世界初、麦芽を使わず米麹で醸したビールを造っています!! ~ライスモルトのグルテンフリービール~
ライスモルトのグルテンフリービールの製造及び販売をおこなっているORYZAE BREWING(オリゼーブルーイング)※の代表兼ブルワーである木下 伸之氏を紹介します。
【開業の動機】
大学卒業後、県内外の各種メーカーにおいて米麹、麦麹、清酒麹の製造を経験し、麹造りについて一通り習得しました。福岡の造り酒屋で働いていたころ、分析作業中にアルコール5%ほどの清酒モロミをろ過すると飲みやすくなることに気づき、甘酒をろ過して酵母を入れると新しいものができるのではと思ったことが開業に至ったきっかけの1つです。一年を通して売れる商品を作りたいと考え、麹を使ったビールを開発するという夢を抱いて地元和歌山で起業しました。
【「麹」のみを使ったビールの開発について】 2019年6月に酒類等製造免許(発泡酒)を取得し、同年7月に世界初となる麦芽を一切使用せずに米麹を原料としたビールを完成させ、マイクロブルワリー(小規模なビール醸造所)をオープンしました。 国産では唯一となる原料ベースでグルテンフリーの製造は、前例がなく開発に時間が掛かりました。年間製造量は6千リットル。
お店の名前ORYZAE BREWING(オリゼーブルーイング)は、麹菌の学名「Aspergillus oryzae」(アスペルギルス オリゼー)に由来しています。
開発当初は、ビールの味にバラつきがありましたが、試行錯誤を重ねた結果、最近は安定した味のビールが製造できるようになりました。
【商品名(左から)】
Oryzae Malt Pale Ale
JAPANESE WHITE NO.9
Black HEAD IPA
【発芽籾から作った米芽(オリゼーモルト)】
米麹に使用している米は和歌山県産のヒノヒカリ。原料段階から麦を使用しておらず、米麹を使用したビールの製造は、日本で初めてとのこと。 新開発した「ORYZAE MALT(オリゼーモルト)」は発芽させた籾米に麹菌を付け、焙燥・焙煎処理をした醸造用穀物原料で、 従来のライスモルトでは不可能であった高い酵素活性を維持しながら、ビールで使用されるモルトに類似した機能と香味等を有しています。

「ORYZAE MALT(オリゼーモルト)」で製造したビールは酒税法上は発泡酒ですが、ビール審査会などのカテゴリーではグルテンフリービールの分類となります。上述のうち、Oryzae Malt Pale Ale(オリゼーモルトペールエール)は、インターナショナル・ビアカップ2024のグルテンフリービール部門で銅賞を獲得しました。
【今後の目標】全国には、良い麹をつくる酒蔵、味噌・醤油を製造する醸造所がたくさんありますが、厳しい経営状況のところが多いのが現状です。米の可能性を広げる、麦芽を一切使用しない「麹」のみを使って醸造する製造方法が新しい活路の一つとなり、お米のビールの特区を作り、半農半Xでの製造が広がればと考えています。米の消費を増やすために、麹の魅力や可能性を世界中に広め、発展させていきたいと力強く語ってくださいました。
店頭での販売は金曜日と土曜日の2日間。都市圏の飲食店(東京、大阪、京都)、インターネットの通販サイトでも販売しています。
ORYZAE BREWING 代表兼ブルワー 木下 伸之
和歌山市舟大工町3 きのしたビル
ウェブサイト ☞https://oryzaebrewing.com/(外部リンク)
(取材日:令和7年6月27日)
お問合せ先
近畿農政局和歌山県拠点
代表:073-436-3831