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近畿農政局

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上仰木の棚田を次世代に

  滋賀県大津市|仰木自然文化庭園構想八王寺組

滋賀県拠点は大津市西部にある上仰木の棚田を訪れ、仰木自然文化庭園構想八王寺組(以下「八王寺組」という。)の会長で、上仰木棚田振興協議会の会長も兼ねる上坂雅彦さんと意見交換を行いました。


上仰木の棚田

田植えが終わったばかり

 

歴史ある上仰木の棚田

1200年前から延暦寺の荘園としてはじまった上仰木の棚田は比叡山山麓に位置し、その姿を維持してきました。
八王寺組は、その歴史と美しい景観を残したいとの想いで、平成19年に地元の農業組合長OBらが集まって立ち上げた団体です。
令和3年には上仰木の棚田は県内初の指定棚田地域(※1)に認定され、令和4年には「つなぐ棚田遺産」(※2)に認定されています。


  棚田から見上げると、奥には比叡山の山麓が

 
上仰木地区の西端から琵琶湖を望む景観は圧巻です。
10年ほど前に当時の棚田学会会長より、「全国にある多くの棚田は山間にあるが、棚田から街、湖、対岸の山系まで望める上仰木の棚田は非常に珍しく美しい」と称えられ、八王寺組はさらに保全に力が入ったそうです。


  棚田から見下ろすと、雄琴温泉、琵琶湖大橋、琵琶湖の向こうには鈴鹿山脈が

棚田を保全し、次世代へと継承

八王寺組では棚田ボランティアや、棚田オーナー制度を取り入れているほか、地元の大学生や高校生に学習田を提供し、交流人口を増やし保全に繋げています。 上仰木地区は、大津市の中心部から車で20分程度とアクセスも良く、ボランティアやオーナーは、リピーターはもちろん年々入会者が増加し、対応が追いつかない状況です。
これらの活動が評価され、八王寺組は令和3年度には、近畿農政局の第5回「ディスカバー農山漁村の宝」(※3)に選定されました。

   
      棚田オーナーによる田植え(写真提供:八王寺組)

オーナー制度の充実コースでは、しろかき、元肥施用、田植え、除草、追肥施用、稲刈りなど一連の作業を全て学べることができ、次世代の担い手となって就農してくれる後継者が期待されています。

   

棚田米を原料にした純米酒(写真提供:八王寺組)

八王寺組の棚田で生産される「コシヒカリ」は、滋賀県が認証する「環境こだわり米」です。
また、数年前からは、生産された「日本晴」を原料に地元の酒造会社で純米酒にしてもらい、ふるさと納税返礼品のほか予約販売により、毎年好評完売となっています。

   

稲架掛けによる天日干し(写真提供:八王寺組)

上仰木地区では今年、コロナ禍から4年ぶりに春祭りが行われ、地区の棚田で収穫した餅米やお米で作った草餅と鯖鮨が振る舞われました。
稲架掛け(はざかけ)で天日干しされたお米は格別の美味しさだそうです。
八王寺組は、「上仰木棚田米」としてブランド化し販売することで、次世代に繋げれば、と考えておられます。
 

   

上坂会長と棚田地域振興コンシェルジュ(※4)の地方参事官

「美しい棚田で美味しいお米を生産し続け、いつまでもこのすばらしい景観が継承されるよう、これからも色々な試みで守っていきたい」と熱くお話されました。

 ※1:指定棚田地域:多面的機能を有しながら荒廃の危機に直面する棚田について棚田地域振興法に基づき支援する地域
 ※2:つなぐ棚田遺産:https://www.maff.go.jp/j/nousin/tanada/tanadasen.html 
 ※3:近畿農政局ディスカバー農山漁村の宝:https://www.maff.go.jp/kinki/keikaku/nousonshinkou/kasseika/dis2.html 
 ※4:棚田コンシェルジュ:棚田地域の振興の取り組みを行うにあたり相談できる国の窓口