豆18ha(受託として約50ha)(いずれも令和3年産)のほか、ふきのとう、啓翁桜、シャインマスカットに取り組む。現在は、大豆と飼料用米の輪作体系により両品目で多収を実現するとともに、地域の収穫作業を一手に引き受けており、地域の大豆生産に欠かせない組織となっている。

(農)ビーンズ本楯の経緯

平成10年
本楯地区の6名で大豆作業受託組織「ビーンズ本楯」を設立。大豆の機械作業を担うオペレーター集団として、本楯地区の約20haの播種・収穫作業を請け負う(播種及び収穫作業以外は受託元の個々の生産者が行う)。

平成19年
本楯地区の構成員236名・約593haで設立された特定農業団体「本楯ファーム」において、ビーンズ本楯が約70haの大豆部門を担う組織として位置付けられる。 地域で保有する機械装備を引き継ぎ、本格的な大豆生産組織となる。

平成25年
6戸で「農事組合法人 ビーンズ本楯」を設立。現在の組織体制となる。

意見交換

ビーンズ本楯_意見交換

農政局
本日は貴重なお時間をいただきありがとうございます。まず、意見交換を始めるにあたって地域農業やビーンズ本楯さんの今後のご意向をお聞かせください。

(農)ビーンズ本楯
この地域の水田農業は水稲が中心です。でも、今後の転作割合が50%以上になっていくのであれば、産地交付金等を活用しながら他の作物にも取り組んでいく必要があると思っています。酒田市の主な転作作物は、大豆、長ネギ、飼料用米・加工用米です。 ビーンズ本楯としては、水稲、大豆の他にふきのとうや啓翁桜、シャインマスカットに取り組んでいます。これらの園芸品目の導入は法人としての周年雇用が主な目的で、冬場の仕事があれば良いと思って始めました。構成員それぞれが個人経営の仕事も持っているので、園芸品目は合間でできて収支がトントンであればくらいに思っています。でも、冬期間にふきのとうの出荷調製をしながら法人のメンバーで話をしていると色々なアイデアや意見が出てくるので、面白いですね。

農政局
ちなみに、園芸品目はどの程度手間がかかりますか?水稲主体の生産者が園芸品目を始めると、細やかな管理に苦労するという話も聞きますが。

(農)ビーンズ本楯
本当に園芸品目は難しい。田んぼ以外はみんなド素人なので(笑)。あと、耕作面積が多いこともあって、園芸品目の管理作業への割当てが大変です。

ふきのとうは、5月の田植え後に定植します。病害虫防除はありませんが、除草剤を散布します。11月に掘り起こしたので今は寒冷紗をかけておいています。あとは出荷前の調製作業が一番大変ですが、大の男が集まってちまちまワイワイやっています。

啓翁桜は、春先に花芽をつけさせるために剥皮処理(枝の一部の表皮を剥ぐ作業)が大変ですが、その他はたまの防除と草刈り程度なので夏の作業が少ない良い品目です。今は養成中なので、来冬あたりからはこれに収穫・調製作業が加わります。

シャインマスカットは、(種なしぶどうにするために)ジベレリン処理を適期に処理する必要があります。1本1本の木毎に花の咲く時期が違うので処理時期もずれるんですよね。以前は1回で済まそうとして失敗しました。やはり必要な手間はかけるべきだと痛感し、今年はおおむね完璧にできました(笑)。

農政局
ありがとうございます。地域農業やビーンズ本楯さんの全体的なイメージができました。

では、これからは大豆生産についてお伺いします。まず、ビーンズ本楯さんは前身の組織のときから本楯地区の大豆生産の中心としてやってきたので、要望等を受け入れる体制ができているとのことでしたが・・・・・・

(農)ビーンズ本楯
大豆コンバインの導入がきっかけの一つとなって大豆の受託作業が始まったので、地域の大豆栽培が個人農家(管理機による培土、手刈り等による収穫→棚乾燥→ビーンハーベスタによる脱穀)から組織(トラクターによる培土、コンバインによる収穫→施設での乾燥)へと大きく変わった時期でした。ですので、最初のころは地権者からいろいろとありましたね(笑)。当初は、適期に播種や収穫等の受託作業ができるように1年置きに早生品種と中生の晩の品種の作付けをお願いしていましたが、早生品種は収量が高くないし、葉っぱが落ちるのが早くて雑草が生えてくるしで人気がなくて。でも、「適期作業のためにどうにか1年置きで」と皆さまにはお願いしていましたね。

そういうこともあって、当時は転作の大豆に対するイメージが良くなかったです。言い方は悪いけど、転作の補助金目的で、今とは違って直接支払交付金の数量払いのようなものはなかったので播種して終わりみたいなほ場もありました。今は収量の高い品種を選んで作付けしているし、良い除草剤も増えて雑草防除もしやすくなったので、大豆を栽培してほ場が荒れることはないのですが、まだ良くないイメージを引きずっている人もいると思います。あとは、飼料用米や加工用米はカントリーでの荷受けまでの作業を自分でできるので選ぶ農家が多いですね。

農政局
確かに、昔は除草剤が全然なくて大変だったという話はよくききます。では、大豆の作付けを始めたきっかけはなんだったんでしょうか?

(農)ビーンズ本楯
「ビーンズ本楯」は本楯地区の大豆生産を担う組織として誕生しましたが、当初は機械作業のオペレーターとして我々に招集がかかったんです。大豆栽培を広めたいけどそのためには機械とオペレーターが必要ということで、酒田市の他の地区でも同様の動きがあったと思います。他の地区では、集落毎に順番に播種機やコンバインなどの機械を回して作業をしていく方式でしたが、本楯地区では主にビーンズ本楯が地区全体の播種や収穫を請負う方式でした。最初は訳も分からない状態でしたが、メンバーで工夫したり、JAや地域の人のアドバイスを受けたりして体制が整っていきました。当時は、何もしなくても面積が増えていきましたね。

農政局
地域の大豆の作業を一手に引受ける組織として「ビーンズ本楯」が誕生したんですね。 ところで、現在は大豆と飼料用米の輪作体系(おおむね2年毎に大豆と飼料用米を交互に作付ける体系)によって両方の作目で多収を実現していますが、この作付体系はどのように導入していったのでしょうか?

(農)ビーンズ本楯
長年の経験から分かったことですが、大豆を3年以上連作すると雑草防除にものすごく労力がかかります。雑草を一度増やしてしまうと防除に苦労することは身に染みているので、大豆の連作を2年程度にとどめたということです。その結果、雑草も減るし、収量も上がりました。ただ、大豆あとの水稲を無肥料で栽培できることは分かっていました(注)が、倒伏や品質低下が心配でした。今、大豆あとで栽培しているのは丈が短くて倒伏しにくい飼料用米品種の「ふくひびき」で、大豆あとだと無肥料でも10a当たりで14俵(840kg)とれる年もあります。大豆の雑草対策と飼料用米の肥料代削減で1石2鳥だし、今の肥料高騰にも対応出来る時代にあった取組です(笑)。

(注)乾燥した土壌に水を張ると土壌から供給される窒素量が増える(土壌中の有機物が分解されて水稲が吸収できるアンモニア態窒素が生成される)乾土効果により、大豆等の畑作あとの水稲栽培では施肥量を減らすことが可能。

農政局
では、大豆と飼料用米の輪作体系は良いということで自然と広まっていったのですか?

(農)ビーンズ本楯
まずは自分たちでやってみて、飼料用米で施肥を省けること、雑草防除が簡単になることが分かりやすいメリットだったので自然と広まっていったけど、ほ場の連担化や団地化は難しかった。今は、実需と結びついた飼料用米や加工用米の取組が多くなっているので、大豆の作付けが減少して中々増えないんだよな。やっぱり、大豆には、雑草が増えるイメージやそのあとの水稲が倒伏するイメージが残っているのかと。でも、「はえぬき」や飼料用米品種は倒伏しにくいし、大豆を作付けすることで畑地化が進んでやわっこい田んぼが減って機械作業がしやすいなど自分たちが感じているメリットもあるので、この栽培体系の良さは伝えていきたいですね。

農政局
大豆を導入したことで、ちょうど良い具合に土壌の分解が進んで機械作業がしやすくなったということですね。 お話を聞く限り、本楯地区は地力がありそうですね。しかし、大豆の作付頻度が増えると地力は消耗してしまいますし、他の地域では地力が消耗して大豆あとでも昔みたいに水稲が倒伏することがなくなったという話も聞きます。ですので、ビーンズ本楯さんでもいずれかのタイミングで有機物の施用等が必要になると思います。

(農)ビーンズ本楯
全体的に地力が高い地区ですが、地力維持の対策は行っています。有機物を入れたり、苦土石灰を入れたり。今年も、来年の特別栽培ほ場に堆肥を散布したし、そこもいずれは大豆ほ場になります。また、肥料の価格がすこぶる上がったので、削減のために堆肥の散布も行っています。

ビーンズ本楯_苦土石灰散布

苦土石灰の散布

農政局
それは安心しました。
話は変わりますが、大豆のみを受託しているほ場で、大豆の栽培方法等に制約があったりしますか? 地域によっては、水稲の作業で支障が出ないようにほ場を深く起こさないようにしてほしいと言われるケースもあるようですが。

(農)ビーンズ本楯
それはないですね。普通に大豆を栽培してそのままの状態でお返ししていますが、特に制約や注文はありません。ただ、こちらの作業で気をつけていることといえば、除草剤の散布ですね。水稲が隣接するときは風をみて水稲にドリフトしないように十分気をつけています。逆に、大豆ほ場の地権者からはしっかり除草剤を散布してほしいと言われますけど(笑)。地権者から言われるのはだいたい雑草関係ですね。帰化雑草も増えてきていますし。

農政局
地域でご理解をいただいて大豆を受託されているのですね。 ちなみに、雑草は具体的には何でしょうか?

(農)ビーンズ本楯
イヌホオズキ。他にはイチビ。豚の飼料に混じって入ってきたような気がするが、今はイチビだけ残っているほ場が多いですね。

農政局
イチビには、広葉雑草対象の茎葉処理型除草剤の大豆バサグラン液剤、アタックショット乳剤いずれとも草丈10~15cmくらいまでは効果があるので、早めにこれらの剤を散布することがポイントになります。

酒田農業技術普及課
ビーンズ本楯さんのほ場は酒田管内ではかなりきれいです。他では、帰化アサガオ類やオオオナモミ、特にツユクサが繁茂しているほ場も見られます。ビーンズ本楯さんでは、2年でほ場をまわしているのでツユクサの発生が少ないのかなと思います。

農政局
ツユクサは、水稲を入れた輪作にして水稲のときにちゃんと防除できればまず繁茂しませんからね

(農)ビーンズ本楯
そうですね。大豆を3年連作するとツユクサや帰化アサガオ類が出てきます。

酒田農業技術普及課
理論上は出てこないはずのほ場で難防除雑草が出てくることもあります。おそらく、トラクター等に種子がついていたり、隣のほ場から侵入したりしているのだと思いますが。

農政局
雑草は、播種や中耕培土、収穫などの機械作業や水路などの水系で種子が別のほ場に移動して広がると言われています。帰化アサガオ類等がいったん繁茂すると、1~2年ほ場を休ませてもまた出てくるので注意が必要です。 ビーンズ本楯さんでは、このあたりの地域の中ではうまく栽培されていることが良く分かりました。 では、話は変わりまして、耕起は地権者の方に再委託しているとのことでしたが・・・・・・

(農)ビーンズ本楯
面積が大きいのでどうしても播種の時期に作業が集中します。播種は遅らせずに適期に行いたいので、耕起の一部を地権者の方に再委託する形をとっています。いったん全作業を受託していますが、適期播種のために協力いただける地権者に料金を払ってやってもらうのです。

農政局
昔は、播種・収穫以外の作業を地権者の方にお願いしていたからこそ、このような方法がとりやすいのでしょうか。耕起・整地を地権者に再委託するのは、適期播種のために良い方法だと思いましたが、人によって耕起の深さや砕土率がまちまちになってしまいそうです。耕起・整地は大豆栽培においてとても大切な作業ですので、そこが少し気になりました。

(農)ビーンズ本楯
ああしろこうしろとあまり細かく注文しすぎたら、さすがにお金を出しても誰も作業してくれなくなります(笑)。確かに同じような仕上がりにはなりませんが、うちのオペレーターはみんなベテランで、この地域のほ場の特徴もよく分かっています。ですので、ロータリ-の深さを調整したり、ゆっくり播種したりして十分対応できています。また、耕起・整地を「ちょうど良く」行うのは意外と難しいですよね。しっかり砕土しすぎても雨で地表面が固まって大豆の出芽率が下がる場合もある。そのあたりを見極めて作業していますので、今のところ困っていません。排水対策もしっかりしていますから。

農政局
そうなんですね。排水対策もしっかりしているとのことですが、具体的にどのようにしていますか?

(農)ビーンズ本楯
サブソイラー(弾丸暗きょ)は必ず全ほ場します。個人で機械があれば個人でしてもらいますが、残りはビーンズ本楯でやっています。隣のほ場が水稲だったら溝掘り(明きょ)もします。この地区のほ場は地下水位が高く重粘土なので、サブソイラと溝掘りをしないと良い大豆が収穫できません。ビーンズ本楯で責任をもって全筆やっています。

農政局
排水対策は大切ですからね。しかし、排水対策が大切だと分かっていても時間がないという声をよくききます。ビーンズ本楯さんでは、全ほ場で作業を終わらせるために何か工夫していますか?

(農)ビーンズ本楯
明きょは、本来であればほ場の角の部分を繋げて排水口にもしっかり繋げる必要がありますが、田植えまでに全ほ場を終わらせるため、繋げずに3mくらい残して次のほ場の作業に移っています。ほ場の角を繋げるなどの仕上げの作業は地権者の方が行っています。

農政局
耕起・整地と同様に、地権者の方と作業を分担して適期に終える体制をとっているのですね。 次に、播種と播種後の土壌処理型除草剤の散布についてお伺いします。ビーンズ本楯さんでは、播種班と除草剤班を分けて連携することで、播種直後に効率的に除草剤を散布できる体制をとっているということですが、この体制について詳しくお聞かせいただけますか?

(農)ビーンズ本楯
播種機は6台、ブームスプレーヤは2台所有しています。播種する順番はあらかじめ決めていて、前の年の逆周りにしています。作業速度は播種より除草剤散布の方が速いので、同時に作業を行うと必ず除草剤班が播種班に追いつきます。そこで、除草剤班は手が空いたら大豆の種子や肥料の配布、まき終わったあとの種子袋・肥料袋の回収など、播種作業に付随する細々とした準備や後始末を担うのです。そして、1日分の差がでたらまた除草剤の散布に戻るという感じですが、自分たちでも自慢に思うくらい効率的に播種・除草剤散布ができています。

農政局
その役割分担は最初からあった訳ではないと思いますが、どのようにして決まっていったのでしょうか?

(農)ビーンズ本楯
まず、除草剤散布を若い衆にまかせて、効率的に作業が進むように考えさせました。また、作業の進捗管理は、ほ場地図で行っています。紙の地図を持ち、作業の順番や面積を確認しながら作業にあたります。終わったほ場に色をつけたりチェックをつけたりして共有し、作業日誌にも記録します。常に、どのようにすれば効率的に回れるかを考えて作業をしていますし、このような工夫ができるのも長いことこの地域で大豆栽培を担ってきたからこそと自負しています。

農政局
では、あらかじめ誰がどこを播種するか決めておいて、終わったら色塗りしていくという感じでしょうか。

(農)ビーンズ本楯
回る順番はだいたい決まっているので、播種班では、地図でほ場位置を確認し、大豆の種子を配る人が全体の進捗を見ながら指示を出します。除草剤班も機械作業をする人と除草剤をセットする人がいますが、除草剤をセットする人が常に先を考えて「次はあっち、次はこっち」と指示を出しています。雨が降れば作業ができなくなりますし、所有しているブームスプレーヤが古くて作業速度が遅いので、効率的に作業を進めるには頭を使わないとだめですね(笑)。

農政局
播種班、除草剤班でそれぞれ指示出しする人がうまく回しているということですね。ちなみに、中耕・培土等の他の作業も同じような具合でしょうか。

(農)ビーンズ本楯
そうですね。播種のときにその年のほ場と播種の作業順が決まるので、だいたいはその順番で行っていきます。

ビーンズ本楯_耕耘同時畝立播種実証

耕うん同時畝立播種の実証試験における播種作業

農政局
続いて雑草防除と中耕・培土についてお聞きしたいと思います。
まず、イネ科雑草に登録のないフルミオWDGを土壌処理型除草剤に使っていますが、ヒエなどのイネ科雑草の防除はうまくいっていますか?

(農)ビーンズ本楯
全面積をフルミオWDGに変えてから2年目ですが、中耕後に広葉雑草対象の大豆バサグラン液剤の他にイネ科雑草に効果のある茎葉処理型除草剤を散布しています。イネ科雑草には困っていません。

農政局
フルミオWDGに変えたのは、もしかしてイヌホオズキの防除のためでしょうか?

(農)ビーンズ本楯
そう。イヌホオズキは秋にはものすごく大きな株となり、紫色の実がつぶれたり茎葉の水分も高かったりと厄介な草だけど(注)、フルミオWDGに変えて減りました。

(注)イヌホオズキは、大豆が収穫期を迎えても果実や茎葉の水分が高いため、コンバイン収穫時に汚粒の原因となる。横方向に大型化し、節々から発根して根を張るので収穫前の手取りも容易ではない。

農政局
フルミオWDGはイヌホオズキに効果が高いと言われていますからね。
では、大豆生育期間中の雑草防除についてお伺いしますが、作業時期の重なる中耕・培土と茎葉処理型除草剤散布について、どちらを優先させる等の考え方はありますか?

(農)ビーンズ本楯
中耕・培土と茎葉処理型除草剤の散布の時期は、雑草の状態を見て判断するというよりは、まずは大豆3葉期頃に1回目の中耕・培土、そのあとに茎葉処理型除草剤の散布、さらにそのあとに2回目の中耕・培土をしています。この時期はちょうど梅雨にあたるので、早めに1回目の中耕・培土をするよう心がけています。中耕・培土は、1回目は本葉1枚目が隠れる程度、2回目は本葉2枚目程度の高さになるようにしています。 また、昨年度に茎葉処理型除草剤の畦間散布の試験をしてみましたが、散布にものすごい時間がかかるので、導入は見送っています。

農政局
まずは梅雨の前に中耕・培土の1回目に入ろう、ということですね。 最後になりますが、収穫作業についてお聞きします。現在、ビーンズ本楯では受託も併せて収穫面積が60ha以上あります。当然収穫時期が被ると思いますが、適期収穫のための工夫を教えてください。

(農)ビーンズ本楯
今は晩生の「里のほほえみ」ばかりを作付けしているので、大豆の収穫作業は稲刈り後から少し日数をおいた10月下旬から始まります。なお、この地域の荷受施設が水稲との共用なので大豆の荷受けは11月中下旬以降になりますが、その前に収穫した大豆は、メッシュの40kg袋に入れてパレットに平置きして仮保管しています。さらに、この方法だと降雨で少し大豆が湿った状態でも収穫作業ができることもあり、比較的天候が良い内に終えることができます。フレコン袋だと大きすぎるので中で熱を持ってしまうのでだめですね。

酒田農業技術普及課
庄内地域は11月の8割が降雨日で、連続した晴れを期待できるのは例年11月10日頃までです。乾燥調製施設の受入れ開始もちょうどその頃で各組織が一斉に収穫をしている状況です。仮置きするシステムでもあれば、他の組織でももっと楽に質の良い大豆を収穫でき、面積も拡大できると思います。

農政局
ビーンズ本楯では、メッシュ袋を使って仮保管することで乾燥調製施設稼働前から収穫を始めることで適期収穫を実現されているんですね。乾燥調製施設の受入れが遅いので収穫が遅れるという話はよく聞くので、他の組織・地域でも参考になると思いました。

その他にも、ビーンズ本楯さんでは、受託元の地権者の方に耕起・整地を再委託したり、明きょの仕上げの作業を任せたりと、適期作業のために地権者の方と役割分担をされているのがとても印象に残りました。このように地権者の方とうまく連携して適期作業を実現されている事例は、私個人としてはあまり聞いたことがなく、確かに適期作業のためには有効だなと感じました。どの地域でも、担い手に農地が集中して適期作業が難しいと聞きますが、もしかすると、本楯地区と同じように地域の連携をもっとうまく行うことで、適期作業ができる可能性があるかもしれないと思いました。

また、大豆への取組を始めるにあたって、かつての栽培が難しいイメージがネックになっているかもしれないというお話がありましたが、ビーンズ本楯さんを初めとした優良事例の横展開を進めることで、払拭していきたいと思ったところです。 本日は、貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

ビーンズ本楯_成熟期

成熟期を迎えた「里のほほえみ」

お問合せ先

東北農政局生産部生産振興課

担当者:ブランド産地振興係、豆類振興係
代表:022-263-1111(内線4112)
ダイヤルイン:022-221-6169