「農工ひとつ」菓子作りの原点は農業から
滋賀県大津市|叶 匠壽庵グループ 有限会社 芝田果径
滋賀県大津市に本社を構える和菓子屋 株式会社 叶 匠寿庵 (かのうしょうじゅあん) (以下「叶 匠壽庵」という。) は、和菓子づくりは素材づくりという思いから、「農工ひとつ」を掲げ、昭和60年、大津市大石龍門の自然豊かな丘陵地63,000坪を開墾し、農園を持つ本社工場「寿長生の郷 (すないのさと) 」を開業しました。この地で農作物を栽培しているのは、叶 匠壽庵グループの有限会社 芝田果径 (以下「芝田果径」という。) です。原材料を自ら栽培することで素材にこだわり、和菓子が作られています。 芝田果径を訪問し、企業と農業の関わりについて、お話ししていただきました。

寿長生の郷 長屋門の前で
有限会社 芝田果径 (右から)代表取締役社長 平岩さん、主事 村上さん、課長 丹澤さん
「素」へのこだわり
芝田果径が栽培しているこだわりのお菓子の原材料は、梅です。
梅は大粒で香りが良い「城州白 (じょうしゅうはく) 」や赤色の果実がめずらしい「露茜 (つゆあかね) 」など、全9品種を栽培しています。
この梅を使用して作られたのが、「標野 (しめの) 」というお菓子です。
鮮やかな赤色が印象的ですが、着色料は使用しておらず、城州白と露茜の色だけで製造されています。

城州白 (画像提供:叶 匠壽庵)
露茜 (画像提供:叶 匠壽庵)

叶 匠壽庵で販売されている「標野」
芝田果径が栽培している梅は、寿長生の郷で養蜂している二ホンミツバチや様々な昆虫たちにより受粉し、果実が実ります。今年の春は低温でミツバチの訪花活動が不調だったため、例年にない不作だったそうです。
気候の変動などの影響により、例年と同様に栽培してもうまく育つという訳ではないと、農業の難しさを語っておられました。
また、二ホンミツバチや土地に暮らす生きものたちが安全に生息できるよう、農薬の使用は最小限に抑えています。

「城州白」をはじめ約700本の梅林 (10月中旬の様子)
春には開花が楽しめ、6月には収穫イベントが開催されます。
堆肥づくりも
和菓子には欠かせないあんこの製造過程で生じる小豆の皮や、ヤギ放牧地のヤギの糞、伐採木のチップ、もみ殻など、寿長生の郷で生じる廃棄物を活用して堆肥を作り、農作物への施肥を行っています。

子どもたちに大人気のヤギ「ゆず」
里山の整備
「里山の環境は、人の手だけでなく、生物の生業も含めて保たれる」との考えから、「ニホンミツバチと暮らす郷づくり (略してミツサト) 」の活動名で、山林の整備活動を行っています。
寿長生の郷の自然環境を100年先まで届けるために、年に数回、叶 匠壽庵全社から従業員が集い、活動を行っています。

「ミツサト」の様子 (画像提供:叶 匠壽庵)
お問合せ先
滋賀県拠点 地方参事官室TEL:077-522-4261