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東北農政局

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東北大豆セミナー(令和4年2月3日)

令和4年2月3日(木曜日)に「東北大豆セミナー」を開催しました。今回は秋田県に着目した内容とし、優良・先進事例の紹介のほか、試験研究機関、実需者からの講演を行いました。会場・オンラインあわせて約150名の参加があり、「当たり前のことを当たり前に作業する必要性を改めて感じた(生産者)」、「どの講演も興味深い内容だった(県職員)」、などの声がありました。

プレスリリース    チラシ

資料

「(講演)国産大豆に望むこと」の資料はありません。講演内容は下記「講演概要」をご参考ください。
「(優良事例紹介)農事組合法人 強首ファーム」は、講演内容の概要を下記「講演概要に」に掲載しています。

講演概要

「(講演)国産大豆に望むこと」「(優良事例集紹介)農事組合法人 強首ファーム」以外は、上記資料をご参考ください。

(講演)国産大豆に望むこと|臨海食品協業組合 理事長 矢吹達夫氏

会社概要

昭和46年に創業し、豆腐をはじめとする大豆加工品の製造・販売を行う。秋田県秋田市飯島に事務所及び工場を構え、現在は、秋田市内のスーパーマーケットや秋田市卸売市場、工場の直売にて販売している。

(ホームページ)https://www.rinkai-foods.com/

臨海食品協業組合講演

講演概要

地域密着型の “まちの豆腐屋” の置かれている現状

豆腐屋といえども「装置産業」であり、「より多く、より遠くに、より安く」製造・販売する必要がある。そのため、小さな豆腐屋は年々倒産し、秋田市で残っているのは当社だけとなった。今や、市内のスーパーで地元産の大豆を使用した豆腐は販売されていない。当社もスーパーとの取引を通じて大きくなった経緯があるが、今では手の届かない存在となっている。 国産大豆を使用した豆腐の場合、小売価格は200円以上でないと収支が合わない。しかし、スーパーでは安いものが40~50円で販売されており、まちの豆腐屋では対抗し難い。

まちの豆腐屋が生き残る方法

国産大豆は甘みが強く、おいしい豆腐をつくることができる。これを全面に出していくのが、町の豆腐屋の生き残る方法。よりよい大豆を使い、よりおいしい豆腐をつくり、消費者に食べて幸せを味わってもらう。「豆腐ってこんなにおいしいんだ」ということを感じてほしい。

青大豆を使った豆腐づくりへの挑戦

きなことしても使われる「あきたみどり」(青大豆)で豆腐をつくってみたところ、甘くて、緑色の出る豆腐となった。目玉商品にすることも検討していたが、別の産地の「あきたみどり」を使用した場合に甘みや色味が出なかったり、コクが足りなかったりと商品化には至っていない。次に挑戦するときは、水分を減らしてみようと思っている。商品化できれば、新たなファンを獲得できるのではないか。

生産者とつながり、よい豆腐をつくりたい

豆腐の産地として有名な京都は、全国から大豆を探している。当社もいい大豆を探していかなければいけない。ただ、県産であることにとらわれない方がよいとも思っている。北海道産の大豆はやはりよいものだし、宮城県の「ミヤギシロメ」もよい。 生産者の方々と直接つながり、仲間をつくることで、ユニークな取組ができるのではないかと考えている。5kgの大豆があれば、約50丁の豆腐をつくることができる。ぜひ、自分たちに豆腐をつくらせてほしい。生産者と深い結びつきをもってよい豆腐をつくっていきたい。


(優良事例紹介)農事組合法人 強首ファーム|田村智宏氏

会社概要

秋田県大仙市の農事組合法人。平成19年の基盤整備事業を契機に集団で大豆生産を始め、平成21年4月の法人設立後に面積を拡大して地域に定着。1ha区画に整備された圃場を団地化し、大豆連作3年を目処とした水稲とのブロックローテーションにおいて、水稲・大豆双方で安定生産を実現していることなどが評価され、第48回全国豆類経営改善共励会において農林水産大臣賞を受賞。

強首ファーム事例紹介

講演概要

耕種概要は資料に記載しているので、本日は、大豆の栽培管理において、どこでつまずいてきたのか、どうやって改善していったのかについてお話する。一番大切に考えていることは、「何に時間がとられていて、どこでつまずいているか」。大豆栽培においては、「中耕培土」に時間がかかりすぎていたのが一番の問題。「中耕培土が終わらない→雑草が生える→大豆の生育が遅れる→雑草が生える」のループにはまっていた。

播種・施肥・土壌処理型除草剤の散布を一人で同時にできるように改善

現在は、播種機に粒剤用の除草剤散布器を設置し、播種と同時に除草剤を散布している。従来は、播種後にブームスプレーヤで除草剤を散布していたので、降雨が予想される場合に播種を中断する必要があったが、今では雨が降るぎりぎりまで播種が可能となった。播種時期は梅雨にあたることが多く、時間のロスが減少した。

機械導入により中耕培土の作業速度を上げることで、適期の作業を実現

車高が高く、トレッド(車輪の幅)可変式のトラクターを導入したことで、大豆をつぶさずに機械作業することが可能となった。さらに、中耕ディスクを組み合わせることで中耕培土の作業速度が大幅に向上(最速45分/ha)し、2日あれば全面積(24ha(R3年産))を終わらせることができる。中耕ディスクは、粘土質圃場でも降雨後の湿った状態でも作業が可能であるため、適期を逃すことなく作業が可能となり、大豆の初期生育を確保できるようになった。その結果、初期生育が不良のときに必要な追肥作業の他、大豆バサグラン液剤等の茎葉処理型除草剤の散布作業を減らすことが可能となった。

中耕培土は最低でも3回、雑草防除・大豆の生育確保のためにしっかり行う

まず、大豆本葉1葉目が展開しきらないくらいの時期に、カルチベータによる中耕培土を行い、小畝立ての状態にしている。(土壌処理型除草剤の効果がまだ残っているので)もったいないと言われるが、初期生育が確保されないと(追肥や除草剤散布など)後々の手間が増えるので、梅雨の前に畝を立てて湿害を軽減することを優先している。 また、中耕ディスクの導入前は、茎葉処理型除草剤(大豆バサグラン液剤、ポルトフロアブル)をかなり使用していたが、圃場を回って雑草の状況を確認するのに時間がかかっていた。そこで、雑草の確認に使う時間があるならば、まずは中耕培土をしてしまおうと方針を転換。現在は中耕培土を最低でも3回、連作年数の長い圃場では(雑草が出やすいので)更にできる限り実施。1回目は7割の精度で全圃場を早く終わらせることを重視し、2回目以降で精度を上げていくようにしている(時間がなければ、追肥や防除の作業に移る)。なお、追肥(後述)によって大豆が倒伏しやすくなったので、培土は大豆本葉1葉目が隠れるか隠れないか程度に強めに行っている。 このようにして中耕培土が早く終わるようにしたことで、開花期の追肥ができるようになったことが大きい。

肥料の肥培管理は、試験研究機関の実証試験を生かして実施

肥料の肥培管理は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構東北農業研究センターの実証試験をベースに設計。 追肥は、以前は硫安を使用していたが、現在は緩効性肥料(LP)に変えている。LPを使う理由としては、窒素がゆっくり溶け出すので根粒菌の活性を弱めることなく大豆に窒素を供給できることはもちろんあるが、多少適期がずれてもそこまで大豆の生育に大きな影響がないのではないかということがある。速効性の硫安の場合、降雨によって肥料が流出したり、適期を逃すと(適期ではない時期に大豆に一気に窒素が供給されて生育に影響が出る可能性があるので)追肥ができなかったりする。

今後のチャレンジ

地下灌漑システムを導入。効果的に使うために、春に弾丸暗渠を本暗渠と交差させて施工している。R3年産は空梅雨であったので初めて本格的に使用した。6~7月に水を入れたが雑草が多く発生してしまったので、使い方を研究したい。 また、(地力向上のため)堆肥・緑肥を使った栽培も考えている。

お問合せ先

東北地域大豆振興協議会事務局(生産部生産振興課)

担当者:ブランド産地振興係、豆類振興係
代表:022-263-1111(内線4282)
ダイヤルイン:022-221-6169