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東北農政局

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生産者を訪ねて(令和3年度)

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「困難を乗り越え念願の地理的表示(GI)保護制度登録へ(阿久津曲がりねぎ)」阿久津曲がりねぎ保存会(郡山市)(2022年3月)NEWアイコン    

阿久津曲がりねぎは、特有の柔らかな食感と味の良さで市民に親しまれています。約120年前の明治時代に「富山の薬売り」が種を持ち込んだのが栽培の始まりと言われ、その名のとおり、弓なりに曲がっているのが特徴です。春に植えた苗を夏に一度掘り起こして、斜めに植えなおす「やとい」という作業を行い、ねぎの柔らかい部分を確保しています。

阿久津曲がりねぎ保存会の橋本昌幸会長は、このねぎを「地理的表示(GI)保護制度」に登録し販路拡大、ブランド価値の向上、価格向上に結びつけようと生産者、関係団体を巻き込み、やっと申請にたどり着いた矢先、令和元年10月の台風19号により、畑やねぎ洗浄施設が冠水し大きな被害を受けました。

曲がりねぎの生産者も高齢化が進み栽培農家も減少する中、代々つくり続けてきたねぎを絶やすわけにはいかないとの強い信念のもと、復旧に向け歩き出します。橋本会長は一刻も早く復旧させたいと、行政等からの支援策を活用するための手続き等に奔走されました。その結果、翌年度の作付けに間に合い、曲がりねぎを皆さんに届けることができ、令和4年2月のGI登録を実現しました。

今後は、より良い品質のねぎの提供と、生産者が安心して作り続けられるような価格の安定による収入の確保を目指したいと笑顔で話してくださいました。


阿久津曲がりねぎ保存会の橋本会長

真正な地理的表示産品であることを証するGIマーク


被災したビニールハウス(上)と
被災したねぎ洗浄槽(下)

復旧したビニールハウス(上)と
復旧したねぎ洗浄槽(下)

「有機農業の継承を目指して」菅野大地さん(二本松市)(2022年2月)    

二本松市の岩代地区に新規就農し有機農業に取り組んでいる若手農業者がいます。菅野大地(すげの・だいち)さんは、関東地方の大学を卒業後、一般企業への就職を経て現在、高齢で離農された方の畑(約60a)を借りてナス、ピーマン、いんげん、ほうれん草など少量多品目を栽培しています。

農業を始めたのは、転職を考えていたときに東京で開催された「農業人フェア」に参加したことがきっかけで、出身地でもあった二本松市から参加していた有機農業団体「オーガニックふくしま安達」の話を聞く中で、良いイメージを持っていた農業に自分も携わりたいと、思い切って農業への転職を決めたとのことです。

二本松市に戻り、「オーガニックふくしま安達」の会員であり長年有機農業に取り組んでいる先輩の元で技術を習得し、令和3年4月に農業次世代人材投資事業(経営開始型)を活用して就農しました。「オーガニックふくしま安達」を通じて、自慢の農産物を販売しています。病害虫対策がうまくいかず収量が上がらないことや高台にある畑に水を運ぶことに苦労していますが、来年の有機JAS認証取得を目指し、楽しそうに取り組まれています。

菅野さんは「1年目からうまくいくはずはなく、何事も勉強だと思っている。今後の目標は、有機農業を教えていただいている先輩農業者が高齢なので、その先輩の技術を継承して消費者においしいと勧められるもの、味が良いと言われる農産物を届けたいし、地域を守っていきたい。」と強く語ってくれました。

お話を伺った菅野大地さん

ほうれん草の収穫の様子 昨年の夏に栽培したナス
(画像提供:菅野大地さん)

「人々が集まり、笑顔が広がる場所に」いちご家族(鏡石町)(2022年1月)    

いちご家族代表の太田啓詩さんは、曾祖父から引き継がれた土地に、7連棟ハウス(20a)と直売所を建設し、土耕栽培による完熟いちご(とちおとめ)を生産・販売する「いちご家族」を2020年12月にオープンさせた新規就農者です。

以前は、大学進学を機に地元を離れ、2006年から外資系製薬会社に就職し関西で勤務という意外な経歴の持ち主です。まったく違う分野から農業を志した理由をお伺いすると、家族や地元への思いが溢れた決意がありました。

2011年3月11日の東日本大震災をきっかけに、自身が生まれ育った土地を守る生き方ができないかと考え、地元である福島県への転勤を決めました。会社員として働く傍ら、復興ボランティアとしても活動する中で、復興に向けて頑張る福島の人々、その土地に新たな価値を生み出そうとする人々との出会いがあり、地元の大切さや豊かさを日に日に実感したそうです。

そんな中で辿り着いた結論は、実家の尊い環境の中で家族と共に生きていける農家への転身でした。自分の思い描く将来像の中で、農産物は「いちご」を選択し、いちご農家で2年間の修行を行いながら、農業次世代人材投資資金、クラウドファンディング等を活用し、計画を実行に移しました。

鏡石町の土と水にこだわり、太陽をいっぱいに浴びたいちごは、赤く艶やかで、強烈な甘さと心地よい酸味があります。芳ばしい香りや美味しさを際立たせられるように、大切に一粒一粒と向き合いながら、大切な人に届けたいと思えるような「いちご」を目指して日々努力していらっしゃいます。

また、いちごを中心に季節が巡り、人々が集まり、笑顔が広がっていく、そんな場所を想って誕生させたのが「いちご家族」だそうです。

将来は、経営を安定させるため、1.不耕起栽培で、その土地の微生物に働いてもらう栽培方法への挑戦、2.完熟で収穫したいちごを出荷するための品質管理の向上、3.「いちご家族」のいちごを食べたい・購入したいと想って、直売所に足を運んでいただける販売システムを目指して、現在のオンラインショップによる対話ができる販売をメインとした運営を継続し、さらなる飛躍をしたいと話されていました。

代表の太田啓詩さん

いちご苗の管理風景 収穫されたいちご

「先進的な農家に役立つ技術への挑戦」株式会社 縁(会津坂下町)(2021年12月)   

会津盆地西部にある会津坂下町の米集荷業「有限会社カネダイ」(以下「カネダイ」という。)は、2018年に農業法人「株式会社縁」(以下「縁」という。)を立ち上げています。縁の代表で、カネダイの専務でもある藤田晴樹さんは、農業経営に取り組んで今年で4年目になり、水稲を10haほど作付けしていますが年々廃業する農家からの委託が増えています。そのうち8haで複数年契約による飼料用米に取り組んでおり、品種は倒伏しにくい「天のつぶ」を作付けしていて、そのうち7haが直播による栽培です。

現在、縁が保有する主な作業用機械は、トラクターとドローンのみです。田植機、コンバイン、乾燥機は所有しておらず、収穫は近くの大規模農家に作業委託しています。

藤田さんは、カネダイでは農家の営農指導を行っています。その中で、農家に省力化技術の話をしても関心を持ってもらえないという課題を持っていました。そこで、縁では、自らミストを背負ったりして農薬散布を請け負ってきましたが、体力的にもきつかったので、5~6年前に請負防除のためのドローンを導入しました。

導入初年度に100haくらいの面積を請負い、その技術を見込まれて、翌年、ドローンの購入先から依頼されて、カネダイが福島エリアのドローン販売代理店を始めました。ドローンは点在している圃場の作業に効力を発揮し、すでに、会津では30機以上が使われて、さらに、中通りや浜通り、山形、宮城の農家とも取引を行っています。また、メーカーの整備士講習を受けているので機体の修理や整備も行っています。

縁ではドローン作業を3人で回しており、400ha程度の農薬防除等の作業依頼があって、忙しいときなどはドローンを所有している農家に50ha程度の請負作業を依頼することもあるそうです。

今後の展望について伺ったところ、「縁としては、将来的には経営耕地面積を50haまで増やしたいと考えており、今後、ライスセンターの設置を計画している。」

「10年、20年先を見据え、毎年、各地の大規模農家を視察している。来年は、水がなかなか来ない圃場を請け負うようになるので、そこに水田転作としてサツマイモの作付けを予定している。サツマイモの販売はペット用の干し芋への加工を考えている。サツマイモは農薬を使用せずとも栽培が簡単にでき、こだわり嗜好の人がペットにあげたいものは、国産の無農薬、無添加のものなので、簡単に栽培できて簡単に加工できる干し芋が適している。」

「これからは特別栽培米がスタンダードになってくると思うので、最低限そのくらいの技術で作りましょうと、つながりのある農家には話をしている。輸入肥料が高くなってきていて、何かしらの副産物を使って補える特別栽培米にしたい。堆肥は原料である牛糞堆肥が近くにあることから、ペレタイザーを使ってペレット肥料を作りたい。農家の皆さんが使いやすく撒きやすい状態の堆肥を作りたいと考えている。」

「担い手が受けきれない農地が増えてきており、その受皿として、様々な実証や先進的な農家にとって役立つ技術に、他に先駆けて取り組みたい。」と話されていました。

ドローンの説明をする代表の藤田晴樹さん

ドローン事業部のメンバー

ドローンの操作光景

「お客様の『おいしかったよ』を糧に」渡辺果樹園(須賀川市)(2021年11月)    

渡辺果樹園は、福島県須賀川市で約100年に渡って果樹園を営む歴史ある果樹農家です。4代目で代表の渡辺喜則さん・佳子さん夫婦は、お客様からいただく「おいしかったよ」の言葉を糧に、桃や日本梨、西洋梨の生産・販売を手がけておられます。

渡辺果樹園は、2001年の凍霜害により壊滅的な被害を受けた以降、防霜ファンや多目的防災網を設置し、高品質で安定的な果樹生産に向けた対策を進めていましたが、今年4月に福島県中通を中心に発生した凍霜害では、残念ながら被害に遭われてしまい、例年の3~4割程度減収となったとのことでした。この状況を打破するため、今回、防霜ファンの増設を計画し、来年の3月までには工事が完了する予定です。

また、新規就農者の育成に尽力されていて、5年後の独立を目指す女性就農者の育成のため、技術的な支援に取り組まれる予定で、この女性就農者の成長が楽しみとおっしゃっていました。

奥様の佳子さんは、結婚を期に就農され、経営移譲の際には、経営者のスキルを得る目的で、女性農業次世代育成リーダー塾に参加されています。佳子さんは、消費者との繋がりを大切にしていて、「果樹園だより」という手書きの便りを発行し、渡辺果樹園の近況報告をなされています。

渡辺果樹園は、この間、3度農林水産大臣賞を受賞されています。1回目は2004年度に福島県農業賞における経営改善部門で、2回目は2011年度の環境保全型農業推進コンクール、3回目は2016年度の全国農業コンクールにおいて受賞されています。また、減農薬、減化学肥料への取組にも積極的で、2018年にはJGAPを取得し、地球環境に配慮した果樹生産へ取り組んでいます。

代表の渡辺喜則さんと奥様の佳子さん

西洋梨 ル・レクチェ

渡辺果樹園作成の果樹園だより

「イスラエルの技術を活かした生産に思いを新たに」カヤノキファーム(南相馬市)(2021年10月)    

南相馬市鹿島区にある「カヤノキファーム」は、きゅうりを中心とした野菜の接木苗や鉢花苗の生産販売を行っています。2011年3月に発生した東日本大震災の影響により、一時苗の生産ができなくなってしまいましたが、現在は、震災前からの主力商品である野菜接木苗等に加え、震災からの復興時に、福島県がイスラエルから寄贈された養液栽培システムを活用してトマトやきゅうり、レタスといった野菜の生産販売、加工品の販売にも取り組んでいます。これが縁となり、駐日イスラエル大使が交代される度に、カヤノキファームを訪問し、交流を深めています。

カヤノキファームでは、苗栽培が一段落した時期には、ハウスの中にプランターを並べて、野菜栽培をしています。このプランターの一つひとつに養液栽培のチューブが差し込んであり、苗栽培を開始する際には、約2週間でこのプランターを片付けて苗床を整えます。お話を伺ったカヤノキファーム代表の只野さんは、「養液栽培システムは、営農再開にあたり新しいことをモデル的に始めてみようという思いから導入したものであり、これまで試行錯誤しながら生産技術を確立してきました。苗生産と野菜生産の切り替えが容易にできることから、カヤノキファームの生産スタイルと親和性が高いと感じています。」と話していました。

また、只野さんは地域の若手農業者組織にも所属しており、震災後、各地で福島県産農産物のPR活動を行ってきました。この活動を続けていくなかで、「まず、地元の食材を地元で消費することが大切なのではないか」という思いに駆られ、子供たちへの食育活動として、親子で参加する福島県産を使ったBBQやイチゴ狩りツアーを企画しました。この活動を通じて、子供たちが福島県産の農畜産物に関心を持ち、親も一緒になった地産地消の輪が再構築されています。

昨年、カヤノキファームの代表を継承した只野さんは、野菜生産販売や加工品販売などの新たな可能性を見いだしつつ、農業者から選ばれる高品質な苗の生産と地域農業を盛り上げる活動を行っていこうと思いを新たにしています。

カヤノキファーム代表の只野智由さん

花壇苗の生産風景

トマトの養液栽培の様子

「地域交流の場を目指し農園開園」ベリーズパーク郡山(郡山市)(2021年9月)    

「ベリーズパーク郡山」の城 清里仲(じょう せりな)さんは、助産師の職歴を経て、平成30年11月にブルーベリー農家として新規就農し、令和2年3月に総合化事業計画の認定事業者になりました。3人のお子様の子育てをしながら、水田40aをブルーベリー畑に整地し、福島県内ではほかに見られないポット式養液栽培により約80品種のブルーベリーを中心としたベリー類約1200本を露地栽培しています。

冬場の徹底した剪定作業、春先には花の摘み取り、収穫シーズンの雨よけや防鳥ネット設置と害虫駆除、収穫が終わった後の枝を落とし、秋にはしっかり栄養を木に蓄えさせることによって、凍害にも強い充実した枝・花芽を作っています。

今年の7月、ブルーベリーの本当の美味しさを知ってほしい!とブルーベリーを中心としたベリー類の摘み取り農園を本格オープンしました。味のよい品種は栽培が難しく、収穫量の少ないものが多いと話す城さん。樹齢が若いこともあって収穫量が伸びず、またコロナ禍での集客対応の難しさの中で、食べ放題で収穫期間中毎日開園という当初の計画は断念せざるを得ませんでしたが、7月から9月初めまでの毎週土日と祝日の開園日には、甘みと酸味、味の濃さにこだわって木成り完熟させた味を求めて、予約がいっぱいになったそうです

早く収穫すると、傷みにくく、実が木から落ちてダメになることもないので流通させやすいですが、それではただの酸っぱい実。一粒一粒に愛情をかけ、丁寧に完熟まで育てていくと、甘さ・酸味・香り・歯触りや果汁感などが品種ごとに全く違ってきます。「甘さ」にこだわって選び抜いた品種と、その特徴を最大限に活かす栽培努力で、食べた瞬間自然と笑顔がこぼれるようなブルーベリーを目指しています。

将来は、助産師・保健師・看護師の免許をもち勉強してきた経歴と美味しいブルーベリーのもつパワーを活かし、子供、中高年、妊産褥婦の方など幅広い層への心身ケアや癒しの提供、地域交流の場として農園を運営したいと話されました。

収穫をする城 清里仲さん

農園(ポット式養液栽培)風景

ピッコロカートでデザートを提供

「薊(あざみ)あふれる美しいふるさと」農事組合法人 入方ファーム(白河市)(2021年8月)    

紫色の薊が自生する農事組合法人入方ファームは、入方地区の農業者の話合いから生まれた農業者全員参加型(入方地区農業者29戸のうち27戸が参加)の農事組合法人で、平成24年に設立されました。平成28年度豊かなむらづくり全国表彰では、地域貢献が認められ、農林水産大臣賞を受賞されています。

代表の薄井惣吉さんをお訪ねしたところ、昭和51年からの農村基盤総合整備事業を契機に、入方地区に3つの営農組合が立ち上がったが、先人達が入方地区の発展と美しいふるさとを守るといった愛情から話し合いの末、3つの営農組織を1つにまとめた農事組合法人入方ファームが設立されたとお話がありました。

入方ファームは、水稲32㏊、ミニトマト10aを栽培されていて、本年2月に役員2名がドローンのオペレーターライセンスを取得し農薬、肥料の散布、密植栽培や直播などの労力軽減と省力化に取り組んでいます。

ミニトマトは、平成26年度福島県再エネ発電モデル事業により営農発電型太陽光パネルを設置する施設(ビニールハウス)で、トロ箱養液栽培システムにより夏秋間栽培を行っています。

入方ファームは、地域の子ども達が農業に対する親しみをもち、また、薊が自生する美しいふるさとを引き継いでもらえるよう、もち米の田植え、稲刈り体験や、ミニトマトの収穫体験を行い、また、近年、役員等中心で実施している入方ファームの運営を地域の若者に知っていただくため、毎月、機関紙を発行しています。

薄井氏は、美しいふるさとを薊やポピーの里として後世に残せるよう、入方ファームにある手つかずの農地を利用し、景観豊かな美しいふるさとづくりを考えておられ、今年から薊、ポピーの栽培に取り組んでいます。

 

入方ファーム代表の薄井 惣吉さん

水稲(飼料用米)ほ場

太陽光パネルを設置するビニールハウス施設

「落花生の地産地消で地域を振興したい」(株)オクヤピーナッツジャパン(喜多方市)(2021年7月)    

福島県喜多方市にある豆屋さんの「(株)おくや」はかねてから、地域の農家に働きかけて、落花生の委託生産を行い、会津地域の落花生生産の再興を目指してきました。その「(株)おくや」が昨年、落花生部門を独立させて農業生産法人「(株)オクヤピーナッツジャパン」を設立しました。

会津地域では、かつて盛んに落花生が作られていましたが、輸入品に押されて作付けが大幅に減ってしまいました。しかし、代表者である松崎健太郎さんは、荒廃農地で落花生が作れないかと落花生の委託面積を年々増やし、現在は40名の農家に落花生の栽培を委託しています。

松崎さんは、以前から農家の作業軽減のために農業機械を確保して、落花生を生産する農家に農業機械を貸し出してきました。
しかし、農業生産法人を立ち上げることで機械購入資金への融資などの支援が国や県から受けやすくなることと、自ら品質のよい落花生を生産して委託農家に技術を普及したいとの理由から、昨年、農業生産法人を設立し、喜多方市から認定農業者の認定を受けて、自ら落花生の生産を始めています。2年目の今年は、昨年の倍の1ヘクタールに作付面積を増やしています。

また、以前から会津の福祉事務所に落花生の殻むき作業や農作業を委託するなど積極的に農福連携に取り組んでおり、福島県のアグリスタッフ確保・活躍推進事業の一環で開催している福祉事務所を対象とした農作業体験会を受け入れ、一般の農家にも農福連携を広める取組を行っています。

将来は、落花生の作付面積を10ヘクタールくらいに増やすことと、社会福祉法人を立ち上げて、社会福祉に貢献できる商品作りもしていきたいと話されました。

落花生の播種をする松崎健太郎さん
(画像提供:(株)オクヤピーナッツジャパン)
福祉事務所の皆さんによる殻剥き作業
(画像提供:(株)オクヤピーナッツジャパン)

「日本一のミョウガ産地を目指して!」(株)トーヨーエネルギーファーム(南相馬市)(2021年6月)    

(株)トーヨーエネルギーファームでは大規模な太陽光発電事業を展開しており、その一つである南相馬発電所では営農型発電施設として、平成29年よりソーラーパネルの下の日陰でも育つミョウガの露地栽培を約8haの農地で行っています。

福島県の農業者から、震災前から耕作放棄地や遊休地となっていた一部の農地と稲作していた農地があるが、震災と高齢化のため、地元住民での営農再開は難しいので有効活用できないかとの声を受け、自社で技術を確立し広めていきたいという考えから栽培を始めました。

耕作放棄地となっていた除染後の土地から、大変な苦労をして大きな石を除去し、畑として使用できる状態に戻すまで1年もかかりました。

また、植え付けから昨年の収穫までの3年の間には台風によりミョウガ圃場の1/3程度の苗が畝ごと流出していまい、植替えと圃場整備を余儀なくされたり、農機が入れないことから毎年除草剤と手作業で除草作業をしています。露地栽培ということもありますが、震災により、耕作放棄地が増えたことで周辺からの雑草種子の飛来も多く、毎年衰える事なく繁茂してしまうため苦労しています。

今年5月からは、毎月2週間程度、福祉施設の利用者に草取りと収穫の作業を委託する「農福連携」にも取り組んでいます。

今後の展望について聞いたところ、担当の方は「営農型発電設備のある日本一のミョウガ農場として福島県の復興をPRしたい。今後は他作物の生産にチャレンジするとともに、6次産業化、アシストスーツを導入した農作業の省力化への取組、水耕栽培ハウスの建築や新技術の普及を行い、全国の農業の発展に貢献したいと考えている。」と話されました。

栽培風景 ソーラーパネルの下の様子
株元にミョウガが顔を出します
(画像提供:(株)トーヨーエネルギーファーム)
適度な距離を取って草取り作業
(画像提供:(株)トーヨーエネルギーファーム)
草取り作業は手作業で行います
(画像提供:(株)トーヨーエネルギーファーム)

お問合せ先

福島県拠点地方参事官室

代表:024-534-4141
ダイヤルイン:024-534-4142