
3.新たな挑戦へ 【事業に至る経緯】
新たなる課題
農業インフラの老朽化
悲願の印旛沼開発事業から40年が経過し、当時整備された用排水機場や用水路は老朽化が進んでしまい、漏水事故が多発するなど施設の機能が大きく低下しました。また、地域の農業形態の変化から水の使い方が変化したため、水を集中して使う時期に用水不足が生じています。これらのことから、施設の維持管理に多大な経費を要しており、施設の管理者である農家の方々は非常に苦しい営農を余儀なくされています。
老朽化したインペラ

老朽化した管路
洪水被害の拡大
広大な田園地帯を掲げる印旛沼周辺の干拓地は、周辺の土地と比べ低いところにあるため、周辺流域の排水が流れ込んできます。そのような環境の中、近年は流域の市街化や宅地化が進み、地面がコンクリートやアスファルトで覆われたため、雨水が地下へ浸透しにくくなりました。そのまま地面を流れる水量が多くなったことで、集中豪雨時には急激に中央干拓地に排水が集中するようになりました。
また、集まった排水を印旛沼へ排出する機場は築40年以上が経過し、老朽化による機能低下が進んでいます。
これらのようなことから、大雨が降った時などに農地の洪水被害が生じやすくなっています。

中央干拓地の湛水

西沼ほ場の湛水
水質・水辺環境の悪化
近年の印旛沼周辺における急激な都市化に伴う家庭や工場からの排水により、印旛沼の水質は年々悪化しています。水質悪化の指標となるCODは環境基準(COD75%値:3mg/L)を大きく上回り、平成19年度には、全国で最も水質の悪い湖沼となってしまいました。また、印旛沼を取り囲む里山や谷津の環境が変容し、多くの在来動植物が減少・消滅する中で、ブラックバスやカミツキガメ、ナガエツルノゲイトウ等の外来種が侵入・繁殖する等、生態系も悪化しています。

外来植物のナガエツルノゲイトウは水面に繁茂し排水を流れにくくし、排水ポンプの運転を阻害するなど、地域の生活に大きな悪影響を与えます。
印旛沼地域農業の持続的発展のために
これらの課題に立ち向かうため、平成22年に「国営流域水質保全機能増進事業」がスタートしました。国営流域水質保全機能増進事業とは?
環境保全型農業等の推進をしている地域を含む一定の広がりを持つ流域などに対して、農業水利施設の更新に併せて、水質保全機能を増進するための農業用用排水施設を整備し、農業用水の水質保全を図ることで、農業経営の安定および近代化、流域の水質保全に繋げていく事業です。事業の内容
- 地区内の老朽化した用排水施設の改修整備を行うとともに、揚水機場の統廃合や水管理システムの導入により、農業利水管理の効率化を図ります。
- 排水施設の改修整備を行い、農地等の洪水被害の軽減を図ります。
- 循環かんがいを強化する農業水利システムを整備し、環境保全型農業等の推進とあいまって、農業生産による印旛沼への水質負荷を軽減し、印旛沼の水質保全に繋げます。
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目次
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お問合せ先
印旛沼二期農業水利事業所〒285-0016 千葉県佐倉市宮小路町28
電話番号: 043(483)4401 FAX番号: 043(483)4405