春番茶の荒茶加工場を現地取材しました
滋賀県甲賀市|カネヨ製茶麗和園 北田麗子さん
甲賀市信楽町朝宮で「朝宮茶」を栽培し、地域ブランドの維持や煎茶の魅力発信に取り組むカネヨ製茶では、冬を越した3月に収穫する「春番茶」の荒茶加工を行っています。春番茶は、茶葉が厚く丈夫なため、甘くてすっきりとした味わいになります。また、次期の刈取りに向けた整枝作業も目的としています。

カネヨ製茶8代目 北田麗子さん
今後の抱負
「春番茶は朝宮の伝統茶ですが、近年は生産者も少なく希少となっています。今後も、伝統を引き継いでいきたいと思います。」と抱負を語っておられました。
荒茶加工
滋賀県内では、摘んだ茶葉を保存できる乾物状態まで加工する「荒茶加工」を個人の生産者ごとに行うのが主流です。
荒茶を茶問屋が購入し、様々な工程を経て「仕上げ茶」となって、消費者の手元に届きます。
荒茶加工により、お茶の味・色・香りがほぼ決まるとも言われており、高い技術が必要です。

運び込まれた茶葉
蒸熱(じょうねつ)
摘み取った茶葉を高温の蒸気で蒸すことで、茶葉の青臭みを取り除き、酸化酵素の働き(発酵)を止めて茶葉の変色を防ぎます。煎茶では、蒸熱後に風を当てて冷却しながら葉の表面の余分な水分を取り除きますが、春番茶の工程では冷却しません。


蒸熱機
粗揉(そじゅう)
茶葉を柔らかくし、水分量を低下させるため、乾燥した熱風を送りこみながら、適度に摩擦・圧迫しながら揉みます。第1粗揉、第2粗揉の後に次の工程である「揉捻」に移ります。


粗揉機
揉捻(じゅうねん)

揉捻機
水分の均一化を図るため、茶葉を一塊にし、加熱せず圧力を加えて揉みます。
葉の組織を壊すことで、お茶の成分を出やすくします。
中揉(ちゅうじゅう)
揉捻後、もう一度粗揉(第3粗揉)を行い、中揉機に運ばれます。中揉は、円筒に入れて回転させながら揉み、熱風を当て、次の工程で整形しやすいように、さらに乾燥させる工程です。


精揉(せいじゅう)
緑茶独特の細く伸びた形に整えるため、茶葉の水分を取り除いて乾燥を進めながら、人間が手で揉むように一定の方向にだけ力を加え揉みこみます。

精揉機
乾燥
形が整ったものを、長期の貯蔵に耐えられるように十分に乾燥させて荒茶が完成します。

乾燥機
袋詰め
完成した荒茶を、紙袋に規定の重さとなるよう袋詰めします。

袋詰め
カネヨ製茶 麗和園 https://reiwaen.base.shop/
荒茶加工の様子はこちら
お問合せ先
滋賀県拠点 地方参事官室TEL:077-522-4261