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近畿農政局

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「紀州備長炭」発祥の地で次世代につなぐむらづくり(田辺市)

-秋津川振興会による地域活性化の取組-

田辺市秋津川地区で活動する秋津川振興会(以下、「振興会」という。)を訪問し、北川会長から振興会の取組についてお話を伺いました。(取材日:令和7年4月17日)


紀州備長炭記念公園


紀州備長炭


秋津川地区は旧田辺市の北部に位置し、江戸時代から紀州備長炭の里として知られています。振興会の活動拠点は地区の中心地で県道29号線沿いの道の駅紀州備長炭記念公園(以下、「記念公園」という。)です。
秋津川地区の人口は553人(令和6年1月31日、住民基本台帳人口による)、過疎・高齢化や後継者不足の課題に加え、令和元年7月に発生した県道29号線の斜面崩壊による通行止めや新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、記念公園の利用者数や売り上げが激減するという大きな課題に直面しました。
振興会では、こうした地域課題を踏まえ記念公園を中心に地域の特産品である梅や備長炭を活用した都市農村交流事業等に取り組み、地域活性化を推進しています。


【備長炭ラーメン】
備長炭パウダーを練り込んだ「備長炭ラーメン」は、「梅炭そば」とあわせてレストランの人気メニューの一つとなっています。

【備長炭ケーキ】

「備長炭ケーキ」は白あんがサンドされ、ほのかな甘さが特徴です。備長炭でろ過した水を使って淹れた「備長炭コーヒー」との相性は抜群です。



また、世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」PRのため、地元小・中学校等と連携し、備長炭の原料となるウバメガシを遊休農地に植樹する「ウバメガシの森づくり事業」を実施しています。
さらに、中山間地域等直接支払交付金の加算措置を活用した農作業委託、農機具のリース事業や、地域で生産される南高梅、さつまいも等、農産物の高付加価値化を図るための新たな商品開発にも取り組んでいます。このほか、春まつりや山まつりの開催、資源ごみ回収事業、シニアサポート事業(高齢者訪問)等、生活支援の取組も行っています。

〇 今後の展望について
中山間地域では過疎高齢化が進み、農業生産活動のみならず、集落維持に必要な農地や水路等の地域資源の管理や、買い物・子育て等、生活扶助等の集落機能が衰退しており、この集落機能を補完する地域運営組織が必要となっています。農村型地域運営組織(農村RMO)は、農用地保全活動とあわせて、地域資源の活用や生活支援等、地域コミュニティーの維持に資する取組を行う地域運営組織で、農林水産省では中山間地域等の振興のため、農村RMOの形成に向けた支援に努めているところです。
今回訪問した秋津川地区では、振興会がすでに農村RMOとして多様な活動に取り組んでいます。北川会長から、「コロナ禍等で激減した記念公園の利用者数は以前の水準まで回復しており、更なる地域の活性化に向けて頑張っていきたい。」とのお話を伺いました。
和歌山県拠点では、集落における地域コミュニティーの機能を維持するため、農村RMO等の施策を通じて、地域課題の解決に向けた取組を実践する組織のサポートに引き続き努めていきます。

〇 秋津川振興会について
平成9年に記念公園が開園し、同年地域住民や各種団体の合意により振興会が発足しました。振興会は、イベント部会、店舗運営部会、製炭者育成部会、商品開発部会、青空市運営部会等の部会組織を設置し、町内会、公民館、女性会、JA組織、行政、小・中学校等の関係者と幅広く連携し、むらづくりの活動を行っています。
伝統と文化を守る住民総参加のむらづくり活動が評価され、平成24年度豊かなむらづくり全国表彰事業で近畿農政局長賞を受賞されています。


道の駅   紀州備長炭記念公園ホームページ
https://www.binchotan.jp/




【製炭士の育成】
記念公園にある5基の炭焼き窯は、製炭士の育成に活用されており、これまで13人のIターン者が製炭士になっています。
長さが約5mある「えぶり」といわれる製炭道具を使って備長炭の窯出しを行い、灰をかけて熱を冷まします。窯出しの日程があえば見学することや窯出し体験もできます。




【炭琴】
備長炭で制作された「炭琴」は、備長炭発見館で展示されています。備長炭は鋼鉄のように固いため、叩くと澄み切った音がします。音階は備長炭の長さで調整されています。




【炭琴コンサート】
令和7年3月23日(日曜日)に開催された第21回春まつりでは、結成30周年を迎える「秋津川炭琴サークル」の演奏が行われました。同サークルは地元主婦を中心に組織され、音楽の観点から備長炭の情報発信を行っています。
当日は、「マイウエイ」、「星に願いを」、「小さな世界」、「365日の紙飛行機」、「ふるさと」、「さくらさくら」の演奏と、澄み切った音色に聴き入りました。





【餅まきの様子】
第21回春まつりでは、イベントの最後に恒例の餅まきが行われ、参加者は餅拾いに熱中しました。
餅まきは、一般用と子供用にわかれて行われました。




【子供向けの餅まきの様子】
子供向けの餅まきでは、餅のほかお菓子も投げられ、子供たちに好評でした。




お問合せ先

近畿農政局和歌山県拠点

ダイヤルイン:073-436-3831