「果樹農業における『みどりの食料システム戦略』の取組推進セミナー」(オンライン)を開催しました(令和6年2月21日)
東北農政局は令和6年2月21日(水曜日)、「果樹農業における『みどりの食料システム戦略』の取組推進セミナー」をオンラインで開催しました。全国から生産者、農業協同組合、試験研究機関、行政関係者等120名を超える方々からお申し込みをいただき、関心の高さがうかがわれました。
第一部では「果樹農業における省力樹形導入等の取組」として、「りんごジョイントV字栽培」、「さくらんぼの省力(軽労的)樹形(平棚仕立て、Y字仕立て、V字仕立て)」について、その栽培技術の概要や導入効果等を話題提供していただきました。
第二部では「GHG(温室効果ガス)の削減に向けた取組等」として、「剪定枝のバイオ炭施用による土壌炭素貯留の取組」、「ロボット草刈機導入による省力化、化石燃料使用低減の取組」及び「未利用資源(りんご搾りかす)を活用した環境負荷軽減の取組」について、取組の経緯や成果について話題提供していただきました。
本セミナーの内容の一部は「果樹農業における『みどりの食料システム戦略』推進に向けた取組事例集事例集」にも掲載されております。
事例集のダウンロードはこちらから
https://www.maff.go.jp/tohoku/seisan/kazyu/
1.セミナーの概要
第一部 「果樹農業における省力樹形導入等の取組」
(1)りんごジョイントV字栽培について
宮城県登米農業改良普及センター 技師 髙田 万里子 氏

宮城県農業・園芸総合研究所では平成21年からりんごのジョイントV字栽培の導入実証を行っています。ジョイントV字栽培は主枝を水平誘引してジョイントし、側枝を斜立する栽培方式で、早期成園化や省力・軽労化だけではなく、作業動線が直線的となることから機械導入による省力効果も期待できるとのお話がありました。

(2)さくらんぼの省力(軽労的)樹形について(平棚仕立て、Y字仕立て、V字仕立て)
山形県農業総合研究センター 園芸農業研究所
果樹部研究主幹(兼)果樹部長 工藤 信 氏

さくらんぼのY字、V字、平棚仕立ては、低樹高、直線的、平面的な樹形となることによる作業性の向上、早期成園化、熟練した剪定技術が不要等、様々なメリットがあります。慣行栽培では発生しない摘芯作業が必須となるため、作業時間が増える場合もありますが、機械化により省力化を図ることも可能とのお話がありました。

第二部 「GHG(温室効果ガス)の削減に向けた取組等」
(3)剪定枝のバイオ炭施用による土壌炭素貯留の取組
福島市農政部 農業振興課生産振興係 主査 髙橋 信人 氏

福島市では果樹農家に対する炭化器の購入補助事業を行っています。剪定作業で出た果樹の剪定枝を煙の出にくい炭化器でバイオ炭にし、土壌にすき込むことで、土壌の透水性、保水性や保肥力の向上などの土壌改良効果だけでなく、炭素貯留による温室効果ガスの削減効果が期待できるとのお話がありました。

(4)ロボット草刈機導入による省力化、化石燃料使用低減の取組
和同産業株式会社 ロボモア企画推進課 久保田 賢治 氏

和同産業株式会社では、炎天下での草刈り作業や乗用機械での事故の危険などの課題を解決するため、ロボット草刈機の開発・普及に取り組んでいます。ロボットが草を刈ることで労働時間の削減はもちろん、太陽光パネルで充電することにより化石燃料の使用量低減を図ることも可能となります。また、落葉や枝の腐植促進や獣害の軽減などの副次的なメリットもあるとのお話がありました。

(5)未利用資源(りんご搾り粕)を活用した環境負荷軽減の取組
青森県農村工業農業協同組合連合会 SDGs担当部長 神 貢 氏

青森県農村工業協同組合連合会(JAアオレン)ではりんごジュースを製造する際に発生する年間5000トンものりんごの搾り粕を有効活用するため、低温・低コストで成分を壊さずに乾燥させることができる技術を利用して飼料やヴィーガンレザーなどへ活用する取組を進めています。新たな用途を開発することで、さらなる循環型資源活用を目指したいとのお話がありました。

2.配布資料
- (1)宮城県:リンゴV字ジョイント栽培について-全体版(PDF : 15,039KB)
分割版1(PDF : 2,197KB) 分割版2(PDF : 2,168KB) 分割版3(PDF : 1,843KB) - (2)山形県:さくらんぼの省力(軽労的)樹形について-全体版(PDF : 4,686KB)
分割版1(PDF : 1,961KB) 分割版2(PDF : 2,124KB) 分割版3(PDF : 2,236KB) - (3)福島市:剪定枝のバイオ炭施用による土壌炭素貯留の取組(PDF : 3,028KB)
分割版1(PDF : 1,862KB) 分割版2(PDF : 1,476KB) - (4)和同産業株式会社:ロボット草刈機導入による省力化、化石燃料使用低減の取組(PDF : 9,189KB)
分割版1(PDF : 2,070KB) 分割版2(PDF : 2,076KB) 分割版3(PDF : 1,195KB) - (5)JAアオレン:未利用資源(りんご搾り粕)を活用した環境負荷軽減の取組(PDF : 5,353KB)
分割版1(PDF : 1,997KB) 分割版2(PDF : 1,956KB) 分割版3(PDF : 1,412KB)
お問合せ先
生産部園芸特産課
担当者:果樹担当
ダイヤルイン:022-221-6193