石川県立大学の学生を対象にフィールド体験実習を実施しました!
令和5年9月13日、河北潟周辺農地防災事業所は、石川県立大学生物資源環境学部環境科学科の1年生23名を対象に、河北潟干拓地及び河北潟沿岸地域におけるフィールド体験実習を実施しました。
令和2年度から継続的に実施している本実習は今年度で4回目を迎え、環境と調和した農業基盤や社会基盤の整備について学んでいく学生にとって、フィールドを間近で経験する貴重な機会として好評を得ています。
今回の実習では、津幡排水機場の操作室やポンプ室、河北潟干拓地のれんこんほ場、(株)河北潟ゆうきの里及び酪農団地、工事実施中の潟端南排水機場、河北潟幹線排水路、河北潟放水路防潮水門を終日かけて見学しました。
津幡排水機場
津幡排水機場には、石川県県央農林総合事務所の河北潟基幹施設管理所が併設されており、河北潟干拓地内の4排水機場及び河北潟放水路防潮水門を24時間体制で管理しています。 はじめに、津幡排水機場の屋上で河北潟干拓の歴史や農業の特徴、事業の必要性、事業概要を説明しました。 その後、ポンプ室と操作室を見学し、ポンプの仕組みや干拓地内の排水方法について説明しました。学生は干拓地という特殊な地形における排水機場や防潮水門の重要な役割について理解を深めている様子でした。 ![]() 津端排水機場屋上 事業概要の説明 ![]() 操作室 排水施設管理の説明 |
河北潟干拓地 れんこんほ場
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![]() れんこんほ場 栽培・収穫方法の説明 |
(株)河北潟ゆうきの里及び酪農団地
(株)河北潟ゆうきの里では、河北潟酪農団地から毎日約100tの牛ふん尿を回収し、脱水処理等でリサイクルした牛ふん堆肥を製造・販売しています。
牛ふん尿が運搬されてから堆肥が製造される過程や、製造過程で脱水された水分の浄化処理の行程を見学しました。
酪農団地では、(株)河北潟ゆうきの里で製造された牛ふん堆肥を施肥した牧草地を見学し、その後、その牧草を餌として牛を飼育する牛舎を見学しました。
干拓地で発生したふん尿から製造された堆肥を使用して牧草を栽培し、牛の餌とする一連の流れを見学した学生は、干拓地内の資源循環について理解を深めている様子でした。

河北潟ゆうきの里 浄化処理施設の見学

酪農団地 牧草地の見学
工事現場の見学
潟端南排水機場の工事現場では、排水機場の役割や近年の豪雨における農地の湛水被害について説明し、排水機場を改修する目的について理解を深めている様子でした。
河北潟幹線排水路の工事現場では、幹線排水路の役割や改修の目的について説明しました。また、幹線排水路における環境との調和への配慮として、保全対象植物「ヨシ」の保全を目的とした試験施工の概要、環境配慮の基本的な考え方について説明しました。
河北潟放水路防潮水門の工事現場では、防潮水門の役割や改修の目的、工事概要について説明しました。また、河北潟放水路防潮水門における環境との調和への配慮として、地域の小学生と共に工事範囲に生育するハマナスを工事の影響が無い範囲へ移植した環境配慮イベントについて紹介しました。
説明を受けた学生は、排水施設の改修工事の重要性とともに、環境配慮対策についても理解を深めている様子でした。

河北潟幹線排水路 環境配慮対策

河北潟放水路防潮水門 工事概要の説明
学生からの感想
- 今回の環境科学フィールド体験実習を振り返り、今まで中々深く知る機会がなかった施設について、その活動内容を学べたことで、非常に有意義な時間を過ごすことができた。様々な施設で実際に働く人の話を伺うことにより、将来自分がどのような活動をするのかにあたって、その選択の幅を広げることに繋がった。今後も、自分自身の視野や選択の幅を広げていくために、自ら積極的に実習などの様々な活動に参加し、そこから多くの知識を得ることで理解を深めていけるよう精進していきたい。
- 今回の学習によって、私が思っていた以上に現在各会社でも多くの環境問題に対しての取り組みが行われていることが分かった。身近な河北潟で生じている問題について詳しく知ることができ、一つの工事を行うことにも莫大な費用が必要であることも分かった。河北潟のように自然の力で排水ができない地域での対策はこれからも異常気象が進むにつれ考えていかなければならないと感じた。
- 私は、今回初めて河北潟について触れたが、河北潟で行われていることが周辺住民だけではなく、県内に住む人々にとっても重要な役割を担っているということが分かった。また特に大きな気づきとなったことは「周りに住む人が過ごしやすいように」、「周辺住民の皆さんのために」といった言葉がどの現場であっても耳にしたということだ。全体を通して各所に住みやすく、安心感を覚えるような工夫が現在進行形でなされていることに感銘を受けた。工事内容の説明の中で何度も安心して住めるようにといった言葉が出てきたことが印象に残っていた。説明をしてくださった農政局の方がどのような仕事をしているのかが今回の実習でかなり興味を持った事柄の1つとなった。
- 市民参加型の河北潟の生物調査など、地域の住民に親しみを持ってもらう取り組みを様々企画して環境問題に関心を持ってもらうイベントの企画立案も農政局の仕事の内ということが改めて分かった。環境保護の大切さを重んじるなどの価値観形成は幼い内の体験などから育まれるため、実体験を農政局のような現場の方々が機会を設けることはとても重要だと思った。
おわりに
本実習で実際に現場の空気に触れ、自分の目で感じたことが、これから農業農村工学を学んでいく学生の心に残り、将来の進路を決める際のきっかけとなれば幸いです。
河北潟周辺農地防災事業所では、今後も農業農村整備事業への理解を深めるための官学連携による取組を推進していきます。
お問合せ先
河北潟周辺農地防災事業所
〒920-0292 石川県河北郡内灘町字大学1丁目2番地1 内灘町役場内6階
電話:076-282-9640(代表)