ニーズだけでなく、互いの思いが実を結んだ農福連携
「農福連携」そのスタイルにも多様性があっていい!
「キミト☆ミライ(※1)」は、和歌山県白浜町に、令和4年4月1日に開所した「就労継続支援B型事業所(非雇用型就労訓練施設)」です。開所と同時に「わかやましらはま農家(※2)」と農福連携による取組みを開始しました。
障がい者福祉施設が農業事業者と契約を結び、農業者のほ場で障がい者が就労を行う「施設外就労」による働き方で、年間を通して、「パクチー」「トウモロコシ」「ケイトウの花」「そら豆」の播種から収穫・選別作業を、毎週、月・水・金曜日の週3回、午前or午後のいずれかで行っています。
この取り組みの発端は、2021年8月「わかやましらはま農家」の遠藤賢嗣さんから、2022年4月に「白浜町内で就労継続支援B型事業所を開設予定の知人がおり、農福連携を模索しているので紹介したい」との連絡を受け、遠藤さんの作業小屋で和歌山県拠点を含め3者で座談会を開催しました。

2022年3月には和歌山県拠点がホストとなってWeb座談会を開催し、和歌山県拠点からは、連携に当たっての留意点と、(継続に向けて双方の理解構築)等についてお話しさせて頂きました。
その後も2者で意見交換を行い(その模様は和歌山県拠点にも通知)、双方の理解を深めて農福連携の実施に至りました。
その素敵な取り組みを紹介させて頂きます。
【それぞれの思い】
「農家の思い」
・農業の可能性と魅力を多くの人に伝えたい。
・一緒に農業をする仲間を増やしたい。
・農業を癒しの場、障がい者社会参加の場として提供したい。
「福祉事業者の思い」
・経営者自身が9歳から弟と一緒に両親を介護してきた経験を世の中のために活かしたい。
・障がい者一人ひとりの未来や将来について一緒に考え、その人らしく生きていけるサポートをしたい。(障がい者の社会参加の場、就労技術取得の多様な場を確保、親亡きあとの介護8050問題の解消)
【それぞれのニーズ】
「農家のニーズ」
・繁忙期の人手不足や農家(仲間)の減少、荒廃農地の拡大が大きな課題。
「福祉事業者のニーズ」
・障がい者の就労の場が極端に少ない。
【お互いの理解】
【農家の福祉理解】
・障がい者の個々により、得意・不得意な作業がある
・就労継続時間にも個人差がある
☆個々の適性に応じた仕事、やりたい仕事を優先して提供しよう!
【福祉事業者の農業理解】
・農作物の生育はスケジュールどおりにはならない。
・雨や暑さ寒さの中での作業がある。
・その日の天候によりできる作業が変わる。
☆できるだけ農家の作業に臨機応変に対応しよう!
【座談会での会話をもとに、農福連携の模様をレポートさせて頂きます】
(注)【農】は農業者 【福】は福祉事業者
☆【福】農作業はどんなものがありますか。
→【農】年間の栽培品目と作業の計画を作りましたよ!
☆【農】天気や苗の生育によって急な作業変更をすることがあります。
→【福】3日前までに場所と作業内容をお知らせ頂き、前日(時には当日)に作業場所や作業内容の変更にも対応します。
☆【福】作業従事人数は日によって異なります。また、障がい者(以降、メンバーという)個々により作業効率は異なります。
→【農】農業に関わる仲間を増やすこと、農業で癒される方々の場の設営が自己実現であり、報酬の一部と考えます。農福連携においては効率を最優先していませんので、ご心配なく。
☆【福】メンバー個々により作業の得手不得手があります。
→【農】屋外作業(耕起、マルチ敷設、播種、定植、芽かき(スイートコーン)、収穫など)と、屋内作業(整枝、選別、ラッピングほか)など多様な機会を提供しますので、適性と各々がやりたい作業に従事して頂ければと考えます。
(採花作業) (選別・結束・包装作業) 綺麗な荷姿になりました。
☆【福】参加メンバーの人数は変動があり、当日不参加のメンバーが発生する可能性があります。
→【農】当日の作業メンバー(人数)に応じた作業を提供します。
ネット張り 採花 選別ほか
(この日はメンバー1人) (この日はメンバー2人) (この日はメンバー5人)
☆【福】⇔【農】双方ともに農福連携に取り組み、助かっています。
(編集後記)
各々の思いが実を結び農福連携が始まりました。今は順調に作業が進んでいると聞いております。
新たな取り組みですから、問題や課題が生まれるでしょう。その際にはお互いの信頼関係で意見を交え、ブラッシュアップされますことを願っております。
(※1)株式会社竹千代経営者 谷 正義
・新規設立した就労継続支援B型事業所:キミト☆ミライ
就労継続支援B型事業所キミト☆ミライ (kimitomirai.com)
(※2)
・「わかやましらはま農家」のWebサイト
https://ws-farmer.jp/about/
・遠藤さんの和歌山県拠点紹介サイト
https://www.maff.go.jp/kinki/tiiki/wakayama/torikumi/img/202103endou/endou.html
遠藤さんは、就農希望者の農業技術取得の支援、農業体験の受け入れを行なっており、障がい者と健常者を繋ぐ場にもなっています。
お問合せ先
近畿農政局和歌山県拠点
ダイヤルイン:073-436-3831
FAX番号:073-436-0914