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近畿農政局

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生産から出会いと広がりを

  滋賀県大津市|ひら自然菜園

大津市北部の比良山と琵琶湖に挟まれた自然豊かな地域で、化学肥料や化学農薬を使わずに50種類以上の野菜を栽培する「ひら自然菜園」を訪問し、代表の加地玄太さんにお話しを伺いました。

ひら自然菜園
比良山のふもとにある「ひら自然菜園」


    加地さん

代表の加地玄太さん。訪問した日は、人参の作付け準備中でした。


農業で繋がる社会を目指して

加地さんは、もともと農業を通じて人と人が繋がる社会に興味があり、大学院では農村計画を研究。東京で農業土木関係の仕事に就職しましたが、シェアファームで夢を実現させたいと滋賀にUターンし、東近江で有機農法を3年間学んだのち、地元の大津市で2019年に独立就農されました。


マルシェ   シェアファーム
HOURAIマルシェとHOURAIシェアファーム(写真:「蓬莱の家」提供)


2020年からは、高校の先輩が管理者を務める就労支援B型事業所「蓬莱の家」と共同で、念願の貸農園「HOURAI シェアファーム」を開設したほか、月に一度「HOURAI マルシェ」も開催。

「コロナ禍で地域に開かれた福祉事業を行いたい」と願っていた「蓬莱の家」と「地域の人に身近な家庭を菜園で自然や野菜の生態を知ってもらう機会をつくりたい」との加地さんの思いが一致して始まったシェアファーム。「蓬莱の家」の施設利用者が農作業に出たり野菜の一次加工にも携われるような農福連携に力を入れていきたい思いがあるそうです。
また、たくさんの出店が並ぶマルシェでは、加地さんが生産した野菜のほか、「蓬莱の家」の施設利用者が制作した作品を店頭で販売し、地域の人たちとの交流が生まれています。


    野菜

ひら自然菜園の野菜(写真:「ひら自然菜園」提供)



「マルシェをきっかけに、多くの繋がりがありました」と語る加地さん。
マルシェを訪れるお客さんの要望で、野菜の詰め合わせの定期便が始まったり、地域のレストランへの販路が拡がったり、顧客であった地元の大学生は、今ではマルシェの運営の協力者になったそうです。

 

生産者のつくるを大切に

マルシェの出店者との出会いで始まった新たな取組もあります。





    νボトムお弁当

出張マルシェで販売の湖魚と地元野菜を使ったお弁当。
素材の味が生きています!


出店者であった漁師さんや料理研究家の方と共同でプロジェクトを立ち上げ、この春、大津京にレストランをオープン。
規格外の地元の農産物や、骨が多くて加工しにくいなどの理由で流通しない琵琶湖の湖魚を活用したメニューを提供しています。

既存の流通形態に捉われることなく、生産者が「つくるを大切にできる」価値を創造し、未来に向けて、消費者にその価値を提供することを目的としたプロジェクトとして、地域の生産者も巻き込んで発展させたいと考えておられます。


また、今年からは農林水産省の事業(※)を活用し、地域の農業者が規格外の農産物の一次加工や、地域の新規就農者の物流拠点にも活用できるような施設を整備中です。
※農山漁村発イノベーション推進・整備事業(農林水産省)



    加地さんとシェアファーム

シェアファームでトレーナーをする加地さん
(写真:「蓬莱の家」提供)


農業の「生産」以上の可能性で、地域社会を活性化

シェアファームでは、はじめての方にも加地さんがトレーナーとして有機的な栽培方法から農機具のレンタルまでを後押しします。
県内市街地や、隣県の京都からの利用者が訪れ、ファームでの体験後にこの地域で農地を借りて新規就農された方もおられるとのことです。

「農業を始めてみたいという思いがあっても、新規就農のハードルが高い場合もあるので、シェアファームがきっかけのひとつになって、地域の就農人口を増加させ新しいまちづくりに繋がれば」との思いがあるそうです。

    意見交換

滋賀県拠点と加地さんとの意見交換


最近は、食材を提供する地域のホテルから出る卵殻を堆肥として利用する栽培を試行しており、今後は地域の家庭から出る生ごみや木くずを集めて堆肥化し、培養土として活用する取組も構想中とのこと。

「農業はいろいろな人や地域と繋がる可能性のある仕事。たくさんの人に、農業を身近なものと感じてもらえるような、地域のコミュニティを作っていけたら」と話されており、これからの益々の活躍が期待されます。

     

お問合せ先

滋賀県拠点 地方参事官室
TEL:077-522-4261