消費者団体等と東海農政局との意見交換会(愛知県会場)(令和5年2月28日)
東海農政局は、消費者行政の着実な推進に向け、地域において活発な活動をされている団体等の皆さんと意見交換会を開催しました。
日時
令和5年2月28日(火曜日)13時00分から15時30分
場所
桜華会館(名古屋市中区三の丸一丁目7番2号)
出席団体等
愛知県生活協同組合連合会
公益社団法人愛知県栄養士会
愛知県食生活改善推進員協議会
名古屋オーガニック給食審議会
未来をつくる給食♡Foods for Children愛知
椙山女学園大学
名古屋学芸大学
オーガニックファーマーズ名古屋
愛知県 農業水産局 農政部 食育消費流通課
愛知県 県民文化局 県民生活部 県民生活課
愛知県 保健医療局 生活衛生部 生活衛生課
(順不同)
主な内容
(1)各団体の令和4年度の主な活動等について
<愛知県生活協同組合連合会>
現在、地域・職域・大学・医療・共済の36生協が加盟し活動。
連合会の活動としては、1)各生協の事業運営のサポート、2)特に地域生協への生活物資供給事業の斡旋活動、3)各生協の組合員が参加できるイベント等の開催などがあり、県下の組合員に対する生活の向上の一助になればという思いで活動している。
<公益社団法人愛知県栄養士会>
愛知県内の栄養士・管理栄養士で組織された職能団体で、平成24年に公益社団法人となっており、公益的な事業を中心に進めている。現在会員数は2,135名。
医療部会、学校健康教育部会、勤労者支援部会、研究・教育部会、公衆衛生部会、地域活動部会、福祉部会の七つの部会で構成されている。主に公益衛生に寄与する事業、栄養の指導、管理栄養士・栄養士の資質を高める研修に力を入れており、ひいては県民の栄養改善、あるいは健康寿命の延伸に寄与すると考えている。
<愛知県食生活改善推進員協議会>
全国には51の食生活改善推進員協議会があり、令和3年度で会員数は112,270人で、市町村数は1,283。愛知県は令和4年度で会員数825人、24市町村である。
食生活改善推進員は、約20時間の養成講座を受けて、推進委員として認められる。どこの市町村も前年に養成講座を行い、次の年から活動するという形をとっている。活動内容は、親子、高齢者世代、若者世代、働き世代などを対象とした調理実習を行い、料理教室を通して食育活動を行っている。
<名古屋オーガニック給食審議会>
ママエンジェルス(注)という消費者団体の一つのチーム。名古屋オーガニック給食審議会は2021年の5月に発足。目的は、名古屋市小学校給食のオーガニック化推進による地域活性や子供たちの味覚を育てる食育企画の実施、愛知県内の有機農業従事者・県内企業を応援することである。
全国のチームが目指している給食は、地産地消のオーガニック給食だが、名古屋市の現状としては、どうしても(食材を)国外や県外に頼らざるを得ない状況ということで「名古屋だからこそできること」として、大口の消費(学校給食)を確保することで近隣の生産地と連携し農家さんを支えることができるのではないか、と考えている。いろいろな方との場づくり、繋がりを通して進めていければと思って活動している。
(注)ママエンジェルスは、市民の立場から行政機関に対して、社会的課題を解決するために対話を行い、相互理解を図り、共同で課題を解決するための施策の実現を目指す、母親を中心とした消費者団体。会員数は全国で3,753名、活動チーム数は383。そのうち、「給食にオーガニックを」という目的で活動をしているのは、全国で47チーム。
<未来をつくる給食 Foods for Children愛知>
2019年11月に設立し、現在、実行委員が20名ほど。県内の各市町村で、三河地区に多いが、それぞれに活動している。
主な活動としては、オーガニック給食を通じて、環境にやさしい農業の推進を応援している。オーガニック給食のフォーラム開催や、有機農家との交流、農業体験、マルシェの企画・出店、学習会や講演活動、映画の上映会、オーガニック給食を求める署名活動も行っており、行政や地元の議員への働きかけなどを行っている。
毎年フォーラムを開催しており、第1回のフォーラムは2020年2月に安城市で、2021年は東郷町で、2022年は大府市で開催。2022年5月には、映画のサテライト上映会を県内12か所で行い、約200名が参加。先日、2023年2月11日に、今回で4回目のフォーラムを常滑市で行った。
<椙山女学園大学>
椙山女学園は1905年に開学し、椙山女学園大学としては1949年に開学した。現在7学部11学科4研究科を要している総合大学で、学生数は現在5,500名程度、愛知県内に2つのキャンパスがある。生活科学部は、開学当初は家政学部としてスタートして、名称変更となり、人間生活、衣食住に関する専門学術についての総合的かつ科学的な研究を進めている。
管理栄養学科では、保健、医療、福祉、教育及び食品関連分野の専門的かつ、創造的に活躍することができる管理栄養士の養成を目指しており、主に臨床福祉分野、食品産業分野、食育指導分野において活躍できるような人材を育成している。また、平成19年に学園の中に食育推進センターを設立して、食育に関する取り組みを進めている。
<名古屋学芸大学>
(参加いただいた教授の)専門は、食生態学を基礎にした栄養教育や食育。食生態学は、生活の質と環境の質のよりよい持続可能な共生を最終的な目標としており、そのためにどんな方法があるのか、どのような食事を食べたらよいのかを研究する学問。これはSDGsと繋がるが、SDGsが出る前から名古屋学芸大学食生態学研究室は、QOL(生活の質)とQOE(環境の質)の持続可能な共生を目指して研究を進めている。
この3年間は、コロナの影響で食育プログラムの開発をやれなかったため、大きく二つの柱(楽しい食事を実践するにはどうしたらいいのか、環境と健康を意識して食事をしていくにはどうしたらいいのか)で主に調査研究をやってきた。
<オーガニックファーマーズ名古屋>
オーガニックで新規就農した人たちが販売するためのマルシェを、2004年にオアシス21ではじめた。実家が農業以外の仕事でありながら、農業を志す人たちを支援するマルシェだ。
彼らが就農するときにやりたいと思うことの1つに、自分がつくった野菜をオーガニックの給食のために出荷して子どもたちに食べてもらいたいということがある。だから、オーガニックの給食が実現するよう願ってきた。
就農支援としては、相談を受けてその人に最もふさわしいと思う研修先に導く。研修を終えてすぐに農家として一本立ちできるわけではなく、研修を終えてからの方が困難なことが多いので、今後は就農後の支援をもっとしっかりやっていきたいと思っている。
<愛知県県民生活課>
愛知県の県民生活課は、消費生活に関する事業に取り組んでいる部署。今年度は「エシカル×あいち」のメンバー募集ということで、10月から一緒に活動していただける方を募集している。
加入資格は、愛知県内に事業所を有しており、エシカル消費に関する取り組みを実施している事業者、団体、学校など。加入のメリットは、愛知県県民生活課で作ったエシカル愛知のロゴマークのデータを提供するため、広報活動において使っていただけることと、愛知県県民生活課で開設しているエシカル消費ポータルサイトでメンバーの取り組みを掲載させていただくということ。ポータルサイトは、昨年12月の段階で11万7,000ほどアクセス数があり、そこで皆さんに紹介できるため、是非加入をご検討いただきたい。
(2)令和4年度の東海農政局の取り組みについて及び令和5年度に予定している東海農政局の取り組みについて
- 消費者の部屋について
<名古屋オーガニック給食審議会>
みどりの食料システム戦略の展示を拝見したことがあるが、とても素晴らしい展示だったので、ぜひ皆さんに来て欲しいと思った。ただ、一般人が入って良いのかと思ってしまうような入り難さをなんとなく感じたため、入って良いという分かりやすい表示があればうれしいと感じた。 - 「中高年男性でも一人で挑戦できる料理教室~男子も厨房に入ろう~」について
<愛知県食生活改善推進員協議会>
高齢化が進み、単身男性が増えるという社会に変わってくる中で、中高年男性を対象とした料理教室をされたということだが、令和5年度以降も継続していくのか。対象者は増える一方だと思う。自分で自分の食事を作るような世代の人たちが育つのは、ずっと後であるため、高齢者の方々を対象とした事業を継続的に積極的に行うのが良いのではないか。
(回答)今後の開催については、検討していきます。 - 食育全般について
<名古屋学芸大学>
食育に関心のある人はどんどん色々な情報が得られて、意識も変わり、行動もより良くなっていくと思うが、食育に無関心な人にどのように関心を持っていただくか、どうしていけば良いのかということについて、東海農政局からも、参加者の皆さんからも、お知恵をいただきたい。
<名古屋オーガニック給食審議会>
私たちの組織は子育て世代の30~40代が多いが、食に関心がある方はまだまだ少ないと思っている。そこは、キュンとするもの、華やか、目で訴える、格好良さなど、目を引くようなものから、広く浅く広げられるのではないかと思っている。
<椙山女学園大学>
若い世代にも、食育に関心があるという子たちはいると思う。
お示しいただいた資料によると、若い世代は経済的な部分を視点にしている。第3回食育さんぽでも、基本的には、食に興味があるだろうと思われる管理栄養士の養成課程の学生でも、経済的な観点が非常に強い。食を選択する際に、より安いものを選択する傾向がある。関心があるのと、行動ができるのとは全く異なる。 - 食育メールマガジンについて
<未来をつくる給食 Foods for Children愛知>
東海食育ネットワークに入会しているが、食育メールマガジンで、自分たちが主催するイベントの情報なども発信していただけるのか。
<東海農政局>
会員の場合、東海農政局のウェブサイトにある「会員向けお知らせ掲載依頼」の様式に記入して提出いただければメールマガジンへの掲載もホームページにも掲載も可能。 - 「はじめよう!サステナブルな食を学校給食から!~先進事例に学ぶ~」の開催について
<未来をつくる給食 Foods for Children愛知>
学校給食セミナーの開催というとても嬉しいセミナーの企画をしていただけてありがたい。資料に補助制度等ありますという記載があるが、これについて詳しく知りたい。
また、愛知県内でも学校給食に関する活動を行っているお母さんやお父さんたちがいるため、そういった方の活動報告の時間をいただけたら良いと思った。他にも、農業生産法人と一緒に有機米作りを勉強しながら情報発信していく取り組みを進めているところなので、ぜひそういったことについても、情報共有の時間を設けていただきたい。
<東海農政局>
補助制度について、学校給食の中で、食材として使うものに対する補助制度やコーディネーター派遣制度というものがあり、そのようなものに関する情報をこちらのセミナーの中で提供したいと考えている。
セミナーの内容については、今後どういったやり方で進めていくかも含めて検討させていただき、発表の機会など設けられれば、発表・情報共有したい。
<椙山女学園大学>
具体的に地場産物の使用として目標値がどれぐらいになるかを示すことが入口になると思う。具体的な目標値があるのかお聞きしたい。
<東海農政局>
第4次食育推進基本計画では、学校給食における地場産物を使用する割合は、金額ベースで、全国の47都道府県のうち、令和7年度に、令和元年度の現状値から維持・向上した都道府県の割合を90%以上にするという目標になっている。
国産食材を使用する割合も同じく、令和元年度から維持・向上した都道府県の割合を90%以上にするという目標になっている。
<椙山女学園大学>
金額ベースということは、現在材料費が上がっているため、国産を使えば確実に割合が上がるということになると思うが、そこは気にしないのか。
意地悪な言い方かもしれないが、どうしても国産の物価が高いため、金額ベースでやるとそうなると感じる。大学の学食でも、使いたくても高くて使えないところがある。そうすると、野菜を減らさざるを得ないということにもなるため、交付金なども上手に使いながらとは思うが、金額ベースだけでなく違う見方を入れていただけると良いと思う。
<オーガニックファーマーズ名古屋>
学食で使う食材費が高くなると、野菜を減らさざるを得ないという話があったが、これは肉ではなく野菜を減らすことになのか。
<椙山女学園大学>
学食を作っている給食の会社の方と話していると、とにかく野菜は高いと言う。学食のメニューは揚げ物が一番売れるらしく、それに付け合わせる野菜を増やせば増やすほど、利益が減る。
給食は安くて栄養価があって国産のものを使っていて、というのが理想的だと思うが、現実問題、非常に難しく、どこで折り合いをつけるかだと思う。肉の方が高いのではないかという意見もあるかもしれないが、現状、食堂ではそういうことがある。栄養士の方が中心になって献立の栄養価を見ているが、やはり原価を維持して利益をある程度出すというところでジレンマとして出ているため、非常に難しい問題だと思っている。
<未来をつくる給食 Foods for Children愛知>
今、ヴィーガンの方なども増えていて、肉ではなく大豆を使ったお肉的な料理も出てきているため、そういったもので単価を下げるなどの方法はないのか。フランスの給食ではヴィーガンの日があり、そこでコストが少し安くできているという情報もある。
私たちも、関心のない方にどう広げていくかという課題に現在ぶつかっており、学校や農政の方、教育の現場の方と手を組み、学校を使って発信することが広く一般の方に伝わっていく手段になるのではないかと思っている。
イベントをする際に、教育委員会の後援を取らせていただいていて、学校にもチラシを配らせていただいている。どれぐらい効果があるか分からないが、そういったところで目に触れるようなことを地道にやりたいと思うし、農政や教育の方と手をつないで、食農育を行うと広がりが増えるのではないかと思う。
(3)食料・農業・農村基本法検証について
<名古屋学芸大学>
ブランド化して輸出を促進するという考えもあるが、ブランド化すると単価が高くなり、国内消費での観点とは矛盾があるのではないか。食料安全保障の観点から、国内の消費が増えるような価格帯でより生産性を上げる取り組みも大切なのではないか。
フードバンクに集まってくる食材として、保存の問題などで生鮮食品はかなり厳しい。そのため、子ども食堂などでサラダなどの生野菜を出そうとすると、材料費が実費となり価格が高くなる。この点について、改善できることはないか。
備蓄の適切な運営について、米や小麦の説明が入っているが大豆がない。タンパク質の供給、日本の食文化的にも、大豆の備蓄を強化していくことは大切ではないか。
<未来をつくる給食 Foods for Children愛知>
肥料の国産化や飼料作物の国産化などの目標の説明があったように、現在は種子も外国産がほとんどだと思う。食料安全保障の観点から種子も国産で確保することを検討してほしい。
懇談会の模様





お問合せ先
消費・安全部消費生活課
担当者:消費者対応班
代表:052-201-7271(内線2807)
ダイヤルイン:052-223-4651