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北陸農政局

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子育て農業応援団 代表 山本実千代氏(石川県金沢市)

更新日:令和3年11月30日

山本美千代氏

農政局:

山本さんは、様々な活動をされていますが、ご自宅で運営されている「日常生活支援サポートハウス」の活動からご紹介下さい。

山本氏:

通称「サポハ」と呼んでます。2002年12月に開設しました。不登校、引きこもり、障がい、様々な事情を抱えた人たちとともに暮らしながら、必要な支援を探ると同時に、社会的ルールや礼儀作法、助け合い、そして人との思いやりなど、生きていく術を丁寧に伝えています。ここに来るのは、その子にとって、その人にとってある意味最終手段だと思っています。それがわかっているから、断れないし、私が丸ごとかかえるしかない。そんな感じです。

農政局:

このサポハの中では「食」が重要だとお聞きしましたが、それはどういうことでしょうか。

山本氏:

利用者の方が最初にサポハにきたら、まずは一緒にご飯を食べて、ゆっくり休んでから、それから話を聞きます。私の手料理をそのときにサポハにいる仲間と一緒に食べて、傷ついた心を和らげます。「食べる力」は「生きようとする力」に繋がると思います。その子の食べる様子は、その子の「生きたい」というバロメーターでもあるんです。
そして、慣れてきたら、一緒に食事を作って、みんなで一緒に食べることで共同生活の基礎みたいなものが見えて来て、社会との関わりのきっかけになると思っています。

農政局:

「食べること」は「生きること」。すごく重たいですが、食べることの中に社会活動の基盤があると感じました。

山本氏:

食べることは楽しいことです。みんなで料理して、みんなで会話をしながら食べる。山や畑で採ってきたもの、地元の海で採れたもの、季節を感じながら、みんなで食べることで、季節が変わるように、少しずつですがその子の中の何かが変化し始めるような気がしています。

農政局:

そんな山本さんが、サポハと同時に取り組まれている「子育て農業応援団」について教えてください。

山本氏:

サポハを始めた頃から、子育て支援活動にも携わってきました。そうした中で、転勤で金沢に引っ越してきた若い親子に沢山出会いました。小さい子供を抱えて引っ越してきた若いお母さんは、知り合いが誰もいないまま、冬は雲と曇天に閉ざされ子育てが苦しくなることが少なくないことを知りました。そういう人たちを引っ張り出して、畑の活動を通じて、金沢の暮らしを楽しみ、気軽に相談し合える、そんな場所を作りたいと思い、「教育ファーム」が言われ始めた2009(平成21)年に「子育て農業応援団」を始めました。

2017(平成29)年には、金沢市湯涌の空き家を買い取り再整備した「郷の家ファーム」を開園し、現在ではここを拠点に、近隣の畑を借りて、基本的に月2回(毎月第2、第4日曜日)登録をしている家族、ファームファミリーと一緒に、お米や野菜の生産・収穫を楽しんだり、「郷の家」や畑でのキャンプ、収穫した農作物での料理教室などを一年を通じて行っています。サポハのみんなも一緒に畑で農作業を行っています。

農政局:

子育て農業応援団では「食べる」ということについてどのようなことを感じていますか。

山本氏:

親子で種を蒔いたり、苗を植えたりしたものが成長してスーパーで売っている野菜になることを親子で体感してもらい、食卓の話題になることが大切ですね。みんなが畑に来た日は、畑で採ったものを簡単に調理して、お弁当と一緒に食べると、お母さんたちが「これおいしい。作り方教えて」と言ってくれます。さつまいものつるやよもぎなんかは、昔は普通に食べられていたものですが、最近の若い人たちには、スーパーには売っていなかったり見たこともない食材なんです。そんなことを体験してもらうことが重要だと思っています。味噌もファームファミリーと一緒に自分たちで作っています。

小さな子供たちにとって、畑の野菜は自分で育てた最初の命です。自分で育てて、自分で調理して、自分で食べることで、地域や季節を感じていくことを畑で沢山行っていきたいと思っています。


山本氏と子ども
郷の家ファームでの収穫の様子


農政局:

山本さんにとって、身近で生産されるモノを活用した普通の食は全て「和食」だと感じましたが、いかがですか。

山本氏:

身近で生産されたものを、季節を感じながら暮らしの中で調理し、食べるまでを体感できる環境があることが大切ですね。地域の旬や特産物を意識しながら食事をすることが「和食」を意識することに繋がるのかなと思います。
ファームファミリーが持ってくるお弁当も、少しずつですが、そうしたおかずが増えているような気がします。

農政局:

「子育て農業応援団」は、まさに、親子で「和食」を体感する場所なんですね。畑での新たな発見などはありましたか。

山本氏:

子供たちの中には、野菜がどう成長するかを見ていると、野菜嫌いが直る子が多いんです。畑で目の前のミニトマトを採って頬張る我が子をみて、驚いているお父さん、お母さんが結構います。

さらに、参加者の中には、障がいをお持ちのお子さんを育てている方もいて、子どもたちは、畑のコミュニティで交流することで、色々なことを学びとり、生きる力を身につけいるんです。畑にくると、大人も子どもも自然と役割を見つけて自主的に動くようになるので、親子一緒に成長していけていると思います。


畑の様子
親子での農作業の様子 

農政局:

畑はまさにダイバシティというわけですね。※ダイバシティとは、多様性、集団で様々な人が集まった状態のこと
ファームファミリーにとって忘れられない「金沢の普通の和食体験」となっているんだなと感じました。
最後にメッセージをお願いします。

山本氏:

子育て中はいろいろな悩みが出てくるものです。農作業を楽しむことはもちろん、日々の悩みや出来事を畑でできたママ友にお話するだけでも息抜きになると思います。ファームファミリーでお互いの子どもを見守り、時にはしかり、一緒に子育てをしている感覚が畑にはあります。転勤族の参加者の皆さんからは「特別な金沢での思い出」になっていると聞きます。

「食べること」は「生きること」です。人は精神的な障がいにみまわれると、過食症、拒食症などといった「食べること」に現れます。だから、楽しみながらみんなで食べる「共食」が大切だと思います。そうした時間を親子・家族・仲間で共有し、話をすることが大切ですね。

今回のインタビューを通して、この金沢で、四季を感じながら、サポハの利用者の変化や畑の親子の成長に寄り添うための大切なツールが「食」であり、それが私にとって「和食」だと感じました。改めて「和食、和ごはん」を意識しながら、サポハ、そして子育て農業応援団を続けて行けたらと感じています。

農政局:

本日は、どうもありがとうございました。

プロフィール

子育て農業応援団 代表 山本 実千代(やまもと みちよ)石川県金沢市在住。
日常生活支援サポートハウス代表、子育て農業応援団代表

お問合せ先

経営・事業支援部 地域食品・連携課

代表:076-263-2161(内線3995)
ダイヤルイン:076-232-4890
FAX:076-232-4178