3.地域の農業と課題【事業に至る経緯】
農業基盤整備による事業の効果
埼玉北部農業水利事業によって児玉丘陵、本庄台地にも安定した水が供給されるようになり、水不足の苦労から解放されました。過去何度も襲った洪水被害も著しく軽減し、稲作と麦の二毛作が行われています。今では神流川の清流を活かした「かんな清流米」のブランド化の推進や、種子小麦の品質の良さで知られるようになり、県内種子生産量の82%を担うほどに成長しました。また、ほ場整備及び畑地かんがい施設の推進で農作業における労働負担が軽減され、労働時間の短縮も図ることができるようになりました。
米、麦における10アール当たり投下労働時間の推移(埼玉県平均)
(埼玉県農林水産年報より)
営農状況
従来は養蚕(ようさん)が盛んでしたが、昭和45年以降、なす、トマト、きゅうり、イチゴなどで2倍から3倍の収穫を誇るようになりました。現在では、受益地内の農業生産額は270億円で、埼玉県全体2,000億円のうち14%を占めています。なかでも本庄市の「なす」、上里町の「はくさい」は県内第1位の産出額を誇り、そのほかブロッコリ、きゅうり、なす、スイートコーン、ほうれんそう、ねぎ等も県内上位の生産量を占めています。
近年では、花きを中心とする施設園芸や、ゴールドクレストなどの園芸用作物の導入が進んでいます。昭和48年頃から神川町に導入されたクジャク草は、「プラスベリー」や「ホワイトキャプテン」などのブランド商品化に力を注ぐなど、年々栽培が盛んになり、現在では全国一の産地となっています。また、ブルーベリー、イチゴなどの観光農園の開設など農業形態の多様化が進んでいます。
なす、トマト、きゅうり、イチゴのha当たり収穫量の推移
麦の刈取り
ブロッコリーの栽培風景
近年盛んな園芸作物の栽培
(写真はゴールドクレスト)
ブルーベリーの観光農園
花卉の栽培
集荷風景
産地直売所
施設の老朽化と畑地かんがい未整備地区への対応
児玉地区は畑地かんがい施設の整備が進み、整備面積率は水田の91%、畑の79%と整備が進んでいますが、依然未整備の地域があります。また、神流川頭首工は築後50年以上経過し、既に耐用年数を過ぎ、機能の著しい低下が見られます。また、環境配慮への対策が未整備など、時代にあった改修が必要となってきました。
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