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北海道農政事務所

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「女性活躍推進セミナー~農業の未来を共に考える~」の開催

質疑応答・まとめ

Q: 皆さん比較的家族の理解を得られていると思うのですが、家族の理解を得るにはどうしたらいいでしょうか。飲み会で行われているような情報交換を日中に行うにはどうしたらいいでしょうか?。

 
椿

   答えになるかは分かりませんが、女性部の役員会に出てみると、枝葉の話が多く、会議がすごい長くなります。 私は逆に、部会の会議のように決めなければいけないことを淡々と進めて、男性たちは会議後に飲みに行きますが、同じような形で会議をした方がいいのにとその女性部での会議の時は思っていました。会議後に飲み会へ参加することは、子供がいる女性であれば難しいとは思いますので、会議の時間は長くなりますが、枝葉の部分まで詰めて行う方法と、会議では決めなければならないことを淡々と進めて、枝葉の部分は飲み会で詰めていく方法の2つに分かれるのかなという感じがしました。
 
   先ほど、「理事会の議案ではないものは出すな」と言われることを申し上げました。そのため、例えば経験の浅い人で、事前に申し出たうえで理事会後に居残り時間を設けてもらい、今日の会議で分からなかったことを教えてもらうとか、ディスカッションの足りない部分や、議案ではないけど必要だと思われる部分に関して提案できたらいいのではないかと思っています。それは、議事録が残らないし出席義務はないけれども、必要だと思う人には出席してもらい、職員にもできればついてもらい話をすることは大事だと思います。飲み会については、余市町は公共交通機関があまりなく、飲んだら帰れなくなるので、みんな飲まないで帰ることが多く、飲み会自体も少ないです。そのため、違う形でコミュニケーションの機会をこちらから提案させてもらい今はそれで補っています。また、理事会後の時間をちょっと使わせてもらうことはありなのではないかと思います。きっと困っているのは1人じゃないと思うので、今苦しい思いをしてしまうと次にやりたい人が出てこなくなり、若い女性で子供がいたら役職はできないものだと思われてしまうので、後の人に道をつけるためにも、最初は嫌がられるかもしれないけれども、そこはうまくやってほしいなと思います。私の場合は、あまり例がないと思うのですが、今、子供が1歳になったばかりで保育園に入れず、子供を理事会の机の下を這い回らせて、なんとか会議にはずっと出ています。理事会の承認を得て子連れで参加しているので、そこは周りの理解のあるいい農協だと思っていますが、そうやって足跡をつけてしまえば、後の人は歩きやすいと思いますので、最初に雪道に足を踏み入れて先陣を切ってほしいと思います。

Q:農協は地域と一体のところがあると思います。 最初にあった土壌づくりという観点から、4人の方の地域性はどのようなものでしょうか。 また、JAむかわの椿理事が(理事を)やってみたい気持ちが勝ったとおっしゃっていましたが、皆さんの中に嫌々だった(なってみて変わった)という方はいらっしゃいますでしょうか。もしいれば、その理由もお願いします。

 
丹羽
   
   私は、必ず跡継ぎだと言われて育ちましたので、嫌々田んぼに行っていました。何十町も作っていて、それが転作でメロンやスイカに変わり、今は軽いレタスを作っています。本当に嫌でしたが、自分が経営してみたらガラッと印象が変わり、こんなに面白いものかと分かりましたので、是非皆さんにも経営していただきたいと思います。
 
小内
   理事になられたのは、嫌々じゃないですよね?
 
丹羽
   まさか理事の話しが来るとは思っていませんでした。 地区の農協女性部では篠路支部で副部長をずっと担っていました。まさか自分に理事が回ってくると思っていなかったので、回ってきた段階では、どこかで(私のことを)見てくださっている人がいるんだなと思いました。私は、夏は朝早くから働きますし夕方も働きます。昼間は暑いので、自分の趣味をして過ごしており、機織りや染め、陶芸、お茶などいろいろなやりたいことを何でも手を付けて趣味の世界に入っていました。 ただ、突然、理事の話があったので、私にもそういうところを見てくれている方がいたんだなと思って嬉しく引き受けました。
 
小内

   農事組合の組合長をされていますよね?
経営者だったから務められているのだと思うのですが、地域に女性に対する偏見やそのような雰囲気はなかったのですか?
 
丹羽
   農事組合の組合長をしなきゃいけない時期に父が亡くなったので、他の方に農事組合長を代わりに務めていただいたこともあり、農事組合長に2年在任したあと、もう一期やらせていただけますかと伝え、合計4年引き受けることになりました。 上の方に相談しましたら、「いいよいいよ。やって。」と言ってくださる方たちが多く、とにかく勉強したいとの思いから嬉しく引き受けました。
 
小内
   女性だからダメという感じはなかったのですか?
 
丹羽
   ありませんでした。
 
椿
   地域性というところでは、鵡川は元々水稲が多い地域で、両親は減反政策の時に施設のトマト農家になりました。今もお米を作っている農家さんもいますし、農協がトマトの共選場を作り、トマトを農協として推奨していた時もありました。いろいろな野菜を作っている地域で、今はブロッコリーが非常に多くなっています。 ただ、元々水田だった地域なので、今はやっぱり水活(水田活用の直接支払交付金)の見直し問題とかも結構影響しています。
 
小内
   女性は、役職を振られても「私なんか・・・」と力が十分あるのに遠慮してしまうことがあると思うのですが、理事をやってやろうとなったのは、どのようなお気持ちからでしたか?
 
椿
   私はどちらかというと興味の方が勝る方なので、チャンスをいただいたのであればやりたいという気持ちで受けました。それは自身のためになるというか、自分自身の向上のためという部分もありました。
 
   私も椿さんと同じ考えで、私に話を向けてくれたのならやってみますというタイプなので引き受けました。JAよいちでは数十年前に女性理事が1人いたことがあるらしいのですが、それだけ期間が空いていた中で理事就任の話をもらったということはすごく大きなことだと思っていて、前々任の組合長さんの思いというのももちろんあったと思いますし、推薦会議でベテランのおじさんたちが私を選んでくれたことはすごくありがたいことだなと思い、あまり迷うことなく引き受けました。
 
小内
   余市町は新規就農者が非常に多い地域だと思いますが、新規就農であることで周囲の農家さんに何か言われたなどはありましたか。また、新規就農者でもどんどん理事になってよい雰囲気があっても、女性が何十年ぶりに理事就任ということはすごいことであり、農業を始めた2012年当時はとても珍しいことだったと思いますが、地域の中で浮くということはなかったのでしょうか。
 
   私が住んでいる登(のぼり)地区は温かい雰囲気があり、周りの人たちも遠くから心配そうに見ていて、口出ししたいけど見守ってくれるような方たちが多いところです。聞きに行けば喜んで教えてくれるし、あまり攻撃的なことは言わないような、おおらかさを持っている地区なので、そういう地域柄が1つなのかもしれないです。また、新規就農者の割合が他地区に比べて少し多いということもあると思いますし、余市町はワインで盛り上がっているのですが、新規就農したワイン農家には農協と絡んでほしかったと後から言われました。ワイン農家には農協と関わってほしいけれども、新規就農者はほとんどワインをやりたがるというところの農協としては辛い立場を橋渡しできるような役割を期待されていたと思います。
   また、農業研修でワイナリーにいると、山梨県などの瓶製造会社の人が名刺を持ってセールスにくることがありますが、農協の人は来たことがありません。それで、「こういうものなら農協から出せますというリストを作ってください」と言って、ワインをやっていても資材などはできるだけ農協から買ってもらえるようにするとか、「取り扱い品目をもうちょっと変えてくれ」とか、現場の人たちの意見も聞きながら、例えば時間をかけて山梨県から送ってもらうところを、農協に行ったらすぐ手に入るようにしたら、それは地域の人にとってもメリットになりますので、そういった橋渡し役をできたらいいかなと思っています。
 
佐藤
   とまこまい広域は範囲がとても広いので、地域性と言っても、酪農、田んぼ、畑、ハウスなどいろいろなものを作っていて、私はその中でほぼ田んぼがメインです。ハウスものでほうれん草も栽培していましたが、胆振東部地震の被災状況がとてもひどく、その影響もありまだほうれん草を作っていける状況に復興していないので、そこはやっていきたいなと思っています。その中で、農協の方で私に声をかけてくれるのであれば、やらなくちゃいけないのかなという感じで引き受けました。参与をやってみて自分の田んぼ以外のことも勉強になりましたし、次に誰かへ交代するにしても、 やっぱり自分の経験していないことを人に勧めることを私はできないので、「自分で経験してこれだけのことができたのだから、あなたもこういう風にやればできますよ」というふうに次の人に繋げられると思います。私は、自分の役割を次の人にバトンタッチするための人ではなくバトンだと思っているので、やっぱりやってみないことには何事も分からないかなと思い、引き受けました。
 
小内
   ありがとうございます。1つの教訓としたら、振られたら断らないということですね。 私も質問者の方と同じく「きたひとネット」の会員で、私は賛助会員ですが、そこの合言葉に「私でよろしければ」というものがあります。何か役職を振られた時に私でよければ引き受けましょうという考え方です。皆さんの場合、振られた時には私でよろしければということで引き受けてくださっているということが、地域の第1歩、2歩を進める結果になったのかなと思います。

Q:皆さんから次に繋げるためにこうしているという話が多かったですが、逆に地域の方からこうしてもらえるといいなというものがあったら教えてください。

 
   結婚してから寄り合いに出る機会が減ってしまったので、地域の実情を聞かせてもらう機会がもう少しあったらいいなと思っています。国会議員は、一生懸命自分の地元の声を聞いて歩きますが、(本来なら農協の役員もそうした方がいいと思う一方で)私も行きたいのは山々ですが、他の農家さんも忙しそうだし、私も忙しい。1件1件訪ねるのには迷いがあるので、夕方の少し手を休めるような時間に地域の人たちが抱えている課題を挙げてもらい、それを理事会にかけられるような機会があると嬉しいなと思っています。また、子供の送り迎えを友達と共同でやっていて、例えば11月は頼むから12月はうちでやりますというようにやっています。ちょっと今日は理事会が長引きそうだから今日はお願いしますというようなことが今すごく綿密にできているから、子供がいても理事職をやっていけている部分はあります。お互い子供がいるからできている関係なのですが、そういう支え合いの仕組みがほんの1つあると、例えば会議を抜けなきゃいけないかもしれないというプレッシャーもないですし、お互いのプラスになるので、そういうところで協力できる人が地域の中にいたら、すごく力強いなと思います。

Q:JAの主要3目標のうち、今回、組合員と役員についてお話が出ていましたが、総代については話が出ていなかったように思います。4人の方の農協で 総代に女性枠や女性部枠を設けるといった話はありますでしょうか。

 
丹羽
   JAさっぽろ篠路支店の場合、正組合員数が463名、うち女性が193名、総代定数が89名、うち女性総代数が19名で女性総代数は目標に達しております。
 
小内
   総代の女性枠は作っているのですか?
 
丹羽
   作っています。21.3%が女性総代数の割合です。
 
   JAよいちには総代制度はありません。組合員数は300人ぐらいで少ないです。
 
椿
   総代制度はありません。
 
佐藤
   JAとまこまい広域は合併農協なので、総代制度がありまして、女性部から女性部枠で6名。総数は240名。女性部枠はありますけど、各地域から女性総代が上がってきているところもあります。
 
小内
   枠を超え、性別関係なく上がってきているのですね。
 
坂本
   お話の中でも、私が最初にデータとしてお見せした、多様性のあるところが生き残っていくことが皆さんのお話の中でもやはり出ていたなと思いました。理事会でいろんな視点で話し合うことで、農協という組織が地域で残っていくための皆さんの役割が、皆さんあまり意識されてなかったかもしれませんが、いっぱい出てきたのではないかと思います。この話を聞いて、市町村や農協の方々には、地域として生き残る、組織として生き残るためにはこういう多様な視点が必要だというところを理解していただき、正組合員とか総代の話、採用制度、女性枠や女性部を活用したやり方など、それぞれで活用できる方法があると思いますので、是非今日の話をご参考にしていただいて、取組を一歩でも始めていただければと思います。

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