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東海農政局

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令和5年度「株式会社サラダコスモ」における取り組み

発芽野菜(もやし、スプラウト)を中心に製造・販売する「株式会社サラダコスモ」にお話しを伺いました。(取材日:令和5年5月19日)

もやしとカット野菜のリーディングカンパニー
グローバルな視点で食料安全保障の強化と地域の活性化に取り組む

「目指すのは」・・・
~もやしなど製品価格の安定~

~農業、高齢者、地域を元気に~

~栗きんとん生食パンなど新商品の開発~

~有機農産物にも注力~

~世界一の野菜農家へ~

サラダコスモ 中田社長


東海農政局 局長

株式会社サラダコスモ
代表取締役社長
中田 智洋 氏

農林水産省 東海農政局
局長
小林 勝利

~こんな話を聞きました~

~国産野菜を値上げせずに消費者へ~

(東海農政局)
農林水産省では、現在、食料・農業・農村基本法の検証・見直しを行っています。
東海農政局では、さまざまな方面の方と意見交換しております。よろしくお願いします。
まず、食品製造業者の立場で貴社の概要や取り組みをお聞かせください。

(サラダコスモ)
当社は、ラムネ屋で創業し、1980年に副業としていた「もやし事業」を主体にして事業を行っています。

当社は発芽野菜(もやし等)・カット野菜の製造・販売業者であり、年間の売上高は190億円(令和4年5月期)、年間約4億5千万パックを全国に出荷しています。国民一人当たり3パックを食べている計算になります。

また、FSSC22000(食品を安全に製造するためのシステム)認証を6工場で取得し、製造するもやしやカット野菜などの安全性を高めています。
有機農産物や機能性食品の販売やSDGs(持続可能な開発目標)にも力を入れて取り組んでいます。


(東海農政局)
国内の消費動向についてお聞かせください。

(サラダコスモ)
「ガイアの夜明け」というテレビ番組で当社が3回取り上げられています。
今の世間の関心が食品価格の高騰であることから、直近の放送では値上げをしない企業として取り上げられています。

ウクライナ情勢などの影響で食料の価格が上昇し、所得も上がらない昨今の国内状況では消費者は国産農産物が高価だと選択しなくなります。
当社は製品価格を上げずに国産野菜をお客さまにお届けすることで、食料安全保障に貢献したいと考えています。

(東海農政局)
確かに昨今、国際情勢や燃料費などの上昇により食料品の価格が大きく変動しています。

(サラダコスモ)
人件費や電気代、食料品などの多くが値上げされていますが、当社は消費者の懐具合を考え、企業努力を実施しながら消費者貢献を行いたいと考えています。

当社はスマート農業施設「養老生産センター」で、もやしとカット野菜の生産を行っていますが、省力化と自動化を進めて生産性を高めています。
また、太陽光パネルを設置し、電気代を節約しています。
卵ともやしは物価の優等生と言われてきましたが、値上げをしていないのはもやしだけになってしまいました。
利益率が下がっても価格を維持できるかどうかのネックは生産に係るコストであり、社員の給料は上げても、商品を値上げする前にできることがあります。

海外のことで一概に比較はできませんが、オランダの農業は生産性が高いため、農産物価格は日本より安いです。

養老センター

養老生産センター(岐阜県養老市)

(東海農政局)
日本は小規模面積の農家、家族経営の農家の比率が多いことから、難しい部分はあります。

(サラダコスモ)
日本の農業生産もスマート農業を活用すれば生産コストを削減でき、生産性を高めることができる可能性があります。
また、スマート農業を推進すれば、安い農産物を輸出できるようになる可能性があります。

わが社は、製品の値上げをせず価格据え置きでお客さまに野菜をお届けしたいと考えています。
企業として工夫・努力できる面はまだまだあります。

(東海農政局)
生産資材、電気代など生産に係る費用は全て値上がりしていますが、製品の値上げをしないとは大変なご努力をされていますね。
消費者目線で事業に取り組まれていることを心強く感じます。

~農業は挑戦し続けること…海外で有機大豆の種子生産への挑戦~

(東海農政局)
輸入依存度が高い資材はありますか。

(サラダコスモ)
もやしの種子購入代は生産コストの20%程度となっていて、当社は種子のほとんどを輸入しております。種子が値上がりすると生産コストが上がります。

5年前に種子を自社生産するため、アルゼンチンに7,700haの農地(山手線内側の面積1.2倍に相当、GPSを活用したスマート農業を導入し圃場は3人で管理)を取得し、有機の種子生産実現に向け取り組んでいます。

(東海農政局)
もやしの種子が手に入りにくいという話は聞いていましたので、種子の確保はリスク低減になりますね。
しかし大変な挑戦ですね。

(サラダコスモ)
アルゼンチンは、輪作さえすれば肥料が要らないほど肥沃な土地です。
また、害虫がいませんし、雑草さえコントロールできれば、有機の種子生産は可能です。

輸入の種子はF1品種(交配種)(注1)なので自力で増産することは困難ですが、日本の在来種は自家採取できます。
(注1)F1品種(交配種):一世代に限って安定して一定の収量が得られる品種 (種子採取には不適)

種子を海外に依存していると、自然災害などがあったときにコストが上がる要因になります。
海外の農地を取得し種子を確保することは、食料安全保障の上でも重要なことと考えています。

(東海農政局)
海外の農地取得については以前から議論があり、他国の農地を購入している国があるという話も聞いています。
海外の農場を持つ意味があるのであれば、アイデアとして承りたいです。

(サラダコスモ)
1農家が単独で数万haの効率的な農業経営を行っており、3万ha程度(名古屋市と同等の面積)の農地取得も可能です。
世界人口が100億人まで増加すると予想される中、食料増産にも目が向けられており、農地価格が値上がりしています。

(東海農政局)
日本政府としては海外の農地を購入していませんが、商社などの民間企業が農業事業に取り組んでいます。

~農業の元気、高齢者の元気、地域の元気~

(東海農政局)
現在の岐阜県中津川地域の農業の状況を教えてください。

(サラダコスモ)
人口減少、高齢化などで岐阜県の中津川地域でも農業従事者が減少し、耕作放棄地が増えています。担い手の確保が急務です。

私は地域の一農業者として、地域農業を発展させていきたいと考えています。
しかし、地域の農業従事者の高齢化と減少によって、カット野菜の原料である野菜の確保が困難になるため、消費者が納得する値段、品質の商品をお届けできなくなる可能性のあることが心配事の一つです。

一方、社員の雇用については、もやし製造は3K(きつい、汚い、危険)と言われていますが、当社は外国人労働者には頼らず、地元の人など約1,000人(うち、正社員200人)を雇用し地域貢献をしています。また、会社として高齢者を積極的に雇用しています。


(東海農政局)
どのようにして人材を集めているのですか。

(サラダコスモ)
岐阜県中津川地域には中核工業団地があり、優秀な人材を集めるためには、地域の他の産業より高い給料と残業がない労働形態でないと求人をしてもわが社には来てもらえないです。
当社は、年中無休で工場などを稼働させているのでシフトを組んでいますが、給与と休暇だけでは人は集まってくれないので、社員には野菜作りの意義を考えてもらっています。

毎年正社員を10~20人採用していますが、入社する方は学歴や経歴の優秀な方が多いです。
また、ありがたいことに地元から多くの人が入社してくれます。

もやしやカット野菜の生産は、機械化や自動化するなどの工夫をして、意義深くお客さま評価の高い会社にしたいです。もやしの値上げはしませんが、社員に給料をしっかり払う必要があります。

(東海農政局)
良い商品を提供するためには社員の皆さんのやりがいは大切です。
これからも消費者に支持される商品を生産・販売してください。


(サラダコスモ)
当社では、6次産業化(注2)の取り組みとして、当社直営の「ちこり村」において農業の元気、高齢者の元気、地域の元気を旗印に、地元の農家が直接野菜を販売するマルシェ、農家手作り家庭料理レストラン「バーバーズダイニング」などを展開しています。
(注2) 6次産業化:農林漁業、加工業、小売業を一体的に取り組み、地域資源を活用した新たな付加価値を生み出す取り組み

また、地域の特産品(栗きんとん)の全国的なネームバリューに着目し、「栗きんとん生食パン」を製造したところ、好評を博しており地域の特色を生かすことが地域農業の活性化につながると思います。

(東海農政局)
農林水産省は6次産業化を推進しています。よろしくお願いします。


ハーバーズ 栗きんとん生食パン
ちこり村「バーバーズダイニング」のランチビュッフェ
平日 大人1,870円(税込)、土日祝 大人1,980円(税込)
  栗きんとん生食パン(ちこり村にて販売)
1斤1,800円(税込)

~やっぱり野菜に夢中~

(東海農政局)
将来の見通しなどをお聞かせください。

(サラダコスモ)
2050年には人口増加が原因で「世界的なタンパク質不足」が起きると予想され、大豆の需要が高まり農地価格と大豆価格の上昇が懸念されます。
今後、海外の土地取得と現地での大豆生産は、食料安全保障上でも重要です。

パラグアイの2,000haの米作農家は経理部門など含めて20人で生産しています。
4~5年前の話ですが、現地のコメ農家としてモミ玄米で25円/kg、玄米で30円/kgを割ったら赤字になるというくらいの経営構造です。つまり、生産コストは玄米30円/kg以下です。
アルゼンチンで行っている7,700haの大豆畑を3人で管理するような農業は日本ではできませんので、安い農産物は輸入し、付加価値(品質・鮮度・オーガニック等)のある農産物、農産加工品は海外に輸出することも考えないといけません。

広大なアルゼンチンの畑
広大なアルゼンチンの畑


海外の農場で生産した収益性の高い農作物(食用農産物より高値で取引される種子など)を第3国へ販売するビジネスモデルの構築を考えています。
その際は、国際的な課税ルールや、海外において日本式の生産方法で生産された農作物に対する、メイド“バイ”ジャパニーズ認証などの制度の支援が重要と考えています。

(東海農政局)
日本式の生産システムを海外に持って行っても、現在は日本産表示はできません。
大胆な発想で、1つのアイデアですね。純然たる日本のものとうまくタイアップできればいいのかと思います。

(サラダコスモ)
海外にはデリケートなものを運べる流通網がないので、甘くて柔らかいイチゴは流通できません。
日本の流通網は優秀で、夏でも劣化することなく運べますから、かつては冬の野菜だったもやしが今は一年中売れますし、日本は世界一もやしの消費量が多い国です。
日本の食料システムの「流通(品質保持した輸送などの優れた仕組み)」を、農産物とセットで輸出できないかと考えています。

もやしに関しては、生産性、合理化が進み世界の中でも先進業種であり、価格・品質がすばらしいので輸出も可能です。

(東海農政局)
将来の事業についてもいろいろお考えですね。

(サラダコスモ)
私自身も地域の農業者の一人として、収益をしっかりと上げて自立できる農業経営を行い、日本中の農家のお手本になるように尽力します。
世界一の野菜農家になれるよう挑戦していきます。
私はやっぱり野菜に夢中です。

(東海農政局)
これからも農業振興のためご協力お願いします。
本日は貴重なお話を頂きありがとうございました。

サラダコスモ社長 東海農政局長

対談日:令和5年5月19日
対談場所:株式会社サラダコスモ本社(岐阜県中津川市)

アンケートへのご協力をお願いします


アンケートは締め切りました。
ご協力ありがとうございました。

「株式会社サラダコスモ」Webサイトはこちらから

株式会社サラダコスモWebサイトはこちら
https://www.saladcosmo.co.jp//(外部リンク)

PDF版

令和5年度「株式会社サラダコスモ」における取り組み(PDF : 2,073KB)

お問合せ先

消費・安全部消費生活課

担当者:消費者対応班
代表:052-201-7271(内線2807)
ダイヤルイン:052-223-4651

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