食品残渣を堆肥化しフルーツを生産
滋賀県甲賀市|みなくちテクノスファーム
地域の食品残渣を回収して堆肥化し、それを活用した農業を行う甲賀市の「みなくちテクノスファーム」を訪問し、資源循環型社会を目指した取組について意見交換を行いました。

みなくちテクノスファームの「鹿深いちご園」
生ごみから堆肥、そして農業へ
「みなくちテクノスファーム」は、甲賀市水口町で廃棄物収集運搬業やリサイクル業を営む「株式会社水口テクノス」の農業部門として運営されている農園です。
同社は、平成14年から甲賀市とともに、家庭から生ごみを分別回収して堆肥化し、高熟成堆肥として家庭に無償で還元する「生ごみ循環エコロジーシステム」を構築しています。
農園は、循環型社会実現の一環で、本業で回収した食品残渣由来の堆肥を自社で活用する試みとして、平成22年に設立されました。
現在農園では、地域のスーパーマーケットやホテルから回収した食品残渣由来の堆肥を活用し、いちご、メロン、なし等を生産しています。
平成23年には、国の六次産業化・地産地消法の「総合化事業計画」の認定を受け、加工品やジェラート等を開発。 農園に併設した直売所で、「鹿深いちご」「鹿深メロン」「鹿深なし」といった農園産果実のほか、規格外のいちごをジャムやいちご酢にした加工品のほか、地域の農産物等も販売しています。
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堆肥を施肥作業中のいちご棚
いちごは水口町鹿深地区でハウス栽培されており、「鹿深いちご園」として春から初夏にかけていちご狩りで賑わっています。
意見交換に訪れた8月上旬は、来期のいちご生産に向けて土づくりの真っ最中。高設いちご棚の土に、元肥として食品残渣由来の堆肥が丁寧に施されていました。

収穫時期を迎えたなし「香麗(こうれい)」を手にする農園担当の神谷さん
農業経験のなかった株式会社水口テクノスでは、手探りの状態で栽培を開始。
いちご、メロンの時期の後に続くものとして、一昨年からはなしを、今年からはイチジクの栽培を新たに始めました。
なしは毎年少しずつ苗木を増やし、少しでも長い期間お客様に提供できるよう出荷時期が異なる複数の品種を栽培しており、今年は7品種で、8月上旬~11月上旬の出荷を予定しています。

自社農園で大切に育てた果物を使用したジェラート(みなくちテクノスファーム提供)
環境負荷低減を実現しながら地域を活性化
メロンやなしは贈答用として、最盛期には地元企業や地域の方からの予約で埋まっているほか、直売所では農園の果実を使ったジェラートなどのスイーツも人気で年中来客があり、いちご狩りの時期にはインバウンド需要もあるそうです。
堆肥を活用した生産は、こだわりの栽培として消費者の方にも親しまれやすく、また昨今の肥料価格高騰の影響を受けることもなく生産コストの抑制にも繋がっています。

農園を案内しながら説明をいただきました
そのほか、地域のスーパーマーケットから搬入された食品残渣を堆肥化したものは、スーパーマーケットの契約農家に還元し、店頭では「循環エコ野菜」として販売されています。
コスト低減と環境負荷低減を実現した持続可能な循環型食料生産システムとして注目され、地域に大きく貢献されています。
お問合せ先
滋賀県拠点 地方参事官室TEL:077-522-4261