「職業としての農業」を知っていただくための出前授業を行っています
東海農政局は、学生の皆さんの職業選択に「農業」を加えてもらえるよう、「職業としての農業」を知っていただくための広報活動を行っています。
具体的には、農業高校や大学等において、農政局職員から農業界の現状や就農の方法・支援策などを説明し、また現場で活躍されている若手農業者などには仕事の内容、農業の魅力、農業への思いなどについて、ご講演をいただいています。
出前授業・出前講義や当局担当者の派遣などのご要望がありましたら、ぜひ以下の問合せ先までご連絡ください。 |
これまでの取り組みの概要は、以下のとおりです。
岐阜県立岐阜農林高校(令和7年6月20日)
岐阜県立岐阜農林高校(北方町)において、園芸科学科 1年生39名の高校生を対象に出前授業を実施しました。
当日は、東海農政局から「農業とはどんな仕事、農業の始め方」について説明した後、(株)細野ファームの細野晃大(ほその あきひろ)さんに、ご講演をいただきました。
「消費者が求めるものより一つ上のものを作ってきたい」と語る細野さんは、2016年に21歳で細野ファームを設立し、「トマトで少しの贅沢を」をキャッチフレーズに、トマトの生産だけでなく、トマトジュース等の加工、自社直売所の運営も行う6次産業化に取り組んでいます。
今回の講演では、「これからの農業生産」をテーマにお話しいただきました。
細野さんは、直売所でお客さまと触れ合う中で寄せられる声を生かし、時代とともに変化するお客さまの求めるトマトの生産を心がけています。
2019年に二棟目のハウスを建てたことを契機に、勘や経験ではなくデータに基づいた栽培方法に切り替えました。「トマトは単純な物理学でてきている」と、環境を制御し、再現性を持たせることで、ある程度計算できるのがトマト栽培の魅力だそうです。
講演の中盤、就農するときにトマトを選んだ理由について話す中で、細野さんは生徒へ次のような問いを投げかけました。
「トマトときゅうりはスーパーでの売られ方にどんな違いがあるでしょう。周りの人と話していいから考えてみて。後で発表してもらいます」
この問いをきっかけに、それまで静かに話を聞いていた教室が一気にざわめき、生徒同士の意見交換が始まりました。続いて、人口の減少とトマトを選んだ理由との関連もクイズにされ、生徒の関心をさらに引き付けました。
講演の終盤には、生徒から「育てているトマトが青いままなのはなぜ」、「暑い時期のトマト栽培はどう乗り越えるか」などの質問があり、また、細野さんからも「農業をやりたい人は具体的に何をしたいか」と何人かに問いかけるなど、単なる講演に留まらず双方向の授業になりました。
細野さんは、講演の締めくくりに、「食はすべての人に必要。それを作っている自負があり、精神的に満たされる。農業高校の皆さんは、ここで学んだ農業を誰かに何かしらの形で広めてほしい」とご自身の思いを伝えられました。
講演終了後、生徒達から細野さんへ感謝の気持ちを込めて、岐阜農林高校で栽培されたグロキシニアの花が贈られました。
生徒からは、「農業の良さを知ることができた」「たくさん農業について知ってみようと思った」「トマトのことで色々なことができて楽しそうだと思った」などの感想が寄せられました。
講演資料「HOSONOFARM」(1)(PDF : 1,176KB)
講演資料「HOSONOFARM」(2)(PDF : 1,404KB)
(株)細野ファームのフェンロー型ハウス、直売所およびトマトジュース
三重県立久居農林高校(令和7年2月7日)
三重県立久居農林高校(津市)において、植物コース 2年生17名の高校生を対象に出前授業を行いました。
初めに職業としての農業をイメージしやすいように、三重県が作成したYouTube動画「三重若者就農」シリーズの中から、三重県内の農業法人の動画を視聴してもらいました。
そして、東海農政局から「農業とはどんな仕事か」「職業にするためにはどのような準備が必要か」等について説明した後、ヒラク農園の牧谷拓(まきたに ひらく)さんから「ミニトマト生産者からみなさんへ~私の農業・農業への思い~」をテーマにご講演いただきました。
牧谷さんは同高校の卒業生で、三重県農業大学校で学んだ後、2008年に親元就農し、ミニトマトの生産に取り組まれています。2012年にハウスを建てたことを機に農業経営者として生きていこうと決めたそうです。最近では三重県トマトほ場共進会で5年以上連続して受賞されています。
牧谷さんは、農業の基本として「生産」に力を注ぐこと、知識から実践へ「再現」することの重要性を説明されました。また、ミニトマトの光合成がより多くなるようハウス内の環境制御に取り組んでいることを紹介され、「植物を育てることで人間も成長できるところが農業の魅力・やりがいである」と話されていました。最後に、これから進路を決める高校生に向けて、「自分の意志・気持ちを大事にするように」と伝えられていました。
講演後のアンケートでは、授業を受けた高校生から「農業生産だけでなく、農業経営の面でも農業を知ることができ、「農業」に関心を持つことができた。」、「農業は機械化されていて、楽に農業をすることが可能なことが分かり、進路で農業に就くことへの思いが少し高まった。」などの感想が寄せられました。
講演資料「ミニトマト生産者からみなさんへ~私の農業・農業への思い~」(1)(PDF : 1,671KB)
講演資料「ミニトマト生産者からみなさんへ~私の農業・農業への思い~」(2)(PDF : 1,403KB)
写真1枚目:ミニトマト栽培の様子 、2枚目:環境データをもとに栽培、3枚目:オリジナルシールが貼られたミニトマト
三重県立明野高校(令和6年11月18日)

三重県立明野高校(伊勢市)において、生産科学科および食品科学科 2年生72名の高校生を対象に出前授業を実施しました。
当日は、東海農政局から「農業とはどんな仕事、職業にするための準備」について説明した後、まる万製茶の堤智春(つつみ ちはる)さんにご講演いただきました。
堤さんは、明治23年創業の100年以上続く老舗茶農家の5代目で、6次産業化として新たに製菓部門を立ち上げ、かぶせ茶農家ならではの濃厚なお茶スイーツを販売されています。今回の講演では、「三重の「かぶせ茶」が私たちの一生の仕事」をテーマにお話いただきました。
会社員時代に銀行窓口業務や広告業務等の経験があることから、お金の扱い方やお客様への対応、魅せ方・伝え方など、当時の経験が現在の農業に活かされていることをお話されました。また、茶農家が茶の生産から製茶までをこだわりをもって行っていることを消費者の方は必ず認めてくださること、消費者が求める商品を考え提供していくことで、農業を次世代につなげていけることを生徒に伝えました。
講演後に実施した高校生へのアンケートでは、「農業の始め方があまり分かっていなかったけれど、今回の講演で知ることができた」「農業は魅力、厳しさのどちらもあるけれど、やりがいを感じる仕事であると思った」「売れるために考え、みんなに待ってもらえる商品を作れることがすごいと思った」などの感想が寄せられました。
講演資料「三重の「かぶせ茶」が私たちの一生の仕事」(PDF : 1,004KB)
堤さんが経営される茶園
堤さんのお菓子工房「万次郎」の商品(1枚目:レアチーズケーキ、2枚目:万次郎プリン)
名古屋市立宮中学校(令和6年1月22日)
名古屋市立宮中学校(名古屋市熱田区)で、勤労の喜びや苦労を知り、働く意義や生きがいなどの職業への理解を通して自らの生き方について考え、自らの適性などの自己理解を深めることをねらいとして開催された「職業人講話」において、農業を将来の職業選択の一つとして考えてもらうことを目的に、出前授業を実施しました。
当日は、2年生34名の中学生を対象に、YouTubeでみる農業の魅力の紹介として、愛知県の西三河農業協同組合が作成した「すごいぜ、西尾の農業。」、「いちごスクール」の動画を視聴してもらい、まずは分かりやすく、効果的に職業としての農業をイメージしてもらいました。
「すごいぜ、西尾の農業。」 「いちごスクール」
その後、東海農政局から農業とはどのような仕事かについて、農業を職業として選択した事例、就農の方法、就農までの手順、国の支援などを説明しました。
講演資料「農業を仕事にしてみませんか」(PDF : 1,131KB)
名古屋経済大学市邨高校(令和5年11月17日)
名古屋経済大学市邨高校(名古屋市千種区)で、生徒の興味関心に応じて学びを充実させるために開催している「学びカフェ」において、農業を将来の職業選択の一つとして考えてもらうことを目的に、出前授業を実施しました。
当日は、1年生および2年生10名程度の高校生を対象に、YouTubeでみる農業の魅力の紹介として、愛知県の西三河農業協同組合が作成した「すごいぜ、西尾の農業。」、「いちごスクール」の動画を視聴してもらい、まずは分かりやすく、効果的に職業としての農業をイメージしてもらいました。
「すごいぜ、西尾の農業。」 「いちごスクール」
その後、東海農政局から農業とはどのような仕事かについて、農業を職業として選択した事例、就農の方法、就農までの手順、国の支援などを説明しました。
説明後に回答いただいた高校生のアンケートでは、「農業分野を目指すにあたってさまざまな支援制度があったり、作物によって自分のライフスタイルに合わせることができると知って驚きました。」、「農業は家が農家であったり地方に住んでいる人がやるというイメージがあったけれど、今ではさまざまな形があるのだと感じました。」などの感想が寄せられました。
講演資料「農業を仕事にしてみませんか」(PDF : 1,131KB)
愛知県立瀬戸工科高校定時制(令和5年10月2日)
愛知県立瀬戸工科高校定時制(瀬戸市)において、キャリアプランの一環として、就農について考え、職業選択を見つめ直すことを目的に、出前授業が実施されました。
当日は、1年生から4年生まで22名の高校生を対象に、YouTubeでみる農業の魅力の紹介として、愛知県の西三河農業協同組合が作成した「すごいぜ、西尾の農業。」、「いちごスクール」の動画を視聴してもらい、まずは分かりやすく、効果的に職業としての農業をイメージしてもらいました。
「すごいぜ、西尾の農業。」 「いちごスクール」
その後、東海農政局から農業とはどのような仕事かについて、農業を職業として選択した事例、就農の方法、就農までの手順、国の支援などを説明しました。
説明後に回答いただいた高校生のアンケートでは、「野菜を作っている人たちの動画を見て、自分も野菜を作ってみたいし、なかなかやりがいのありそうな仕事だと思った。」、「私はコツコツと作業をしていくのが好きで、トマトが本当に大好きなので、農業が気になりました。」、「自分らしいライフスタイルができることが魅力的に感じた。」などの感想が寄せられました。
講演資料「農業を仕事にしてみませんか」(PDF : 1,131KB)
愛知大学(令和元年7月12日)
愛知大学(豊橋市)において、地域政策学部 3年生15名の大学生を対象に出前授業を実施しました。
当日は、東海農政局から、『職業としての農業を考えてみよう』をテーマに、農業界の人材の現状や農業をはじめる方法、国の就農支援策などについて説明した後、「榎本はちみつベリーファーム」の代表である榎本佐和子(えのもと さわこ)さんから、「農業を選択して~就農して気づいたこと、変わったこと~」と題して講演を行っていただきました。
榎本さんは、御自身が経営される「榎本はちみつベリーファーム」において、完熟・非加熱の『生はちみつ』やブルーベリーやラズベリーなどのベリー類、平飼い・アルカリイオン水で育てられたウコッケイから採れる卵、サツマイモなど、幅広い商品を作られています。
講演では、農業を仕事にしたきっかけについて「もともと、趣味で養蜂やブルーベリーの栽培を始めたが、ブルーベリーの樹が100本、はちみつが100キロ以上採れるようになった頃から、農業を仕事にできないかと考えるようになった」と語られ、加えて「農業を仕事にするにあたって、どうすれば限られた農地で多くの利益を出せるか、どこで自身が作った農産物を購入してもらえるのか等、農地の問題や売り先の問題などのあらゆる問題に直面し、就農前は不安が大きかった」とのお話もありました。
また、榎本さんが農業を始めるために「悩んだときは、まずやってみることが大切だと思う。その過程で失敗してしまった場合は、なぜ失敗したのかについて考え、それを改善しつつ、再度計画を立てて実行するといったPDCAサイクルを意識して、何度も試行錯誤した」とのお話もありました。
さらに、テレビアニメ「昆虫物語 みなしごハッチ」を例に出しながら、大学生に向けて、ミツバチの特性などについて分かりやすく説明していただきました。
講演の最後には、「自分が楽しいと思えることをして、それを理解してくれる人を作って、その中で利益を上げていけるようになることを目指したい。もし、これから農業を始めたいと思う人がいれば、ぜひその人達と一緒に農業をやっていきたい。」と語られました。
講演後に回答いただいたアンケートでは、大学生から「何をやるにも、自己分析、ニーズの把握、アピールの仕方が非常に大切であると思った。」「新規で農業を始めることの大変さを改めて知ることができた。」などの感想が寄せられました。
出前授業の様子
榎本さんが作られている商品(はちみつ、ブルーベリー)及びそれらが原料となっているスイーツ
過去5年間の開催実績(令和元年度~令和5年度)
開催時期 | 開催場所 | 講演テーマ | 講師 |
令和6年1月29日 | 三重県立久居農林高等学校 | 「ミニトマト生産者から みなさんへ ~私の農業・農業への思い~」 |
「ヒラク農園」 牧谷拓(まきたにひらく)様 |
令和6年1月22日 | 名古屋市立宮中学校 | 「農業とはどんな仕事、職業にするための準備」 | 東海農政局 |
令和5年11月17日 | 名古屋経済大学市邨高等学校 | 「農業とはどんな仕事、職業にするための準備」 | 東海農政局 |
令和5年10月23日 | 三重県立明野高等学校 | 「三重の『かぶせ茶』が私たちの一生の仕事」 | 「有限会社マルシゲ清水製茶」 清水加奈(しみずかな)様 「まる万製茶」 堤智春(つつみちはる)様 |
令和5年10月2日 | 愛知県立瀬戸工科高等学校定時制 | 「農業とはどんな仕事、職業にするための準備」 | 東海農政局 |
令和5年6月23日 | 岐阜県立岐阜農林高等学校 | 「これからの農業生産」 | 「株式会社細野ファーム」 細野晃大(ほそのあきひろ)様 |
令和5年2月10日 | 三重県立久居農林高等学校 | 「ミニトマト生産者から みなさんへ ~私の農業・農業への思い~」 |
「ヒラク農園」 牧谷拓(まきたにひらく)様 |
令和4年11月14日 | 三重県立明野高等学校 | 「三重の『かぶせ茶』が私たちの一生の仕事」 | 「有限会社マルシゲ清水製茶」 清水加奈(しみずかな)様 「まる万製茶」 堤智春(つつみちはる)様 |
令和4年6月21日 | 岐阜県立岐阜農林高等学校 | 「農業2.0」 | 「株式会社細野ファーム」 細野晃大(ほそのあきひろ)様 |
令和4年1月28日 | 三重県立久居農林高等学校 | 「ミニトマト生産者から 後輩のみなさんへ ~私の農業・農業への思い~」 |
「ヒラク農園」 牧谷拓(まきたにひらく)様 |
令和3年10月25日 | 三重県立明野高等学校 | 「三重の『かぶせ茶』が私たちの一生の仕事」 | 「有限会社マルシゲ清水製茶」 清水加奈(しみずかな)様 「まる万製茶」 堤智春(つつみちはる)様 |
令和3年7月19日 | 岐阜県立岐阜農林高等学校 | 「データと数字でみる農業経営 ~これからの日本の農業~」 |
「株式会社細野ファーム」 細野晃大(ほそのあきひろ)様 |
令和3年2月5日 | 三重県立久居農林高等学校 | 「ミニトマト生産者から 後輩のみなさんへ ~私の農業・農業への思い~」 |
「ヒラク農園」 牧谷拓(まきたにひらく)様 |
令和2年11月19日 | 岐阜県立岐阜農林高等学校 | 「データと数字でみる農業経営 ~これからの日本の農業~」 |
「株式会社細野ファーム」 細野晃大(ほそのあきひろ)様 |
令和2年11月16日 | 三重県立明野高等学校 | 「三重の『かぶせ茶』が私たちの一生の仕事」 | 「有限会社マルシゲ清水製茶」 清水加奈(しみずかな)様 「まる万製茶」 堤智春(つつみちはる)様 |
令和2年1月31日 | 三重県立久居農林高等学校 | 「思いを持ち正しい選択を考える」 | 「ヒラク農園」 牧谷拓(まきたにひらく)様 |
令和元年11月25日 | 三重県立明野高等学校 | 「三重の『かぶせ茶』が私たちの一生の仕事」 | 「有限会社マルシゲ清水製茶」 清水加奈(しみずかな)様 「まる万製茶」 堤智春(つつみちはる)様 |
令和元年7月12日 | 愛知大学 | 「農業を選択して~就農して気づいたこと・変わったこと」 | 「榎本はちみつベリーファーム」 榎本佐和子(えのもとさわこ)様 |
令和元年6月19日 | 岐阜県立岐阜農林高等学校 | 「経営理念の大切さとこれからの農業」 | 「細野ファーム」 細野晃大(ほそのあきひろ)様 |
お問合せ先
経営・事業支援部経営支援課
担当者:就農促進対策推進係
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