地理的表示(GI)登録で知名度向上
滋賀県甲賀市|水口(みなくち)かんぴょう生産者
滋賀県甲賀市水口町で、水口かんぴょうを栽培しているJAこうかの職員でもある藤村啓伍さんと古民家カフェ店主の長(おさ)隆義さんの2人と意見交換を行い、栽培ほ場と加工の様子を見学しました。甲賀市水口町を生産地とする「水口かんぴょう」は、令和6年3月27日に農林水産省の地理的表示(GI)として登録されました。
![]() 栽培ほ場の様子 |
水口かんぴょうは、ウリ科のユウガオの実を加工し作られます。 藤村さんが栽培されているユウガオのほ場を見学しました。4、5年前に古くから続く伝統の継承と小学校での食育活動を目的に作り始めたのがきっかけとのこと。1株に3~5個実り、果実の大きさは、1個当たり 8~10kgで、1個のユウガオの実から約 100~150g のかんぴょうになるそうです。 |
![]() ユウガオの花 |
|
収穫の様子 栽培期間は、4月上旬から8月上旬の約4か月間で、花が夕方に咲き、受粉後20 日ほどで剝き頃を迎えます。水はけの良いほ場が適しており、ユウガオの実の安定した栽培ができるよう人工授粉と摘心を行っています。 収穫頃合いの実を収穫していただきました。 |
![]() ユウガオの実(JAこうか画像提供) |
![]() 収穫の様子(JAこうか画像提供) |
|
![]() ユウガオの実を削る様子 |
加工場の見学 収穫した実は、長さんの加工場で、自ら製作した実を薄く削る機械で、加工してもらいました。 |
![]() 細長く削られた実 |
|
意見交換の様子 水口かんぴょうの地理的表示(GI) 登録により、地名度が上がり、関心をもたれる方が増え、需要も増加したそうです。 JA こうかでは目合わせ会や勉強会なども開催され、品質向上に努めておられます。 一方で、登録により、生産方法の遵守が必要となっています。収穫は朝早くに行い、すぐに実を細長く削り、雨に当たらぬよう注意しながら天日干しをします。品質が一定になるよう管理に注力しているそうです。 |
![]() かんぴょうの天日干しの様子(JAこうか画像提供) |
![]() 意見交換の様子 |
|
![]() なかご(中子)の煮物 |
水口かんぴょうの特徴や魅力 かんぴょうは繊維質がとても多く、ゴボウと比べてもかなり多く含まれていますが、柔らかくなめらかな食感です。栄養素として、カルシウムやカリウム等も含まれています。ユウガオの実は、皮と種以外は食べられます。 加工用に実をむいた残りの芯の部分も、種を取り除き食べることができます。地元では、なかご(中子)と呼び、煮物などに調理されます。新鮮でないと食べられないため、地元の住民しか食べられない珍品です。 |
![]() 藤村さん(左側)と長さん |
|
今後の課題や目標 大津市の料亭など固定客もあり、需要はありますが、供給量が少ない状況です。 |
![]() 古民家カフェの前で藤村さん(左側)と長さん |
![]() 水口かんぴょう(JAこうか画像提供) |
地理的表示(GI)保護制度は、その地域ならではの自然的、人文的、社会的な要因の中で育まれてきた品質、社会的評価等の特性を有する産品の名称を、地域の知的財産として保護する制度です。
滋賀県内では、5産品が登録されています。(令和6年3月27日現在)
◎ JAこうかHP
https://ja-kouka.shinobi.or.jp/
◎「水口かんぴょう」がGI登録されました(甲賀市HP)
https://www.city.koka.lg.jp/23481.htm
◎「水口かんぴょう」が「GI認定」を取得!(滋賀県HP)
https://www.pref.shiga.lg.jp/kensei/koho/e-shinbun/oshirase/337122.html
◎地理的表示(GI)・知的財産について(近畿農政局HP)
https://www.maff.go.jp/kinki/keiei/tiiki_syokuhin/gi/221220_16.html
お問合せ先
滋賀県拠点 地方参事官室TEL:077-522-4261