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東海農政局

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令和5年度「東三河フードバレー構想」における取り組み

東三河フードバレー構想を創設した中部ガス不動産株式会社にお話しを伺いました。(取材日:令和5年5月26日)

東三河フードバレー構想

食と食文化の創造者が集い

農の伝統と新たなアイデアが融合し

イノベーションで地域を活性化



中部ガス不動産株式会社 赤間社長 河合果樹園 河合代表 ホテルアークリッシュ豊橋 今里総料理長
(聞き手)東海農政局
消費・安全部
部長  島村知亨
中部ガス不動産株式会社
代表取締役社長
赤間慎吾  氏

河合果樹園
代表
河合浩樹  氏

ホテルアークリッシュ豊橋
取締役  総料理長
今里  武  氏
















~こんな話を聞きました~

~東三河フードバレー構想とその原点~

(東海農政局)
東海農政局は、食に関わる有識者の方などにお話を伺い、
意見交換の中でお聞きした幅広い知識・情報を「TOKAI ミニコミ」としてまとめて発信しています。
東三河フードバレー構想とはどういう取り組みなのでしょうか。

(中部ガス)
東三河フードバレー構想とは、愛知県東部の玄関口を担う豊橋駅のemCAMPUSを中心とした「食を軸とした地域の活性化」を目的とした取り組みで、次世代を担うフードクリエイターの発掘・育成を行っています。

(東海農政局)
フードクリエイターとはどういう人なのでしょうか。

(中部ガス)
東三河フードバレー構想で定義するフードクリエイターとは、食や食文化への貢献を通して、地域活性化等の社会課題に取り組む人のことです。

古い話ですが、例えば初期のフードクリエイターとして、愛知県豊橋市三河沿岸に位置する神野(じんの)新田を開拓した神野金之助と近藤寿市郎という偉人が居ました。
明治26年、災害で壊滅した地を神野金之助が買い取り、長い年月と巨額の費用を投じて、牟呂用水の修築と神野新田の開拓に成功しました。
その後、干害を解決すべく近藤寿市郎により豊川用水(農業用水)が構想されました。

このような先人の努力により、東三河地域は日本トップクラスの農業生産地となり、生産される農産物の種類は70種以上、国内の生産シェア第1位の品目がキャベツ・大葉等、市町村別の農業生産額でも田原市が度々全国1位となっています。
そして、現在活躍中のフードクリエイターとして東三河の食文化に貢献している生産者・料理人・プロデューサーなどに続く「次世代フードクリエイター」を発掘・育成していこうと考えています。

~交流の拠点「emCAMPUS」(エムキャンパス)~

(東海農政局)
フードクリエイター発掘・育成拠点であるemCAMPUSではどのような活動が行われているのでしょうか。

(中部ガス)
emCAMPUSは広場・FOOD・オフィス・住居・図書館がコラボしている豊橋駅前の拠点施設であり、フードクリエイターたちが生み出す新しいもの、ここにしかないものの発信や、学びも含めた交流の拠点として、さまざまな活動を行っています。

例えば、東三河の多種多様な素晴らしい食材を作る生産者と地元の名店など、お互いの商品を知りたいと思っています。
しかし、知り合う機会がないので、豊橋の生産者と飲食店のマッチング会を行いました。


マッチング会風景

(東海農政局)
生産と消費の間には距離があるので、接点が生まれにくい現状がありますね。

(中部ガス)
そうなんです。
個性豊かな農家が持つ独自のノウハウがありながら、飲食店とコミュニケーションを取る機会がなかったのですが、昨年(令和4年度)豊橋市と共に行ったこの事業により、多数の新メニュー開発が行われ、今年度も7月31日にマッチング会を開催します。

マッチング交流会で地元農家×地元飲食店が出会い生まれた新メニューは、期間限定でemCAMPUS1階のフードホールで提供され、好評を博しました。


ふぐ日本料理大村屋×河合果樹園による
「ふぐ皮とおこわの春巻」950円税込

(中部ガス)
今回は豊橋市内の生産者・飲食店とのマッチングでしたが、今後は東三河全体に対象を広げたいと思っています。

emCAMPUS1階には、フードホールの他にマルシェもあり、ホテルアークリッシュ豊橋の今里料理長から紹介してもらいたいと思います。

(ホテルアークリッシュ豊橋)
ホテルアークリッシュ豊橋の今里です。
emCAMPUS1階のマルシェでは、生産者の顔が見える良質な農畜産物を購入できます。
一般のお客様も、試しに使ってみたい飲食店も、1個からご購入していただくことができます。


「フルーツかぶ」150円税込

(ホテルアークリッシュ豊橋)
フードホールでは「Farmers Collection」というイベントもあります。
こちらは、こだわりの農産物を、生産者がおすすめする食べ方で作られた料理で、生産者とお話ししながら味わっていただけるイベントです。
ぜんざいとレモンの組み合わせなど、食材の意外な組み合わせに驚きのおいしさがある人気のイベントになっています。


(東海農政局)
生産者の方々と語り合いながらのランチイベントにより、生産者が消費を視野に入れて生産することができる効果がありそうですね。

(ホテルアークリッシュ豊橋)
大人向けの企画だけではなく、親子を対象とした食育イベントも実施しています。
料理をすると原材料に興味を持っていただけるので、子ども達に鶏や豚をさばくところを見て料理をしてもらい、命を頂くとはどういうことかを学んでもらいました。
おかげさまで、すぐに満席になる人気のイベントになっています。


親子料理教室の風景

(東海農政局)
未来のフードクリエイターを育成されているのですね。

(ホテルアークリッシュ豊橋)
また、7月10日納豆の日に豊橋市公会堂で小泉武夫氏(東京農業大学名誉教授、NPO法人発酵文化推進機構理事長)を招いて「発酵の力」についてのイベントも開催されます。
私も「カラダ喜ぶ発酵トーク」にゲストとして参加します。

フードホールで提供するメニューは、emCAMPUS FOODの高木シェフと私が監修をして、三河の農畜水の食材をふんだんに使ったこだわりのメニューです。

(東海農政局)
お昼に頂きましたが、三河の食材がぎっしりつまった美味しいご飯でした。
メニューだけではなく、お皿等もすべて二人のシェフでプロデュースされているとか。emCAMPUSにかける意気込みが感じられます。


emCAMPUS FOODで提供されているメニュー
「渥美プレミアムラスサーモンの塩麴焼き」1,700円税込


emCAMPUS FOODの月替わりメニュー(2023.5)
「三州豚の新・三河トンテキ定食」1,300円税込


(東海農政局)
emCAMPASにはマルシェとフードホールの他に、さまざまな施設が入っていると聞きました。

(中部ガス)
はい。
1階のマルシェ、フードホールの他に、5階には豊橋技術科学大学のサテライトオフィス、「まなびプログラム」、「チャレンジ支援」、「貸会議室」のサービスを展開するemCAMPUS  STUDIOも入っています。

emCAMPUS  STUDIOにおいて、チャレンジ支援としてこの地域の元気な暮らしにつながる事業創造の支援に取り組んでいます。
スタートアップやイノベーションを起こそうというマインドを持ったみなさんの「枠を超える」チャレンジを支援しています。

(東海農政局)
スタートアップ支援は大切ですね。大学との連携もあるのでしょうか。

(中部ガス)
産学連携セミナーとして、豊橋技術科学大学と連携し、社会課題解決に向けた取り組みを開催しています。
昨年(令和4年)12月には、スマート農業の可能性と題して、高い生産性を実現する手法についてご紹介いただきました。


産学連携セミナーでの講義風景

(東海農政局)
農業においても、 ITスキルが欠かせないものになってきているので、需要のありそうな講義ですね。

(中部ガス)
豊橋技術科学大学の他にも、愛知大学との共同企画として、農漁業の生産者など事業者から直に学び、地場食材の魅力を掘り起こし、商品企画やPRにも挑んでもらいました。
学生さんの若い視点を生かして、事業者と消費者が一体となって魅力を発信する第一歩になってほしいと期待しています。

(東海農政局)
次世代を育成するのにふさわしい実践的な学びですね。

(中部ガス)
人材の発掘と育成を支援するとともに、東三河をフードクリエイターの聖地としてのブランド構築、ひいては持続可能な地域社会の実現を目指しています。


emCAMPUS(エムキャンパス)

~新しい付加価値を創造する屋上農園~


(東海農政局)
emCAMPUSの屋上には農園もあると聞きました。

(中部ガス)
はい。emCAMPUSの屋上には農園があり、普段は一般の方は入れませんが、見学ツアーが開催されることもあります。
屋上農園については、河合果樹園代表の河合代表から紹介してもらいたいと思います。

(河合果樹園)
河合果樹園の河合です。
農薬を使わずレモンを栽培しており、「豊橋百儂人(とよはしひゃくのうじん)」という団体に所属しています。

私が栽培しているレモンは、青い時期と収穫適期、完熟期では扱い方が異なるのですが、収穫のタイミングや調理方法をホールスタッフと共有することができます。
収穫はホールスタッフが行い、フードホールで提供されます。

屋上にある農園には、プランターに植えられた農産物があり、生産者が管理を行います。
農産物の特色、収穫時期や利用方法などを実際に見てもらい、説明して初めて伝わる情報を、遠方の畑まで行かなくてもemCAMPUSの屋上で料理人と共有することができる、「農産物情報発信の場」になっています。


屋上農園で食材の説明をする河合果樹園代表

(東海農政局)
生産者しか知らなかった情報を共有することで新しい価値を生み出しているのですね。

(河合果樹園)
料理に使った感想や食べた人の感想をスタッフからもらうことで、さらに商品を向上させることができます。


「ノビル」の画像
(通常は根を食べるが
実もスパイスとしてフードホールに提供している)


(東海農政局)
豊橋百儂人について、教えてください。

(河合果樹園)
豊橋百儂人は、農業を通じて人と繋がり、地元の貴重な食文化を守る団体です。
百儂人の名前は、100種におよぶ農産物が生産されていることに由来します。

豊橋は歴史ある農業地帯ですが、豊橋地域でも人口減少や高齢化、耕作放棄地が増加しているので、百儂人として食と農の文化を守り、今の時代に即した新しい「食文化」が必要だと考え、「真」の農業経営者となるべく切磋琢磨する生産者を「豊橋百儂人」と認定し、応援者の皆様と共に、生産者、消費者が一体となった活動を目指しています。

百儂人としての評価・認定基準は185項目以上もあり、認定された後も一部から三部に区分されることで、積極的な自己研鑽を促し、個々のブランドを高め、豊橋の農業を活性化しています。

(東海農政局)
食文化を守り、発展させる活動もされているんですね。

~お互いを高めて生まれるクリエイター~

(東海農政局)
今後の展望についてお聞かせください。

(中部ガス)
新規就農支援として、座学・実技をセットにしたシェアハウスの設置を検討しています。女性も含め、やる気のある人材に来てもらいたいです。

(東海農政局)
ネットワークを形成し、お互いに切磋琢磨し合うことができる環境ですね。

(中部ガス)
また、今後は生産者・飲食店とのマッチングをFOODEX JAPAN(食品・飲料展示会)のような「食の大商談会」に成長させることを目指しています。現在の活動を持続可能な開発目標に沿ったものへとアップデートすることで、SDGsによりもたらされる市場の機会を活かし、フードクリエイターの聖地として東三河の持続可能な成長につなげたいと思っています。

意欲のある人と人とのつながりが意識変革を促すので、人脈やネットワークをうまく繋ぎ、お互いが刺激を受け、切磋琢磨することで次世代を担うフードクリエイターが創出されると考えています。

(東海農政局)
就農支援も重要ですし、就農後の継続のためにも、向上心を刺激する仕組みは有効だと思います。
本日は、貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。


東三河の食の発信拠点~FOOD FOREST~

対談日:令和5年5月26日
対談場所:emCAMPUS(愛知県豊橋市)

アンケートへのご協力をお願いします

アンケートは締め切りました。
ご協力ありがとうございました。

「東三河フードバレー構想」を紹介しているデジタルエムキャンパスのサイトはこちらから


デジタルエムキャンパス
https://digital-em-campus.jp/(外部リンク)

PDF版

令和5年度「東三河フードバレー構想」における取り組み(PDF : 1,824KB)

お問合せ先

消費・安全部消費生活課

担当者:消費者対応班
代表:052-201-7271(内線2807)
ダイヤルイン:052-223-4651

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