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東海農政局

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第12回 株式会社バローホールディングスにおける取組

東海農政局は、東海地域で展開している食品関連企業を訪問して、企業活動の中で食品の安全・安心と消費者の信頼確保に取り組んでいる状況を取材しています。
第12回はスーパーマーケット事業を中心に、ドラッグストア事業、ホームセンター事業などを展開する「株式会社バローホールディングス」(以下、「バロー」)にお話を伺いました。(取材日:令和2年11月13日)

株バロー_国富品質保証課長 東海農政局八百屋消費・安全部長

多様な事業展開が特徴です

バロー店舗写真(東海農政局)
本日は、よろしくお願いいたします。
最初に、会社の概要を教えてください。



(バロー)
当社の創業は、1958年(昭和33年)伊藤喜美氏が岐阜県恵那市に創設した「株式会社 主婦の店」のスーパーマーケット事業が始まりです。1974年に社名を「株式会社バロー」に変更し、スーパーマーケット事業を拡大するとともにドラッグストア、ホームセンター、スポーツクラブ、ペットショップなど多様な事業を展開し、併せて物流センターや製造・加工拠点も整備しています。2015年にはホールディング体制に移行し、社名を「株式会社バローホールディングス」としています。多様な事業展開が当社の特徴です。
多様な事業図
主要3事業の店舗数(2020.3月末現在)
スーパーマーケット  298店(うち(株)バロー 240店)
ドラッグストア        416店
ホームセンター        148店

 

Valor(バロー)とは…『勇気ある者』(英語の古語)

企業理念画像
(バロー)
社名に使用している『 Valor(バロー) 』とは、英語の古語で『勇気ある者』を意味します。「創造、先取、挑戦」を経営理念として、社会に貢献する責任ある企業をつくるため、「何事にも挑戦しなさい」「勇気をもって挑戦しなさい」という創業者の強い想いを込め、「 Valor(バロー) 」という社名になっています。

製造工場も含めた品質管理体制

(東海農政局)
食品の安全・安心への取組について、教えてください。

(バロー)
食品スーパーを祖業とする企業ですので、お客さまに安全で安心な商品を提供することに神経を使っています。特に、プライベート・ブランド商品の開発に当たって、バイヤーが企画立案したものを品質や安全についてしっかり確認しています。原材料の証明取得の確認と同時に食品表示の確認も行っています。開発後も定期的にプライベート・ブランドの仕様書を更新するほか、製造各社に理化学や微生物検査を要請し、食品の安全性を担保しています。
また、プライベート・ブランド商品のうち、輸入冷凍野菜については定期的に残留農薬の検査確認を行い、基準値を超えていないかチェックを行っています。

異物検査機器(東海農政局)
自社で検査されているものはありますか。

(バロー)
店舗内で加工している商品の微生物検査を定期的に行っています。また、お客さまからのお問合せに早く対応できるように、自社で簡単に異物検査できる機器を揃えています。お客さまからのお問合せから基本的には2週間以内に、異物が何かを回答できるよう心掛けています。

「お客さまの声」に迅速に対応するためのVOCシステム

(東海農政局)
お客さまの声を聞く「 VOC (Voice of Customer)システム」を導入されているそうですが、どのようなものですか。

(バロー)店内の様子
グループの共通システムとして、2017年からVOCを導入し「お客さまの声」を集めています。お客様相談室だけでなく、店舗やグループ会社もリアルタイムに情報を共有できるものになっています。導入の背景には、グループ会社の増加や広域化が進むに連れ、「お客さまの声に十分に対応できていない」「スピーディな対応が難しくなってきた」など、対応に問題が生じてきたことにあります。導入後は、年間に受け付ける1万4千件以上のご意見について、対応状況の進捗管理がスムーズにできるようになりました。これにより、対応不足や対応遅れなどを回避することが可能となっています。対応をより迅速に行うことにより、製造・販売者としての当社の真摯な態度を少しでもお客さまに伝えることができると考えています。

「お客様の声」を商品に活かす

(東海農政局)
多くの意見の中には、今後の参考になるものがあると思いますが、どのように活用されていますか。

(バロー)
商品への貴重なご意見やお褒めの言葉は、定期的に冊子にまとめたり、商品部へフィードバックしたりしています。商品部には商品開発を行うバイヤーがおり、これらの意見を次の商品開発に反映するように会社として取り組んでいます。

プライベート・ブランドを一新。品質を上げることにこだわっていきたい

(東海農政局)PB商品新規アイテム
プライベート・ブランドの特徴について、教えてください。

(バロー)
2020年10月末にプライベートブランドを4ブランドから2ブランドに集約し一新しました。お得感のある良品廉価なものを「valor select(バローセレクト) 」、ちょっと上質でちょっと贅沢なものを「 valor plus(バロープラス) 」としてお届けしています。ベーシックなものは、基本的にアイテム数は増やさず、品質を上げることに力をいれて定期的にリニューアルを行っています。さらに認知度をあげて、良品廉価な商品で「お客様の暮らしを力強く応援したい」、また「この味に出会えてよかった」と思ってもらえるような素材や製法にこだわっていきたいと思います。






食品ロスの削減とホワイト物流推進の取組

(東海農政局)
食品ロスの削減や、環境に配慮した取組を教えてください。

(バロー)
当社は、物流も自社で行っております。2019年7月から3つの改善を行いました。1つ目は納品期限の緩和として、入荷許容率3分の1ルールを2分の1に緩和しました。これによって、メーカへの返品が3分の1に削減され、結果的に食品ロスの削減につながったと考えています。2つ目は、ホワイト物流推進への取組です。長時間の荷待ちで特定時間に納車車両が集中していましたが、「予約受付システム」を導入することで、荷待ち時間を大幅に減らすことができました。経済的な効果とともに二酸化炭素排出の削減に効果を得られたと思います。3つ目は、加工食品等の自動発注です。発注を予測することで、メーカー側の納品計画、生産計画に寄与することができるようになりました。この改善により、生産性の向上、作業の平準化、環境負荷の軽減など大きな成果をあげられたと思います。

  • 「3分の1ルール」とは
    商慣習の一つとして、賞味期間の3分の1以内で小売店舗に納品する慣例、いわゆる「3分の1ルール」があり、このルールの下では、賞味期間の3分の1を超えて納品できなかったものは、賞味期限まで多くの日数を残すにも関わらず、行き場がなくなり廃棄となる可能性が高まります。食品ロスを削減するため、農林水産省は、小売事業者の納品期限緩和などの商慣習の見直しを推進しています。
  • 「ホワイト物流」とは
    トラック運転手の不足を背景に、物流の安定確保が社会的課題となっています。荷主企業・物流事業者などに対して、物流機能の安定的な確保に取り組むための「ホワイト物流」推進運動への参加をお願いしており、この運動の趣旨に賛同して「自主行動宣言」を提出した企業はこちらで公表しています。( 「ホワイト物流」推進運動ポータルサイトから)
    https://white-logistics-movement.jp/list/(外部リンク)

インターネットで注文。新しい便利なサービス

(東海農政局)
「ainoma(aino market)」という配達サービスや「ドライブスルー受取」など、とても画期的な取組をされていますね。

(バロー)
元々仕事帰りに来店されるお客さまが多いため、夕方に店舗が混み合います。保育園のお迎えなど、夕方に買物することが困難なお客さまも多いことから、2019年7月からインターネットで空き時間に注文してもらい、お勤め先などで商品を受け取っていただける「ainoma」というサービスを始めています。開始から現在まで契約が成立した事業所や保育園は28拠点となっています。このサービスを実施しているのは岐阜県可児市内にある広見店で、ドライブスルー受取も同店で実験的に行っています。コロナ禍ということもあり、混み合う時間帯を作らないための企業努力として進めています。まだ実験的な取組ですが、働く世代を応援する社会的なサービスとして展開しています。


「ainoma」配達拠点保冷された配達商品ドライブスルー受取の様子


(東海農政局)移動販売車
移動販売もされていますね。高齢者の増加や過疎化などが進む地域がある中、今後のニーズは増えそうですか。

(バロー)
岐阜県恵那市、郡上市などでは、食品、日用品の買い物が不便な山間部の地域課題解決を目指して、地域の飲食店や老人ホームなどの施設への移動販売を展開しています。急激に需要が増えているわけではありませんが、東海3県に集中する店舗を活用してこのような地域サービスを維持していくことも課題と捉えています。





コロナ禍における地域生産者支援について

(東海農政局)
コロナ対策支援新型コロナウイルス感染拡大で飲食店の営業自粛、給食の休止などで販路に困る畜産物について、生産者支援販売をいただいたことに大変感謝しています。

(バロー)
2020年3月の小中学校の一斉休校により販路に困った牛乳の代替供給先として、学校給食用の牛乳を岐阜県内の店舗にて販売を行いました。さらに、観光・宿泊、外食業の需要に取り組んできた飛騨牛の需要が減少し、生産者の経営に影響が出始めたことから、同じく岐阜県内の店舗で支援販売を行いました。


食品表示制度、HACCPに沿った衛生管理の制度化の認知度アップや講習をお願いしたい

(東海農政局)
行政への要望があればお聞かせください。

(バロー)
食品表示制度の原料原産地表示の義務化や、HACCPに沿った衛生管理の制度化などについて、取引先の工場を監査する機会や、地場野菜の農家さんに確認したりする機会がありますが、小さな規模になるほど認知不足を感じることがあります。農家さんは制度改正などの情報に触れる機会が少ないのではと思います。行政には、ぜひ、広く表示制度の講習やHACCP講習などを実施していただけるようお願いします。認識レベルがアップすれば、地域野菜のスポット買いなどにも安心して対応することが可能です。
訪問記念写真

取材場所:株式会社バローホールディングス可児事務所(岐阜県可児市)

株式会社バローホールディングスWebサイトはこちら
https://valorholdings.co.jp/(外部リンク)

PDF版

第12回 株式会社バローホールディングス(PDF : 1,001KB)

お問合せ先

消費・安全部消費生活課

担当者:消費者対応班
代表:052-201-7271(内線2807)
ダイヤルイン:052-223-4651

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