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近畿農政局

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棚田で人をつなぐ、棚田が時代(とき)をつなぐ(紀美野町中田の棚田)

関西随一のススキの大草原で知られる生石高原(標高870メートル)の麓に広がる紀美野町中田の棚田は、世界遺産高野山に伝わる室町時代の文書「天野社一切経会段米納日記」に、この地域から多くの米が高野山に納められていたことが記されている600年以上の歴史を持つ棚田です。また、生石高原のわき水を集落まで供給していた全長600メートルの用水路 「竜王水」は、現在もその一部が素掘りの溝のままで残っており、今なお、中田の棚田を支え続けています。


     紀美野町小川地区 中田の棚田

かつては美しかった棚田

最盛期には約14万平方メートルの水田が広がっていたとみられ、永い年月、先人達により耕し守り続けられてきましたが、時代の流れとともに過疎化が進み、現在では棚田を耕作する農業者は3人だけとなり、100枚近くある棚田のほとんどが耕作放棄地となっています。50軒ほどが暮らし、米作りをしていた70年前の美しい棚田を知る住民の方は当時を振り返り「そらぁ、きれいやった」と嬉しそうに話されるそうです。



     棚田再生のため集まった皆さん

紀美野町の宝として未来につなげたい

紀美野町で新たな観光資源を模索していた同町まちづくり推進協議会は、1年以上協議を続けるなか、中田の棚田が持つ魅力を再発見し、紀美野町の宝として未来につなげるため、棚田再生に向け活動を開始。ほどなくして制定された棚田地域振興法も追い風となり、中田の棚田は令和元年12月に指定棚田の認定を受けました。



和歌山大学観光学部L.I.Pの学生さんも活動に参加

「棚田再生プロジェクトチーム」結成

令和2年2月、棚田再生事業を行う小川地域棚田振興協議会を設立。その後、具体的な再生計画を協議するため、地域おこし協力隊、農家、地域住民や移住者など、協議会会員以外も多数参加し「棚田再生プロジェクトチーム」を結成。他の棚田地域では地域の農業者を中心とした組織が多い中、当地域では住民が主体となった活動が行われています。また、「棚田deCAMP」といったイベントを開催するなど、観光資源としての活用も進められています。


手作業での田植え

米作りにもこだわります

長い間、耕作放棄地となっていた棚田の再生は、地権者からの土地の借受けから始まり、水路の整備や大規模な草刈り、雑木の伐採・伐根作業など重労働が続きました。作業開始から2年が経過した現在は、再生した水田3枚(約450平方メートル)にもち米を作付し、200kgを収穫しました(水田再生の過程ですぐに戻せない場所は一時的に畑として10枚が再生されています)。
米づくりは農薬や化学肥料を使用せず、田植えや稲刈りも手作業で行っています。草刈り王決定戦や棚田でヨガなどのイベントが行われ、活動に参加するボランティア(棚田サポーターズ)の皆さんも楽しみながら作業を行っています。


草刈り王決定戦参加者の皆さんと一緒に記念撮影

棚田で描く未来

棚田の再生は壮大で、かなりの時間を要しますが、プロジェクトに参加する皆さんの顔は笑顔で溢れています。参加者が思い描く未来は、美しい棚田を中心に地域内外の人々が繋がり、そこに暮らす人々も活気に満ちた地域の姿で、その実現に向け、棚田のライトアップや水車の設置、空き家や古民家を再生した農家カフェや農家民宿、地域食材を活用した商品の開発などの検討も進められています。
棚田サポーターズは随時募集中でどなたでも参加できます。あなたも歴史ある棚田の魅力をぜひ現地で感じてみませんか。

ボランティア(棚田サポーターズ)に関するお問合せ先
中田の棚田再生プロジェクト
メールアドレス:info@kiminoriceterrace.com
ホームページ:http://kiminoriceterrace.com/

 


     

稲刈りの風景

      
       

     

棚田deCAMP

     

お問合せ先

近畿農政局和歌山県拠点

ダイヤルイン:073-436-3831
FAX番号:073-436-0914