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東北農政局

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令和元年度消費者団体等と東北農政局の意見交換会概要(岩手県)


  
東北農政局では、食の安全と消費者の信頼確保に向けて、食に関する様々なテーマにより、消費者団体等との意見交換会等を開催しています。
   令和元年10月9日(水曜日) 、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センタ-(岩手県盛岡市)において岩手県内消費者団体等と東北農政局の食品安全にかかる意見交換会を開催しました。
   意見交換会では、岩手県内の消費者団体等3団体8名が参加し、東北農政局からHACCPを中心に食品の安全性の向上に向けた農林水産省の取組、東北農業研究センタ-から農業技術・品種開発の取組について情報提供を行うとともに、センター内のほ場や施設における技術開発等の現場を見学した後、意見交換を行いました。



  図2  
意見交換会の様子


あいさつと情報提供を行う
  東北農政局  小林次長
  意見交換で質問等に答える
東北農業研究センター  渡辺室長

1.日時・場所

日  時 : 令和元年10月9日(水曜日) 13時30分 ~15時30分
場  所 : 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センタ- 北辰興農閣研修室
           (岩手県盛岡市下厨川字赤平4)

2.出席者等

出席者 : 岩手県内消費者団体等  3団体8名
説明者 : 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構東北農業研究センター、東北農政局

3.意見交換の概要

情報提供・見学

  1. 食品の安全性の向上に向けた農林水産省の取組について(HACCP等)
      東北農政局  小林次長より説明
  2. 東北農業研究センターにおける農業技術・品種開発の取組
      東北農業研究センター  渡辺企画部産学連携室長より所内見学と取組の説明

意見交換・質疑応答

※東北農業研究センターは「東北農研」、農業・食品産業技術総合研究機構企画戦略本部は「農研機構本部」と略しています。

【 消費者団体等A 】
  大規模農家対象のスマ-ト農業の便利さはわかりますが、家族農家や高齢者農家への普及はなかなか難しいのではないでしょうか。家族農家や高齢者農家に向けた研究は何か行っていますか。

【 東北農研 】
  高齢者の後継者の問題に対応した、技術継承を可能にする研究や取組が行われています。
  また、大規模化だけでなく、中山間地域向けの研究や開発技術の実証研究を行っていますので、今後それらについても順次成果を紹介していければと思います。

【 消費者団体等B 】
  これから少子高齢化が進む中で、主食である米では直播栽培が必要になってくると思っています。
  また、温暖化が進む中で環境変化が大きくなりますが、それに対する取組が何かあれば教えてください。

【 東北農研 】
  農研機構には、環境変化に対応した研究を行っている研究部門があります。今後、環境変動対応研究の取組は一層増えていくはずであり、研究の成果を還元していければと思います。身近な例では、米は生育時の高温により白濁して商品価値が下がってしまうことから、東北農研では高温に強い、白濁化が起こりにくい品種開発を進めてきており、近くその特性を持った品種が登場します。東北地方では特に南部で気温が高くなりやすいことから、高温化に対応した品種は有効です。今後とも環境変動に対応できる様々な品種開発を行っていきます。

【 農研機構本部 】
  つくばの農研機構には農業環境変動研究センタ-があり、生育環境関連に特化した専門的な研究を行っています。また、地域の農業研究センタ-と連携して様々な技術開発・研究を行っています。

 
 
とうもろこしの試験栽培ほ場
  車内で東北農研から説明
を受け見学する参加者
  快晴の空の下、様々な農作物の
試験栽培ほ場を見学しました

 

【 消費者団体等B 】
  もち小麦について、小麦の中で、なぜもち小麦を開発しようとしたのですか。
  岩手という地域に適したものとして開発したものですか。

【 東北農研 】
  もち小麦の開発者ではないので開発理由を正確にお伝えすることはできませんが、研究者の立場からは、米など他の作物に“もち”があって小麦には無いことから、科学的に可能であれば作成し、どのような小麦になるかといった興味が大きかったかもしれません。小麦にはゲノム(遺伝子のセット)が3つあり(イネなどでは1セット)、すべてもち性の場合のみに“もち小麦“になります。それぞれのゲノムがもち性であるかどうか、遺伝子を判別する方法が東北農研の研究者により開発され、東北地域の環境に適したもち小麦が世界で初めてつくられました。

【 消費者団体等B 】
  もち小麦を使ったパンの老化が遅くなる性質に注目しています。消費者としては、パンを作る際の添加物が気になっていますので、小麦本来の性質として老化が遅くなることは良いと思います。

【 東北農研 】
  パン屋さん、和菓子屋さんで、もち小麦を保湿剤として添加物の代わりに使っている例があります。パン等加工品の老化が遅いということも利用する大きな理由ですが、もち小麦の使い方は情報として公開されていない部分が多く、あまり知られてはいません。

【 消費者団体等C 】
  「もち姫」ですが、パン加工などを盛岡市の食品会社で行っています。栽培は紫波地域です。食べるときに「ひっつみ」にしてみてください。「ひっつみ」は全然違います。目からうろこです。この前、岩手町の催しで「もち姫」で「ひっつみ」を作ったのですが、盛岡の小中学生や父母が来町し、「こんなひっつみは食べたことがない」と言っていました。本当に、白玉のようにつるんと食べられるのですが、ベタッとしないでモチッとします。家庭で「ひっつみ」にして食べてほしいです。「もち姫」のPRです。

【 東北農研 】
  東北農業研究センタ-内の生協売店でも、「もち姫」等開発品種の小麦粉を販売しています。他にも、岩手町内の製粉会社では「もち姫」をはじめ、「銀河のちから」など岩手県産の小麦をいろいろ取り扱っています。それぞれ特長のある小麦粉なので、使っていただければ非常に面白いと思います。

【 消費者団体等C 】
  今日の見学は参考になりました。私は、中山間地で農業をしています。昨年、スマ-ト農業に関して北海道へ視察に行きましたが、広大な農地で農業をやっています。北海道のような1枚の田んぼが3haというところではスマ-ト農業は可能でしょうが、中山間地でスマ-ト農業は可能なのでしょうか。先日、農業機械の使い方の講習会に参加しましたが、道幅等の関係から大型の機械の導入は難しいと思いました。家族経営・家族農業の中山間地の小規模農業に向けたスマ-ト農業の取組を教えてください。

【 東北農研 】
  研究紹介でご紹介したスマ-ト農業の実証事業で、岩手県の実証地は岩手町にあります。中山間地でキャベツ、大根、ジャガイモに関するスマ-ト農業の実証を行っています。スマ-ト農業の実証は大規模化のみを想定しているのではなく、中山間地に適用できる技術の実証も行っています。実証場所によって適用する技術が違ってきます。

【 消費者団体等C 】
  私も農業をしています。小さな農家ですが、野菜主体でやっています。高齢になってくると身体に負担がかかるので、機械化を進めてきています。ネギも育苗は手作業ですが、植付・収穫は機械でやって、年をとっても続けていけるようにしています。キャベツも作付していますが、キャベツは重労働なので、機械を入れるとなった時に、やはり農地が狭く、5反歩(50a)位のキャベツ畑だと、大きな機械を取り入れるのはなかなか難しいです。小さめの機械の開発も並行してやってもらえると、年齢を重ねても機械化してやっていける、働いていけると思います。これからの農業はきついものだという考えが一番のネックですから、それが軽減されれば後からついてくる人も増えるのではと思います。5反歩(50a)、3反歩(30a)の作付でも使えるような機械ができれば、農業を続けられないという課題も解決するのではと思いますので、そのような検討をお願いします。

【 東北農研 】
  機械化については、まさにおっしゃるとおりで、例えば、玉ねぎは大規模化が進んでいる作物であり、それに適した機械がそろっていますが、もう少し小さな規模でも適用可能な機械があります。野菜は作物ごとに機械も全く違いますので、玉ねぎのようにできるか見通せませんが、要望があればメーカーにも伝えていきたいと思います。

 
 
  所内見学後、東北農研の取組の
説明と意見交換を実施
  農研機構  企画戦略本部新技
術対策室の高原上級研究員
  東北農研  北辰興農閣には、ドローン
や各種の研究情報が展示されており、
入口には農産物の販売所があります

 

【 消費者団体等C 】
  中山間地でも農地の集積の動きがありますが、農家がスマ-ト農業、あるいは大型化するとなると、農業機械もかなりの負担になります。中山間地向けの機械の開発・研究についても、メ-カ-とコラボしていると思いますが、負担にならずにスマ-ト農業ができるような状況を望んでいます。家族農業も一緒に続けていけるような農業を研究していただければと思います。

【 消費者団体等A 】
  中山間地でのスマート農業に関する意見がありましたが、全国的に見てみると、プロジェクト研究で実証しているところもあると思います。そのデ-タは共有しているのでしょうか。デ-タがあるのであれば、エリアを越えて連携した情報の共有が必要であり、是非やっていただければと思います。

【 東北農研 】
  御意見を参考にさせていただきながら、進めていきたいと思います。

【 消費者団体等B 】
  HACCP(ハサップ)は知っていましたが、かなり制度的に進んできていることがわかりました。このような制度を検討していく過程で、出てくる名前が大手の業者さん、国などですが、消費者の声が活かされる部分はあるのでしょうか。いつもあらかたできあがって後になってから、消費者としてはこうしてほしかったのにということがあります。業者さんが考える安全の部分と消費者が考える安全の部分には、違いがあると思います。制度的に、消費者の考えを活かす工夫があれば良いと思いました。

【 農政局 】
  食品衛生法が改正され、食品等事業者の皆さんにはHACCPに沿った衛生管理が義務化されます。HACCPでは、焼き鳥屋さん、お肉屋さん、何かの小売店など、事業者さんごとに衛生管理のル-ル作りがされますが、そのル-ル作りに際して消費者の方が参加しているかどうかまでは承知していません。
  以前、消費者の方が事業者と一緒に衛生管理の改善に取り組んだ例があるので、御紹介します。平成12年の雪印乳業の食中毒事件では、有症者、症状が出た人が1万人以上にのぼりました。消費者代表の方が雪印乳業に役員として乗り込んでいって衛生管理等の改善に取り組まれました。この食中毒事件は、衛生管理の運用の仕方にも問題があったのですが、消費者の方も入ってその点を是正していったという経過があります。
  HACCPはどちらかというと、ハザ-ドの確率を減らしていくという単純なやり方がされていて、実際の工程とそれに合わせる工程管理の作業をガイドブックにしています。あまり議論の余地がない、そんな感じでやっています。
  FSSC22000などの規格は経費がかかりますので、輸出など目的を持った大きな企業が取り組んでいます。中小事業者向けには、多少は経費がかかりますが、先ほど紹介したJFS(Japan Food Safety)規格のJFS-A規格、JFS-B規格があります。
  消費者の皆さんにも、ガイドブックを御覧いただくなど、HACCPの中身を知っていただき、必要であれば事業者の方と一緒にルール作りの際に議論していただければと思います。

【 消費者団体等B 】
  豚コレラ(※1)ですが、テレビで豚コレラ、アフリカ豚コレラと放送されていますが、一体どんな病気で、何が困るのかわからないので教えてください。
  本日配布されたチラシに、豚コレラにかかった豚の肉が市場に出回ることはありませんと記載されているのは、そのとおりでしょう。ワクチン接種が始まるとのことですが、ワクチン接種した豚の肉は食べていいのでしょうか。また、接種した豚と接種していない豚の区別が消費者にわかる状態で届くのかを教えてください。

  ※1:現在、豚コレラは「CSF」、アフリカ豚コレラは「ASF」の名称を用いています。

【 農政局 】
  豚コレラというのは、ペスチウイルスによって豚、イノシシがかかる病気です。人には感染しません。豚コレラの起源は、ヨーロッパの人はアメリカ、アメリカの人はヨーロッパと言うなど諸説あります。日本には明治時代に入ってきて、当時、大量に発生して豚がバタバタと死にました。ものすごい致死率で、ほぼ100%です。今はやっているのはそれより少し弱毒性で、すぐには死なず、ウイルスを持ったイノシシが次のイノシシに感染させるということが起きています。
  日本では、14年前まではほとんどの豚にワクチンを接種していました。14年前まで皆さんが食べていた豚肉は、ワクチン接種したものです。このワクチンは極めて優秀で、豚に接種すると、ほぼ一生その効果を持続してくれます。
  なぜ14年前にやめたのかというと、経済的事情よりも、日本を豚コレラ洗浄国にしたい、豚コレラがない国にしたい。そうすると、豚コレラの発生している国から入ってきた豚肉をお断りすることができる、または、日本は豚コレラ洗浄国として豚肉を売ることができる、そういう新しいチャレンジができる環境を作りたかったからです。実際、13年間、イノシシでの発生もないし、豚での発生もない。今回の豚コレラは、おそらくウイルスに感染した畜産物が海外から持ち込まれ、それをイノシシが食べて、生きたウイルスがイノシシの体内に入り、それが豚に感染したのではないかと推定されています。
  まだ豚にはワクチンが接種されていません。これからです。どのように使っていくかは検討中ですが、愛知、岐阜を中心に、その周辺県おそらく9県か10県がワクチン接種の推奨県(※2)となり、最終的には県知事が接種の命令を出します。
  ワクチン接種されたウイルスは、死んだ肉の中では増殖はできません。豚肉になってしまうと、加工品とかいろいろな形で出回りますので、豚肉の流通はおそらく制限が難しいでしょう。ワクチン接種区域の中の豚肉と、外の豚肉を区別しないというのが、農水省の原案です。ですから、ワクチン接種区域の中のワクチン接種した豚肉、外の接種していない豚肉の流通は、おそらく区別なく表示されると思います。安全性については、問題ないと食品安全委員会で実証済みです。ここで重要なのは、生きた豚、精液、受精卵、堆肥等はワクチン接種区域に限定して区域外に出さないということであり、このような形で今プログラムを作っています(※3)。

  ※2:10月31日現在、ワクチン接種推奨地域は12県(群馬県、埼玉県、富山県、石川県、福井県、長野県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、静岡県、山梨県)
  ※3:「豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針」を10月15日に一部改正

【 消費者団体等C 】
  イノシシの話ですが、県内のどこまで来ているか把握していますか。

【 農政局 】
  イノシシは、昔は東北にいなかったと言われていますが、昨日も宮城県内の市長からイノシシの被害があると苦言をいただいています。

【 消費者団体等 】
  私は、県北の方に結構行きますが、かなりの地域でイノシシがいるようです。鳥獣対策を考える必要があると言われています。

【消費者団体等C】
  イノシシがいたとしても豚コレラウイルスを持っていなければ心配しなくていいと考えて良いのですか。

【 農政局 】
  豚コレラウイルスを持ったイノシシがいなければ安心ですが、農林水産省で検討しているのは、養豚農家が100%位のセキュリティを持たないと、養豚という産業は維持できないのではないかということです。ウイルスを持っていてもいなくとも野生イノシシまたは中小動物が養豚農家の所に入らないように、完全に柵等を作ってもらう。それを義務化しようかという議論になっています。
  また、アフリカ豚コレラが韓国まで迫ってきています。アフリカ豚コレラ用のワクチンはなく、発生したら、殺処分するしかありません。ですから、アフリカ豚コレラにも備えて、養豚農家には周りがクリーンだから今のままでいいとはならず、セキュリティを上げてもらわなくてはならないのです。

お問合せ先

消費・安全部消費生活課

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