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東海農政局

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第9回 椙山女学園 椙山泰生理事長との対談(令和4年10月28日)

東海農政局は、東海地域で活躍されている学識経験者や地域の活動者の方と対談を行い、その幅広い視点を皆さんにお伝えしています。
第9回は、椙山女学園理事長 椙山泰生氏にお話を伺いました。(対談日:令和4年10月28日)

理事長
椙山女学園理事長
椙山 泰生氏

     ~こんなお話をお聞きしました~

  • 日本人の料理に対する価値観
  • 理事長が見る、現代の若者の傾向
  • 新しい食品の普及はルールがカギ
  • 注目される「食」
  • 椙山女学園大学における食育推進
  • 学食における取り組みをご紹介します!

“日本人の料理に対する価値観”

部長

  (聞き手:島村 知亨
     消費・安全部長

(東海農政局)
料理に対する価値観についてお伺いします。日本は「食費を抑える」ことを重視している人が多く、「料理に関心があり、知識を身に付けたい」「自己実現につなげる」等のポジティブな考えを持つ人が欧米と比べて少ないというデータを見たことがあるのですが、そのことについて、どう思われますか。

(椙山理事長)
もし料理にポジティブな考えを持つ日本人が少ないとしたら、なぜテレビ番組やYouTubeであんなにも料理をテーマにしたものが多いのかと思ってしまいますね。それらの番組を見て料理を学ぶ人は増えていると思うんです。

(東海農政局)
日本の料理番組の質は高まっていますし、そこから料理を学ぶ人は確かに増えていると感じます。
私が見たデータで、料理に対してポジティブな考えを持つ日本人が少ないという結果になったのは、それらの料理番組から得た情報を知識として捉えている人が少ないからかもしれませんね。 

“理事長が見る、現代の若者の傾向”

(東海農政局)
理事長から見て、若者のSDGsや環境問題についての意識はどうなっていると考えていますか。

(椙山理事長)
思ったよりも、若者のSDGsや環境問題についての意識が高まっていると感じています。そのような話題は教育の現場で取り上げられやすく、その中で食の話もされています。本学で開催している「ビジネスプランコンテスト」というイベントでよく出てくるプランの一つが「食品ロスをどうするか」というものであり、やはりSDGsや環境問題は若い子たちの目に留まる問題なのだと思います。
むしろ、栄養バランスや食への興味など、食育分野の話題の方があまり浸透していないのでは、と思います。そういったものだけにフォーカスを当てるという時代は変わっていくかもしれません。

(東海農政局)
時代の移り変わりと言えば、現在若い世代はインターネットやSNSで情報収集をすることが主流となってきていますが、その流れを理事長も感じておられますか。

(椙山理事長)
若い子がテレビを見なくなっている、と感じます。京都大学勤務時代、ゼミの学生20名程度に、当時流行っていたテレビドラマの内容に絡めて経営教育の話をしようとしましたが、そもそもそのドラマを見ている学生が一人もいなかったという出来事がありました。

“新しい食品の普及はルールがカギ”

(東海農政局)
最近は培養肉など新しい食品も多く出ていますが、規制や法制度が課題になるといったこともあるのでしょうか。

(椙山理事長)
法制度や規制が障害になることはやはりあります。個人的に関わりのあった「リージョナルフィッシュ株式会社」というベンチャー企業があるのですが、ここはゲノム編集技術を使って、通常の4倍の生産性(通常の半分の期間で倍の大きさになる)でフグを養殖しています。 
このようなゲノム編集技術が使われた商品は、「食べてもいい」かどうかの消費者における合意形成と、厚生労働省の安全性審査に通るという2種類の課題を克服しないといけません。

(東海農政局)
安全性を確保するために必要な措置ですが、簡単な問題ではないですよね。

(椙山理事長)
規制については、国際的な協調も課題です。ヨーロッパはグローバルな規格の策定等では力が強いですしね。安全面への配慮はもちろん重要ですが、新しい技術を活用できるように、国際的な合意形成を進めることも必要です。

“注目される「食」”

(椙山理事長)
経営の大学院などで新規事業創造の授業でグループワークをさせると、食に関連するビジネスの提案が結構多く出てきます。例えば、食事の前に食べ物の写真を撮り、AIにその内容を解析させる、分析した結果に基づいて自分がどれだけ食べたのか概算を出していくといった提案がありました。

(東海農政局)
実際にそういうことをしている企業もありますよね。

(椙山理事長)
京都大学発の「株式会社エクサウィザーズ」という元DeNA会長の春田真さんが会長をされているAIの会社があるのですが、この会社が走り出したころ、たまたま私が大学でベンチャーの支援活動をしておりました。彼らは、京都大学のAI技術を持っている人たちの知見を産業で応用していくことを考えており、初めは食に近い分野、農産物に関する事業を検討したりしていました。

(東海農政局)
「食」はビジネス的にも期待されている分野なのですね。

“椙山女学園大学における食育推進”

(椙山理事長)
本学は、名古屋地域の家庭科教員や管理栄養士の輩出の歴史がかなり長く、地域とのつながりが深い大学です。戦前の愛知県における家庭科教員のほとんどは本学の卒業生だと思います。

(東海農政局)
椙山女学園大学の学生さんは、地域において極めて重要な役割を果たしているのですね。

(椙山理事長)
そうですね。ただ、そこにとどまって食育の話をしていると「バランスの良いものを食べましょう」などといった話題に終始してしまい、サプライチェーンやフードテックなどを考える段階にはいけないと思うんです。

(東海農政局)
では、食育という分野について、椙山女学園大学での今後の展望はありますか。

(椙山理事長)
これまで、本学における食育推進は、管理栄養学科に絞られていたと思いますが、視野を広げて考えると、現代マネジメントや教育、看護等の学部も関係すると思うんです。そこを含め、食に関する学問領域の横断的な研究と教育がつながる方向で食育を考えていきたいと思っています。
今は、新しい情報技術を活かしたらどうなるか、バイオテクノロジーを入れたら生産がどう変わるかなどを研究する先生は少ないですが、将来はそのような活動ができるように進めたいと思っています。

      
理事長と部長
令和4年10月28日   椙山女学園大学にて



              学校法人椙山女学園   理事長
              椙山   泰生(すぎやま   やすお)氏

              プロフィール〈インタビュー時〉
              〈学位〉東京大学博士(経済学)
              〈役職〉学校法人椙山女学園   理事長
              椙山女学園大学   現代マネジメント学部   教授
              京都大学名誉教授

“学食における取り組みをご紹介します!

(東海農政局)
学食の入口に「メニューカード」として、メニュー名、写真、価格、総エネルギー、塩分量、野菜量、食事バランスガイドなどの栄養情報が掲示されていました!
ここまで細かく書いているメニューは、飲食店にもなかなかないですし、すばらしい取り組みですね。

ごはん 麺
定食、カレー、丼メニュー メニューカード拡大版(塩ラーメン)

(東海農政局)
学生が1日に必要なエネルギー・栄養素・野菜の約3分の1量をとることができる「ヘルシーメニュー」やお手頃価格で栄養バランスのとれる「日替わりランチ」もありました。

スマートミール 日替わりメニュー
ヘルシーメニュー
(10月28日:ヘルシー 彩りナムルの焼肉丼)
日替わりランチメニュー
(10月28日:豚玉とじ丼)


 (東海農政局)
食堂内ポップやトレーにも食事バランスなど食に関する情報が書いてあり、食事をしながら、改めて自分の健康や栄養について学ぶことができる環境となっていました。
このような少しの意識が、行動変容につながるのかもしれませんね。

ポップ① ポップ② トレー
食堂内ポップ(1) 食堂内ポップ(2) トレー


 (東海農政局)
取材班では、「とろとろカツ丼」やヘルシーメニューである「ヘルシー 彩りナムルの焼肉丼」をいただきました!とっても美味しかったです。

カツ丼 ヘルシーメニュー
とろとろカツ丼 ヘルシー 彩りナムルの焼肉丼

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お問合せ先

消費・安全部消費生活課

担当者:消費者対応班
代表:052-201-7271(内線2807)
ダイヤルイン:052-223-4651

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