酒蔵が求める酒米づくりを実践しています!
兵庫県加東市の株式会社田尻農園を訪問し、代表取締役社長 田尻倫生氏と有機栽培等の取組状況や農園における栽培の省力化などについて意見交換を行いました。

意見交換の様子
水稲は、酒造好適米の最高峰と名高い山田錦15ha、愛山2.0ha、コシヒカリを1.0ha栽培しています。
また、いちごを5棟のハウスで栽培し、道の駅やゴルフ場、直売所等で販売しています。
今回は、特に有機栽培等による酒米づくりへの想いを語っていただきました。

酒蔵が求める酒米づくり
有機栽培、特別栽培、除草剤不使用の特別栽培を作り分けており(4.8ha)、有機栽培は、特別栽培の延長として取り組んできました。
もともとこの地域では、山忠本家酒造株式会社(愛知県、銘柄は「義侠」)からの要望で30年前から山田錦共生会が除草剤不使用の特別栽培を行っていましたが、近年特別栽培の生産者が減っているのが現状です。
また、山忠本家酒造から宮城県の醸造会社を紹介され、3年前から山田錦を有機で栽培しています。
画像は、田尻社長と専用田で栽培された酒米で作られた自慢の日本酒

酒米ほ場の除草風景
生産者と実需者との相互理解のため、酒蔵、酒販店、飲食店を招き、みんなで酒米の圃場の除草作業を行い、慣行栽培と特別栽培の違いを体験してもらっています。
また、冬には酒蔵を訪問し、田尻氏自身が酒造りの作業を手伝うなど、お互いを理解し合うことで、より良い酒米、酒造りを目指しています。
将来的には酒蔵との業務提携締結も視野に酒米栽培に励んでいます。

栽培の省力化
湛水直播を8haで実施。うまく発芽するか、雑草をうまく抑えられるかが課題ですが、水の便や水持ちが良いほ場であれば生育するので経費削減となります。
また、苗の取りつぎ作業などがないため、一人での作業が可能で、時間効率や省力化にも適しています。
画像左:酒造り作業中の田尻氏
画像右:「義侠 田尻農園」農家の名前が銘柄となった日本酒

今後の展望
農業経営全体としては、品目の選択、生産工程の見直し、機械投資により省力化を図り、経営面積を拡大していく考えです。
水稲は、暑さに負けず、米にたん白が残らないような肥料設計や微生物資材などを使い、収量10%アップを目指します。また、需要があれば特別栽培をもっと増やしていきたいと考えています。
将来的には、更なる省力化を進めて、いちごを高設栽培にして株数を増やしたり、排水性の良い田んぼで、麦や業務用玉ねぎの栽培にも挑戦したいと考えています。
お問合せ先
近畿農政局兵庫県拠点
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