北山村における鳥獣被害防止対策の取組と特産品「じゃばら」の生産振興
北山村は和歌山県 ⁉。約48平方kmという小さな村の面積の97%は山林で、村に隣接する町や村はすべて三重県、奈良県の市町村。和歌山県のどの市町村とも隣接しないという、日本で唯一の「飛び地」の村です。この村には、全国唯一という特産品も存在。それが、「じゃばら」という名の果実です。
近年、特産品の「じゃばら」についても、鳥獣被害が増加しています。
1.有害鳥獣被害対策推進協定に係る調印式

農林水産省では、野生鳥獣に対する様々な被害防止のための総合的な取組を支援しています。
シカなどによる森林被害が発生している地域においては、積極的な捕獲等の実施により、森林の有する多面的機能を将来にわたって持続的に発揮させていくことが重要です。このため、和歌山森林管理署では、地元市町村、猟友会等との協定に基づく「わな」等の貸出により、森林被害対策を実施しています。

令和6年3月19日、北山村村長室において和歌山森林管理署長と北山村鳥獣害防止対策協議会会長(北山村村長)双方の直筆サインによる有害鳥獣被害対策推進協定書(以下、「協定書」という。)の調印式を行いました。
協定書は、和歌山県内で9例目となる取組で、当拠点では和歌山森林管理署とも連携しながら、鳥獣被害防止対策の取組を推進しており、今般、地方参事官がアドバイザーとして本調印式に立ち会いました。

鳥獣被害は、営農意欲の減退、耕作放棄・離農の増加、さらには森林の下層植生の消失等による土壌流出など、被害額として数字に表れる以上に農山漁村に深刻な影響を及ぼします。
今後、北山村では、特産品であり、地域振興として重要な「じゃばら」の被害防止(シカによる食害)対策として森林管理署から「括りワナ」の提供を受け、有害鳥獣被害対策に取り組むこととしています。
2.北山村の地域活性の一翼を担う「じゃばら」加工施設が完成
「じゃばら」は村一番の特産品で、古来よりこの地域でのみ自生するという珍しい果実。
近年、村による本格的な開発・PRにより様々な商品が開発されるなど、北山村の地域活性の一翼を担っています。令和5年11月には、新工場の「じゃばらいず北山七色工場」が完成しました。

北山村における「じゃばら」事業は、村が長年直営で事業運営してきましたが、事業の継承と更なる発展のため、そして民間の力で北山村の地域振興の一翼を担おう、そんな思いが形になり、「株式会社じゃばらいず北山」が令和2年4月に創業しました。
コロナ第一波真っ只中での苦しい船出でしたが、「じゃばら」を使用した商品開発、加工・製造及び販売事業を始め、顧客の新規開拓などスタッフのたゆまぬ努力により、ようやく経営も安定しつつあります。

この村の一人の村民の敷地に一本だけ自生していた自然雑種。その味を一言で表現すると「にがうま」。酸っぱさの後に残るほんのりとした苦味が独特で、「邪(気)をはらう」ところから「邪払(じゃばら)」の名前が付けられており、村では昔から正月料理にかかせない縁起物の食材でした。
ユズやダイダイ、カボスの仲間となる柑橘類の果実で、一本の原木からスタートした「じゃばら」栽培は、今や村を支える代表産業です。

北山村の「じゃばら」は、村営農園と約15人の農家が8haのじゃばら畑を管理するまで規模拡大しています。
「じゃばらいず北山七色工場」が完成したことにより、新たにペットボトル、缶製品が村内で製造可能になり、製品の品質レベルが向上しました。また、新工場は雇用創出につながり、北山村の発展に益々貢献することができると期待されています。
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近畿農政局和歌山県拠点
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