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北陸農政局

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石川県立大学の学生を対象にフィールド体験実習を実施しました!

9月15日、河北潟周辺農地防災事業所は、石川県立大学生物資源環境学部環境科学科第1学年の学生20名を対象に、河北潟干拓地及び河北潟沿岸地域におけるフィールド体験実習を実施しました。
本実習は令和2年度から継続的に実施しており、今年度で3回目を迎え、環境と調和した農業基盤や社会基盤の整備について学ぶ学生にとって、フィールドを間近で体験する貴重な機会として好評を得ています。
今回の実習では、津幡排水機場の操作室やポンプ室、河北潟干拓地のれんこんほ場、(株)河北潟ゆうきの里、酪農団地、河北潟放水路防潮水門、河北潟幹線排水路改修工事現場及び潟端南排水機場建設工事現場を終日かけて見学しました。

津幡排水機場




津幡排水機場には、石川県県央農林総合事務所の河北潟基幹施設管理所が併設されており、河北潟干拓地内の4排水機場及び河北潟放水路防潮水門を24時間体制で管理しています。
実際に管理室やポンプ室を見学することで、干拓地という特殊な地形における排水機場や防潮水門の重要な役割について理解を深めていただけた様子でした。


津幡排水機場操作室

河北潟干拓地 れんこんほ場




JA金沢市加賀れんこん部会の北部会長より、加賀野菜ブランドや加賀れんこんの栽培、収穫方法等について、実際のほ場を目の前にしながら説明していただきました。
れんこんの蓮台や大きな葉を初めて見た学生もおり、部分ごとにおすすめの食べ方のほか、規格外のれんこんを活用した商品化の取組などについても活発な質疑応答が交わされました。


れんこんほ場

(株)河北潟ゆうきの里及び酪農団地

(株)河北潟ゆうきの里では、河北潟酪農団地から毎日約100tの牛ふん尿を回収し、複数の工程を経て処理することで、牛ふん堆肥を製造・販売しています。
これにより、干拓地で発生したふん尿から製造した堆肥を使用して牧草を栽培し、牛の餌とする資源が循環する仕組になっています。
学生たちは、処理施設とともに酪農団地の牛舎を見学することで、干拓地内における資源循環について理解を深めている様子でした。


河北潟ゆうきの里 堆肥舎の見学

酪農団地 牛舎の見学

河北潟幹線排水路改修工事現場

河北潟幹線排水路の改修工事現場では、改修の目的や方法、施工における課題と対処法について事業所から説明した後、施工業者からICT施工による法面整形や河床掘削等について説明を受けました。
まだ、ICT施工という言葉になじみがない学生も多く、難しかったかもしれませんが、熱心に説明を聞きメモを取る姿が印象的でした。

潟端南排水機場建設工事現場

潟端南排水機場の工事現場では、既に完成している樋管の上に立ち、周辺地域や河北潟を見渡しながら、事業所職員による洪水被害の軽減対策等に関する説明の後、現在の施工状況等について施工業者から説明を受けました。
「なぜ、高額な予算を使って改修する必要があるのか」、「もし、潟端南排水機場が無かった場合、周辺地域はどのような状況なのか」などの質問がありました。
都市化の進展による農地の減少により降雨が地下浸透できず表面流出量が増加している状況と、周辺に住宅が多い潟端南排水機場を改修し排水能力を増強することの重要性についてより具体的にイメージしていただけた様子でした。


幹線排水路改修工事のICT施工について学ぶ

潟端南排水機場建設工事現場にて

学生からの感想

学生から以下のような感想が寄せられました。

  • 事前にビデオを見たときや排水機場で最初の説明を聞いていたときは、常に水を排出し続けなければならないという不安定な環境をどうしてこんなに苦労して続けるのだろうという疑問があった。
    しかし河北潟内の各地を回ったり関係者の方のお話を聞いたりするとその理由が分かってきた。
    もうすでに河北潟内で農業を営んだり畜産を営んだりと土地に根付いた生活を送っている方がいること。
    そして河北潟内外への食糧の供給や、自然の保存という観点からも河北潟の保持は非常に重要であることを感じられた。

  • 河北潟に排水機場がなぜ必要なのか、なぜ酪農の場が農地の近くにあるのか、そしてなぜ河北潟の事業を進める必要があるのかを深く知ることができた。
    また先輩方が多くこれらの関係の仕事につき活躍しているのを見て、自分の進路について深く考えてみようとすることができた。
    この研修を通して得られたことを生かしてこれからの大学生活を送り、自分の進路に生かしていきたい。

  • 今回の実習で河北潟の存在を初めて知り、しくみや役割を学び、現状やこれからについて考えることができた。
    津幡排水機場を見学し、防災事業概要の説明を受けたときは「干拓地を守るためには様々な設備や莫大な費用が必要で、これからずっと守っていくのは大変だ」という印象であった。
    しかし、レンコン圃場や酪農団地、ゆうきの里などを見学する内に「干拓地は価値ある場所で、大雨や地震などに負けない河北潟を作っていくことはとても重要である」と考えるようになった。
    また、いくつかの工事現場を見学して、河北潟をよりよくしようとたくさんの人が動いている現状に圧倒された。
    特色ある河北潟について詳しく知ることができたうえ、工事現場での仕事やICT施工の様子を見学することができ、充実した実習となった。

  • 女性職員の活躍も増えてきているという話を現場の方から直接聞くことができて安心した。
    環境科学科に入学したものの、この分野を学んで将来職に就いたとき、女性として活躍できるのだろうかといった不安が少しあった。
    しかし、今回の実習で直接このような話を聞けたので、安心して将来について考えていけるようになった。
    公務員になるという選択も視野に入れていきたい。
    このように、今回の実習を通じて、自分の将来について深く考えることができた。非常に有意義な時間を過ごせたと思う。

おわりに

今回の実習で実際に現場の空気に触れ、自分の目で見て感じたことが、これから農業農村工学を学んでいく学生の心に残り、将来の進路を決める際のきっかけや糧となり得ることを願います。
今後も、大学や関係機関と連携したこのような取組を通し、国営総合農地防災事業への理解を深めてもらうとともに、未来の農業農村を支える技術者育成の一助となるような活動を継続していきます。

お問合せ先

河北潟周辺農地防災事業所

〒920-0292 石川県河北郡内灘町字大学1丁目2番地1 内灘町役場内6階
電話:076-282-9640(代表)