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東北農政局

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生産者を訪ねて(令和4年度)

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    「被災を乗り越えた真っ赤な完熟いちごを召し上がれ」和田観光苺組合組合長 齋川 一朗さん(相馬市)(2023年2月)NEWアイコン

    相馬市の人気観光スポット、和田観光苺組合のいちご狩りは福島県に春の訪れを告げる風物詩になっています。いちごの最盛期を迎え、真っ赤ないちごが実った甘い香りが漂うハウスの中には、家族や友人といっしょに大きないちごを頬張る姿が連日見られます。

    和田観光苺組合は、生産者の高齢化の課題の解決といちごの生産量増加を目指し、昭和63年に結成されました。翌年にはいちご狩り農園を開業し、ピーク時には約5万人の観光客が東北各地から訪れていました。人気観光スポットとして賑わいを見せていた中、平成23年3月11日に東日本大震災の津波により多くの施設が被災し、東京電力福島第一原子力発電所事故による風評被害もあり、組合農家数は半分以下に減少してしまいました。そのような状況から、多くのボランティアの協力を得て、翌年1月にはいちご狩り農園を再度オープンさせました。その後、令和元年の台風19号等での水害や令和3年2月と令和4年3月の福島県沖の地震により被害をたびたび受けてきましたが、そのたびに復旧・復活してきました。

    齋川組合長は、「組合員は同じ集落で育ってきた仲間であり、わいわいと楽しく作業できるこの農園を守っていこうという思いを皆が持っている。被災するたびに大変な思いをしてきたが、お客さんにおいしいいちごを食べてほしい、目の前の問題をなんとかしなければという思いが自然に生まれる。生産者が高齢になり後継者の育成が課題だが、なんとか次世代につないでいきたい。」と熱くお話しいただきました。

    3年前から「冷凍いちご」の製造・販売にも力を入れています。完熟したいちごを冷凍したもので、松川浦を望むセレクトショップが販売しているアイスキャンディーとのコラボ商品も販売される予定です。

    福島県に春の訪れを告げるいちご園が、これからも人々に完熟した甘いいちごと笑顔を届けるでしょう。

    組合長の齋川一朗さん いちごの白い花と赤い実が綺麗です 和田観光苺組合のいちご狩りは1月からスタートです

    「地域の担い手としての活躍と、水田の畑地化へのチャレンジ」(株)アルス古川 (会津坂下町)(2023年1月) 

    水稲が盛んな会津地域において、農作業の受託も行い地域の担い手として活躍している株式会社アルス古川の古川代表。会津坂下町で42haの水稲を中心に、そば10haの栽培に取り組んでいます。水田の高収益作物への転換を目指し、令和4年度から加えて9haのさつまいも栽培にチャレンジしました。

    収穫したさつまいもは全量出荷できたとのことで、次年度に向けて手応えを感じているそうです。大型の収穫機械の導入や作業方法の見直しをして、次年度は収量増を目指しているとのこと。将来的に保管庫も整備することで長期保管を行い、焼き芋等に自社加工して、生産から販売までの取組や輸出など、夢は膨らみます。

    他方で、高齢化が進む地域からの農作業の受託が増えており、農地集約で区画を拡大するとともに、ドローン等を活用した効率的な作業を行っています。最近は農地集積に協力してくださる方が増えているそうです。現在は水稲の作付けがメインですが、今後はある程度の区画を畑地化して飼料用トウモロコシの作付けにも取り組みたいとのことでした。

    さらに、周辺農家では化学肥料の高騰のなか、環境に優しい農業への関心が強くなっており、堆肥ニーズも高まっています。そこでみどりの食料システム戦略に沿って、自社で生じたもみ殻をくん炭にし、堆肥の製造及び散布までを行う堆肥供給サービスができないかと考えているそうです。堆肥の重要性は理解されているものの、散布の手間や機械導入コストなどを個々の農家が負担するのはなかなか大変です。それらを担うことで効率化を図るとともに、地域への貢献もできると考えている古川代表。地域の農地や農業を守る株式会社アルス古川のチャレンジはまだまだ続きます。

    水田の前での古川代表
    (写真は全て株式会社アルス古川提供)

    さつまいもほ場での古川代表

    「会津盆地におけるみどりの食料システム戦略の先駆けの1人」石田 栄さん(会津坂下町)(2022年12月)

    会津坂下町で、約60ヘクタール栽培する米を中心に、麦20ヘクタール、そば10ヘクタールの栽培に取り組む有限会社しんかい農耕。約90ヘクタールにも及ぶほ場を、石田代表取締役、御夫人、後継者の息子さん等4名で営農にいそしんでいます。

    みどりの食料システム戦略に先立つこと35年、有限会社しんかい農耕では、安心・安全でおいしい米を消費者に食べてもらいたいと考え、減農薬と有機肥料での米栽培に取り組み始めました。化成肥料は一切使用せず、自社から排出されるもみ殻を粉砕して原料とした自家製堆肥が中心です。また、地域に先んじて、種もみの温湯消毒で減農薬に取り組むとともに、色彩選別機の導入で、カメムシの被害を受けた米粒の混入を抑えています。

    取り組み開始当初は、地域では慣行栽培の生産者が大半で、なかなか周囲の理解も得られず、販路も自力で開拓してきました。減農薬、有機肥料等の様々な情報を収集し、試行錯誤の連続だったとのことです。

    長年、安心・安全を第一の価値と考えるとともに、会津の豊かな自然を守ることの大切さを胸において、今でも情報収集に注力するなど、日々励んでいます。

    さらに、地域農業の重要な担い手として、約25年前から5人の仲間と連携し、農業支援サービス事業(みどりファイブ)を始めました。近隣市町村の大豆110haを中心に、麦、ソバ、の刈取り作業等の受託にも積極的に取り組み、会津の畑作農業を支えています。

    このような功績が認められ、平成26年福島県農業賞「農業十傑」で、経営体改善部門(団体)の農林水産大臣賞を受賞されました(写真の左側の賞状)。

    事務所内での石田代表取締役

    「こだわるには理由がある。天栄米栽培研究会」斑目 義雄さん(天栄村)(2022年11月)

    豊かな自然に囲まれる天栄村。「天栄米栽培研究会」では良食味米の生産を目指し手間と時間をかけた栽培に取り組んでいます。

    天栄米栽培研究会は、時代とともに米価も低迷し、危機感を感じた村内の農家が集まり、商品の差別化を図るため「味で勝負」の米を作ろうと2008年に発足したもので、発足当時から斑目さんも活動を始めました。

    発足当時から取り組んでいるのが、「漢方環境農法天栄米」で漢方薬の煎じかすを有機肥料に配合した肥料を元肥として化学肥料、農薬を使用しないこだわりの栽培です。田植え時に紙マルチを使用して雑草抑制はしているものの「やはり雑草との闘い」になり、肥料代も慣行栽培と比較にならないほど高額で、また収量も慣行栽培の6割程度とのことです。

    「こだわり」の美味しさの評価は「米・食味分析鑑定コンクール国際大会(主催:米・食味鑑定士協会)」で最高部門にあたる国際総合部門で10度の金賞を受賞し社会的評価が浸透。ここまでこだわるのは、この米を求めている人がいるからと話される斑目さん。美味しいお米として売れ行きは好調とのことです。

    この美味しい米を広く知ってもらいたいと、販売促進活動にも積極的に参加され、コロナ禍以前は首都圏の高級百貨店等で実施された販売促進活動において天栄米の魅力を直接消費者にPRし、交流も行いました。現状では出向いての活動もままならないなか、先日は福島県主催の「首都圏等消費者交流事業福島県モニターツアー(オンラインツアー)」で画面を通じ天栄米の魅力を発したとのこと。今後も多くの皆さんにPRしたいと話されました。

    奥様と一緒にやさしく天栄米等についてお話くださった斑目さん。天栄米に込めた農業への熱い思いが伝わってきました。

    斑目さん御夫婦

    漢方環境農法天栄米

    「まちなか農業で”新たな農業“に挑戦!!!」今野 拓也さん(福島市)(2022年10月)NEWアイコン

    東日本大震災をきっかけに故郷の福島を元気にしたい。その強い思いを胸に、2015年に妻とともに帰郷し祖父の農業を引き継いで就農した「れぎゅーむれぎゅーむ」の今野 拓也(こんの たくや)さん。しかし農業の経験がない就農当初は、近隣の農家や関係機関の指導を受け試行錯誤の日々が続きましたが、現在では、ハウストマト、露地きゅうり、ズッキーニなどを栽培しており、ハウストマトとズッキーニはJGAP認証を取得しました。

    就農4年目から始めたハウストマトの生産では、ハウス内の環境を制御するシステムを導入して省力化や効率化を図り子育てと農業の両立を実現しています。このような自らの経験を踏まえ、昨年4月から受け入れている農業経験のない子育て中の研修生へは工夫すれば少ない労働力で農業が可能であり、家族との時間を楽しむことができることを指導しています。

    また、今野さんは、消費者との距離が近い「まちなか農業」のメリットを生かし、昨年12月に近隣の商業施設の敷地内に無人販売所を設けました。無人販売所ということで新型コロナウイルス感染症(対策)にも配慮しており、取れたての食べ頃トマトを販売して消費者の好評を得て、ネットニュースにも取り上げられるなど大きな反響がありました。

    最後に、今野さんに今後の抱負を伺ったところ、「市街地に近いところにも見られるようになった耕作放棄地と就農希望者とを結びつけられるよう、法人化を念頭に置いて経営規模の拡大を図り研修生を受け入れたい。また、雇用就農の場も提供するなど、いろいろな形で地域の農業の活性化に貢献していきたい。また、今日の世界情勢や経済の変化は、石油や肥料価格の高騰を招き、福島の一農家も多大な影響を受けることを認識させられた。これを機会に、化石燃料や化学肥料に依存する従来の農業から、再生可能エネルギーなどを活用した環境に負荷をかけない新しいスタイルの農業を目指したい」とおっしゃっていました。

    無人販売所での今野拓也さん ズッキーニを手入れ中の今野さん ハウス内のズッキーニ

    「6次産業化商品の開発、新たなレモン栽培への挑戦」佐藤 真樹さん(福島市)(2022年9月)

    温泉街として有名な福島市飯坂町で、父の果樹園を継ぎ、新規就農して3年目となる佐藤真樹(さとう・まさき)さん。

    就農前は会社員として働いていましたが、父の果樹園を継ぐことはずっと考えており、栽培のノウハウを習得できるのは若いうちとタイミングを見て就農を決意したそうです。

    さとう果樹園では主にもも、りんご及びラフランス、その他にレモンを栽培しています。ももやりんごは口コミによるリピーターが多く、注文のほとんどが電話やFAXで、直接販売に力を入れています。

    佐藤さんが積極的に取り組んでいるのが、規格外の果実を活用した加工品の開発です。旬の蜜入りふじを細切りのドライフルーツに加工した「ほそみのリンゴ」をはじめ、アイス専用のトッピングジャムやりんごジュースを製造しています。商品は県内だけでなく、関東地方にある直売施設でも販売されており、購入者からの評判を得ています。

    それと同時に佐藤さんが力を入れているのが、就農と同時に始めたレモンの栽培で、これまでのハウス栽培に加え、今年からは露地栽培にもチャレンジしているそうです。現在、栽培しているレモンはクラフトコーラの原料となる柑橘系果汁として活用し、販売まで行っています。

    佐藤さんを悩ませるのが、今年5月末から6月初めに発生した雹の被害。特にりんごとラフランスは、耕地面積の6~7割が被害を受けました。これから収穫を迎える作物の販売にどのくらいの影響があるのか不安が募ります。また、鳥獣害も今後の大きな課題で、佐藤さん自身も猟友会に参加し、対策を進めているそうです。

    課題もある中で、佐藤さんは「福島レモンの需要はあるはず。まずはレモンの栽培を成功させ、収量を増やしたい。」と前向きに今後の意気込みを話してくれました。6次産業化商品の開発や福島でのレモン栽培など、挑戦を続ける佐藤さんの今後の活躍に期待が膨らみます。

    栽培中のレモンの幼果を手にする佐藤真樹さん(さとう果樹園) 6次産業化商品の「ほそみのリンゴ」 雹の被害を受けたりんご

    「義父から受け継いだ蜂蜜を守る農業女子」折笠ルミ子さん(郡山市)(2022年8月)

    Oriy’s HONEY(オーリーズハニー)代表の折笠ルミ子(おりかさ・るみこ)さんは郡山市の養蜂農家です。

    折笠さんが就農したのは、先に養蜂農家をしていた義父が引退を口にしたことがきっかけでした。それを知った周囲の方から「この蜂蜜が食べられなくなるのは悲しい」という声があり、「それなら私がやるしかない」と当時の仕事を辞めて養蜂を始めることを決意しました。Oriy’s HONEYの蜂蜜は薬剤を一切使用しておらず、のどを違和感なくスムーズに通過するところが購入者から評判だそうです。

    Oriy’s HONEYの中で人気なのがアカシアの蜂蜜ですが、同じアカシアの蜂蜜でも、地域によって蜂蜜の色に差があります。Oriy’s HONEYのアカシアの蜂蜜は他の地域のアカシアの蜂蜜よりも透明に近い色なのが特長です。

    折笠さんはふくしま農業女子ネットワークのメンバーでもあり、他のメンバーとのコラボ商品を作って販売するなど、精力的に活動されています。

    また、農業女子プロジェクトジャパンの「アグリバトンプロジェクト」の広報担当をされており、このアグリバトンプロジェクトが絵本「おいしいまほうのたび あさごはんのたね」を制作しました。この絵本は子どもたちに農業の魅力や楽しさを伝えるもので、第二弾では畜産をテーマにした絵本を制作しているとのことです。

    今後挑戦したいことをお聞きすると、「この地域だけではないと思うが、耕作放棄地が増えていることが課題だと思う。今後は耕作放棄地の活用に取り組んでいきたい」とお話しいただきました。

    Oriy’s HONEY代表の折笠ルミ子さん
    (背景は巣箱と蜜源の植物)
    Oriy’s HONEYの蜂蜜 蜜蜂が集まる巣箱

    「都会生活から一転!真っ赤な南郷トマトへ情熱をかける」日高弘貴・美和夫妻(南会津町)(2022年7月)

    GI登録されている南郷トマト生産の新規就農者として、独立4年目の夏を、南会津町南郷地区で迎えた日高弘貴(ひだか・ひろき)・美和(みわ)御夫妻。

    南郷地区への移住前は、千葉県在住で、平日は片道1時間かけて通勤し、冬の毎週末は、南郷スキー場などで、スノーボードに情熱を注いでいらっしゃいました。

    弘貴さんが、40代半ばを迎え、夫婦協働で何かできる仕事はないかと思っていたところ、スキー場で知り合った、複数の南郷トマトの新規就農者の方から誘いを受けました。

    トマト栽培にやりがいを感じた日高夫妻は、南会津町の南郷地区に移住し、1年間、地元のベテラン農家から南郷トマトの栽培技術を手取り足取り教えていただきました。この方は、南郷の「親代わり」で、日高夫妻は、「親方」と慕って、今も頼りにしているとのことです。

    2年目からは、親方のほ場近くに、1棟当たり2.5アールのハウスを複数棟建て、独立。今は、ハウスを11棟(27.5アール)まで増やし、親方や福島県の普及所の教えを忠実に守り、生産も順調です。4月~11月上旬までは、休みなしで、最盛期の真夏は朝5時から午後までぶっ通しで収穫作業とのことです。忙しい夏の管理作業をしっかりと乗り切ると、秋には結果がついてくるので、根気と根性でがんばる日々と笑顔でおっしゃっていました。

    冬の間は、体をしっかりと休めつつ、栽培記録の整理をしながら栽培管理や経営の勉強など、次年度の経営に向けて時間を有意義に使っておられるとのこと。収入保険にも加入され、奥様が郡山まで、片道3時間かけて、税務の勉強に出向かれ、自身で申告するなど大変勉強熱心な御夫妻。

    栽培で困ったことがある時は、近くの先輩農家のほ場に駆け込めば、皆さん親切に教えてくれるので、移住者も自然に地域に溶け込むことができるとのことです。農業を通じて“よそもの”を受け入れる風土が、多くの新規就農者の定着につながっているようです。

    新規就農者へのアドバイスを伺うと、「あきらめないことが一番!」と、くじけずに5年間頑張った経験を踏まえた回答をいただきました。

    今後の経営は、規模を拡大するか、現在の栽培面積を維持し、単収をあげていくか検討中とのことです。スノーボードで培った粘り強さで、今後、南郷トマト生産を牽引していかれることが期待されます。

    トマトを植え終えたほ場での日高夫妻 日高さんのトマトのハウス 花が咲き始めたトマト苗

    「移住、そして桃作りへの挑戦」小山 尚文さん(桑折町)(2022年6月)

    福島盆地の北部、「献上桃の郷」として知られる桑折町に移住し桃や柿の生産に取り組んでいる小山尚文(こやま・なおふみ)さんは東京生まれの東京育ち。

    都心で行政書士事務所を開業してデスクワークの日々を過ごし、週末などは福島県内の知り合いの果樹園で農作業を手伝っていました。同世代の若者や地元農家がプロ意識をもって真剣に農業に取り組む姿に憧れ、自分も農業をやってみたいという気持ちが膨らみ、2017年に福島県農業総合センター果樹研究所で1年間果樹の剪定から収穫までを学びました。

    その後、桑折町に移住して1ヘクタールの荒廃農地を借り受け、自力で農地を整備、桃の苗木約130本を植え営農に大きく踏み出しました。今では、地元の農家から樹園地を任されるようになり、2ヘクタールの農地で桃や平核無柿を栽培して道の駅などで販売し、大変好評を得ています。

    小山さんは、新規就農にあたり住宅や農地の確保、栽培技術の習得に苦労しましたが、桑折町やJA、先輩や同世代の農家など地元の方々の温かいサポートを受けてここまで来ることができました。桃の栽培を本格的な軌道に乗せるにはもう少し時間がかかりますが、「桃の樹一本一本に愛情を注ぎ、おいしい桃を生産して、消費者のみなさんから『おいしい』と言ってもらえることが励みになる」と話されました。

    最後に、移住して新規就農を考えている方へのアドバイスをお願いしたところ、「移住したい市町村の農業担当部署へ相談することが第一歩。移住先では、地域の行事や活動への参加、若手農業者との交流など、地域に溶け込むことが大事」と、ご自身の経験を踏まえお話をしてくださいました。

    小山 尚文さん 桃の樹の手入れ 昨年生産した桃
    小山 尚文さん 桃の樹の手入れをしています 昨年生産した桃
    (画像提供:小山果樹園)

    「有機農業で循環型農業に取り組む」船田 崇さん(喜多方市)(2022年5月)

    福島県喜多方市は、ニッコウキスゲなどの高山植物が有名な雄国沼や飯豊山など雄大な自然があるその麓に位置し、県内でも有機農業が盛んな地域で、複数の生産者グループが有機農業に取り組んでいます。

    喜多方市の船田崇さんは、お義父様が体調を崩したことが契機となり、有機農業の後継者になるため会社を辞めて2年前に就農しました。船田さんの義父の渡部好啓さんは「喜多方ゆうきの和の会」の初代会長でもあり、50年の農業経験を持ち、25年以上、有機農法でコメや野菜を作っています。

    船田さん自身は農家出身ではなく、見よう見まねで農作業を行い、どうしてもわからないことはお義父様に聞いて、水稲や畜産、野菜栽培に取り組んでいます。

    就農前の有機農業のイメージは、「(有機農産物に対する)ニーズもなく、売っている場所も少ない地方なので、(有機農業そのものが)認知されていない。売場面積や販売量が増えて目立つようになれば(認知度が上がるのに)」と思っていたとのこと。

    「就農して有機農業に取り組んでみたが、栽培してみて全然とれなかったものもあるし、何をどれだけ作ったらどのくらい売れるかも全然わからなかった。不安のほうが大きかったが、とにかく、目の前にある野菜をひたすら作って販売してきて、少しずつやっていけるかなと思えるようになった。」とこれまでのことを話してくれました。

    新型コロナウイルス感染症拡大の影響でイベントを開くことができず、直接消費者の声を聞く機会を作れていないが、今後、インターネットによる販売を通じて、お客様との会話でニーズを徐々に把握していきたいとのこと。

    有機農業のよいところは、「稲を作り、藁で牛を育て、その糞尿を堆肥化して稲の肥料にし、また、稲を育てるといった循環型農業が成り立つところ。今後は、2年間経験した中で、収量・収益性の上がった品目を増やしていくこと。それと現在8頭の繁殖牛がいるが、畜舎を増築して牛を増やしていきたい。」と、今後の意気込みを話してくれました。

    新規就農者の船田 崇さん

    お問合せ先

    福島県拠点地方参事官室

    代表:024-534-4141
    ダイヤルイン:024-534-4142