山形の郷土料理「ひっぱりうどん」 R4.1.27
皆さんは「ひっぱりうどん」をご存知でしょうか。
「ひっぱりうどん」とは山形県内陸地方に伝わる郷土料理で、茹で上がったうどんを鍋からすくい上げて、そのまま納豆やサバ缶(サバの缶詰)などが入った「つけだれ」に絡めて食べるものです。
「ひっぱりうどん」の名の由来は、鍋からうどんを引っ張る(すくい上げる)からとか、納豆が糸を引く姿からとか、諸説あるようです。 |
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私はその名を聞いた時、うどん生地を引っ張って作るからかとイメージしたのですが全然違いました(^^ゞ 釜揚げうどんのようなものですね。
ひっぱりうどんは、山形県村山市戸沢地区が発祥の地と言われています。 この地域ではかつて、冬は炭焼きを生業としていて山ごもりすることも多かったとのこと。 炭焼きの最中は炭窯から離れられないことから、乾麺や自家製の納豆、サバ缶などのあり合わせの材料で簡単に食事をとったのがひっぱりうどんの始まりとされています。 手軽にできて美味しいことから家庭でも食べられるようになり、他の地域にも広まったのだとか。
ポピュラーなつけだれは、納豆、サバ缶、ネギ、しょうゆを入れて混ぜたもの。 家庭によって具材や薬味は様々で、卵や長いも、ツナ缶、大葉、せり、かつお節、ごま、のり、一味唐辛子など、思い思いのものを加えても良し、めんつゆを使っても良し、バター、チーズ、カレーなどの変わり種でも良し。 自分の好みのものを混ぜ合わせて、熱々のうどんを絡めて食べる! 大勢で食べると楽しそうですね♪ そうめんや冷凍うどん、生うどんを茹でてもいいそうですよ。
山形市出身の職場のTさんに聞いてみたところ、Tさんのお宅でも冬場には何度かひっぱりうどんが食卓に並ぶとのこと。 そしてなんと!翌日にひっぱりうどん用の乾麺を買ってきてくださいました。
早速、いただいた乾麺でひっぱりうどんを作ってみました。 つけだれは、家にあったもので適当に(^^ゞ
【ひっぱりうどん】 〇材料 うどん(乾麺)、卵、納豆、サバ缶(水煮)、ねぎ、めんつゆ *分量は人数に応じて好きなくらい |
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1.大きめの鍋にたっぷりのお湯を沸かし、所定の時間で麺を茹でます。 茹で上がったら茹で汁を捨てずに鍋のまま食卓へ。
*鍋敷きを敷きます。
2.麺を茹でている間に、つけだれを準備します。 ねぎは小口切りにし、納豆は混ぜておきます。 器に卵を溶いて、サバの身を細かくほぐし、納豆、ネギ、めんつゆとともに混ぜ合わせます。 3.鍋から熱々の麺を引っ張って、つけだれに絡めていただきます。
麺は腰があって喉越し良好♪ サバ缶と納豆の相性が良いのか、サバの生臭みも気にならず旨味が引き立ち、卵のまろやかさ、ネギのアクセントが相まって、想像を超えた美味しさでした(*^_^*) いろんな具材を一緒に食べられるので、手軽に栄養も摂れるのが魅力ですね(^_^)v 何度でもリピートして食べたい一品です。
皆さんも、寒い日にはご家族で鍋を囲んで熱々のうどんをひっぱり合ってみてはいかがでしょうか。 身も心も温まり、楽しい食事になりますよ♪
令和4年1月27日
へそ大根 R4.1.20
前回のブログで「あさつき」を紹介したところ、職場ではこの食材を知らないという人が意外に多くて驚きました。 私としては馴染みのある食材なのですが、食には地域性があることを改めて気づかされたところです(^^ゞ 皆さんもそんな経験はありませんか? 食とは奥が深いものですね(^_^)
さて、皆さんは「へそ大根」をご存知でしょうか。
テレビ番組などでもよく取り上げられているので、全国的にもある程度知られているかもしれませんね。
「へそ大根」とは、宮城県で作られている凍み大根のこと。 輪切りにした大根を干す際に通した穴が、人のおへそに見えることからその名が付いたとされています。 |
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へそ大根は初冬に収穫した大根を輪切りにして茹でた後、棒に刺して軒下に1ヶ月ほど天日干し、日中と夜間の寒暖差で凍ったり溶けたりを繰り返し作られます。 大根は水分が抜けてカラカラに乾燥し、素材本来の旨みや甘さが凝縮され、保存食として重宝されてきたとのこと。 中でも標高300メートルを超える宮城県丸森町筆甫(ひっぽ)地区のへそ大根は、寒風にさらされることで特に歯応えと旨味があり、伝統的な特産品として有名です。 また、へそ大根は天日干しされることでビタミンB群やカリウム、カルシウムなどのミネラル、食物繊維などの栄養価が高まるそうで、生の大根よりも栄養たっぷりだそうですよ(^o^)
丸森町産ではありませんが、宮城県蔵王町のへそ大根を見つけたので買ってみました。 飴色をしたへそ大根。 水につけておくと、ぷっくりと戻ります。 |
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定番の煮しめ(煮物)にしてみました。
【へそ大根の煮しめ】
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〇材料 へそ大根1袋(10個程度) 人参、しいたけ、こんにゃく、凍み豆腐(分量は適量) 調味料(料理酒、みりん、砂糖各大さじ1、しょうゆ大さじ3、和風顆粒だし適量) *調味料はお好みで調整して下さい。
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お好みで干し椎茸、結び昆布、厚揚げなど加えても可。 1.へそ大根は軽く水洗いし、たっぷりの水に一晩つけてもどします。 *戻し汁は取っておきます。
2.人参は食べやすい大きさに切り、しいたけは軸を除き、凍み豆腐は水につけて戻します。 3.こんにゃくは下茹でしてアク抜きし、適当な大きさに切ります。
ねじりこんにゃくにしてみました♪ 1センチ幅に切ったこんにゃくの真ん中に2センチの切り込みを入れ中を通します。
4.鍋にすべての材料、へそ大根の戻し汁を入れて火にかけ、煮立ったら調味料を加え、落とし蓋をして中火で煮含めて出来上がり。 *へそ大根は下茹でをしてから干してあるので、調理の際火の通りが早く、短時間で出来上がります(^_^)v
出来上がったへそ大根は、ふっくらとした柔らかさの中にも歯ごたえがあって、癖になる食感♪ いい感じに味がしみていて口に入れた瞬間、旨みと甘みがじゅわっと広がります(*^_^*) 煮しめの他にも、アレンジメニューとしてシチューや揚げ物にも合うそうです。 想像しただけでも美味しそうです♪ 皆さんも、へそ大根をぜひ食べてみてください(^o^)
令和4年1月20日
あさつき R4.1.13
先日、スーパーで「あさつき」を見つけました。
子供の頃によく食卓に並んでいたので、見つけるとつい懐かしくて買ってしまいます(*^_^*)
あさつきは漢字で「浅葱」と書きますが、その名の由来は諸説ありネギ(葱)に比べて浅い緑色をしているからとか、根深ねぎに比べて根の浅いところでできるからなどと言われています。 |
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あさつきというと、細い青ネギ状のものを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんね。 東北地方などでは、冬から春にかけてあさつきの球根から伸びた新芽の部分を収穫し、春の味覚として親しまれています。 また、秋田県や山形県の最上地方などでは「ひろっこ」とも呼ばれ、伝統野菜とされています。 ひろっこ、可愛らしい名前ですよね♪
あさつき(新芽)の収穫は、寒さの厳しい時期の作業でとても手間がかかります。 土から掘り出したあさつきを1週間ほどハウスで加温し新芽を出させたものや、陽にあてて青くしたもの、雪の下から掘り出し収穫した黄白色のもの、真っ直ぐで緑の葉が長いもの、曲がった形で葉先が短いものなど、栽培方法や形態は地域によって様々のようです。
あさつきにはビタミンB1、B2、B6、パントテン酸などのビタミンB群が豊富に含まれているそうです。 また、ネギ類と同じ強い香りの「硫化アリル」と言う成分が含まれていてビタミンB1の吸収を助けるほか、血行を良くして疲労物質である乳酸を分解する作用があるとのこと。
最近、肩こりが辛いので続けて食べると効果があるかもしれません(^^ゞ
さて、私が買ったのは福島県産のあさつき。白い根っこが付いていて、根もとから黄緑色の若芽が顔を出していました。 寒い中、土の付いた根っこをこれだけ綺麗に洗う作業はさぞかし大変なことでしょう。 |
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そんな農家さんに思いを馳せながら、あさつきの定番料理「酢みそ和え」を作ってみました。
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【あさつきの酢みそ和え】 〇材料 あさつき1束 調味料(みそ、砂糖、酢各大さじ2) *調味料はお好みで調整
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1.あさつきの根っこを切り落とし、薄皮をむいて水洗いします。 2.鍋にたっぷりのお湯を沸かし、沸騰したら塩少々(分量外)とあさつきを入れサッと茹でて冷水に取り、しっかり水気を取ります。 3.調味料をよく混ぜ合わせて酢みそを作り、2のあさつきに絡ませて出来上がり。
独特の辛みとシャキシャキとした食感が魅力なので、茹で過ぎに注意しましょう。 素朴でやわらかな思い出の味(*^_^*) お酒のつまみにも、ご飯のおかずにもピッタリです。 ぜひ、お試しください(^o^)
令和4年1月13日
迎春 R4.1.6
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明けましておめでとうございます。 本年もどうぞよろしくお願いいたします(*^_^*)
皆さま、お正月はいかがお過ごしでしたか? おせち料理やお雑煮など、行事食に触れる機会が多かったのではないでしょうか。
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今回ご紹介するのは、青森県津軽地方に伝わるお正月の郷土料理「けの汁」です。
けの汁の由来は諸説あり、「粥(かゆ)の汁」がなまったもので、米が貴重だった時代に野菜や山菜を米に見立て細かく刻んで食べたのが始まりなどの説があります。 小正月に一年の無病息災を願って食べる習慣があり、さらにはお嫁さんが小正月に実家に里帰りする際に家族のため大鍋に大量のけの汁を作り置きし、毎日温め直して食べたのだとか。 |
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また、青森県津軽地方は雪が深く七草粥の青物が取れないため、七草粥の代わりにけの汁を食べる地域もあるそうです。
家庭によって材料や味が異なりますが、とにかく具材を刻んで煮込むのが特徴。
地元のスーパーでは、あらかじめ野菜などを刻んだ袋詰めや、大豆をすり潰した「ごじる」なども販売されているそうですよ。 そこで今回は、ポピュラーな味噌仕立てのけの汁を作ってみました。
【けの汁】 〇材料 大根、人参、ごぼう、わらびの水煮、 干し椎茸、凍み豆腐、油揚げ、こんにゃく、 蒸し大豆(水煮)、だし昆布、煮干し、みそ。 分量は適宜。 |
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1.鍋に昆布、煮干し、水を入れて半日程度つけておきます。 2.干し椎茸、凍み豆腐は水につけ、それぞれの戻し時間で戻します。(干し椎茸の戻し汁は取っておきます) 油揚げは熱湯をかけ、こんにゃくは下茹でし下ごしらえします。 3.大豆以外の全ての具材を5ミリ角のさいの目に切ります。 ごぼうは水にさらしてアク抜きします。 4.蒸し大豆は半分は細かく刻み、半分は丸のまま使用。 *すりつぶすのが基本らしいです(^^ゞ 5.1を火にかけ、沸騰したら昆布と煮干しを取り出します。 取り出した昆布は、5ミリ角のさいの目に切り鍋に戻します。
6.5の鍋に干ししいたけの戻し汁、大根、人参、ごぼうを入れて火にかけ、柔らかくなったら油揚げ、こんにゃく、わらびの水煮、干し椎茸、凍み豆腐を加えて煮立たせます。 7.みそを溶き入れ味をととのえ、4の大豆を加えてひと煮立ちしたら出来上がり。
出来上がったけの汁は、具材の形が揃って美しく何気に芸術的です♪ 細かいさいの目に切るからなのか、不思議なことにいくら温め直しても煮崩れしないんですよね。 旨みも栄養もたっぷりで、どこか懐かしい優しい味わいです。 小正月にはけの汁を食べて、お正月で疲れた胃腸を癒してみてはいかがでしょうか(*^_^*)
【おまけ】
昨年、青森県出身の職場の方から「いちご煮」の缶詰をいただきました。 いちご煮は青森県南部から岩手県北部にかけての三陸海岸の郷土料理で、ウニとアワビの贅沢なお吸い物。 お椀に盛り付けた際、アワビのエキスで乳白色に濁った潮汁に浮かぶウニが、朝もやにかすむ野いちごのように見えたことから「いちご煮」と名付けられたそうです。 |
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いちご煮はお盆やお正月、ハレの日によく食ベられるとのこと、お正月にありがたくいただきました。
上品なお味で最高に美味しかったです(*^_^*)
令4年1月6日
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